2025年12月号

2025/10/27

タナカ S&W M500 ES 2-3/4インチ ブラックHW Ver,2

 

世界最大サイズのスナブノーズリボルバー、それがEmergency Survivalだ。緊急事態に備えるお守りとして、ブラックボディにオレンジカラーのラバーグリップはとても新鮮に感じる。ボディをHW樹脂製としたことで、重量も1㎏超えとなり、最強マグナムに相応しい手応えになった。

 

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 アメリカクロクマは、北米東部、中央部および西部、そしてメキシコの一部を含む、アメリカ大陸の広い範囲に生息している。 一方、グリズリーベアの生息範囲は主にアラスカ、カナダ西部、そして北米北西部のモンタナ州、ワイオミング州、アイダホ州、ワシントン州と限られた範囲だ。
 これらの地域で、キャンプや釣りなどアウトドアライフを楽しもうという場合、これら危険な野生動物と遭遇する可能性があり、それなりの準備が必要となる。ハンティングに行くなら、それらに対応するマグナムライフルを持っていくだろうが、目的が異なる場合は、そんな嵩張るものは持っていけない。その場合は、もっと小型のマグナムリボルバーを持っていくのが正解だ。危険に対処し得る備えがあればこそ、思い切り楽しむことができる。

 

▲なんとも大きな銃だ。この写真はやや遠近感が誇張されているが、とにかくデカい。


 近年日本では、熊の出没が相次いでいる。それも人々が普通に暮らす街にまで現れ、時に犠牲者も出ている。単に襲われるだけでなく、連れ去られ、遺体で発見される場合もある。日本の場合、普通の人達はライフルを持っていないし、ましてやピストルなど論外で、自衛手段はせいぜい熊スプレーを携帯する程度だろう。しかし、熊スプレーはごく至近距離でしか効果はなく、風向きが悪いと全く使えない。無理に使えば自分にかかってしまってひどい目に合う可能性すらある。
 アメリカクロクマやグリズリーベアに対処し得る最低限のパワーは44マグナムだろう。写真は2022年秋に発売したGuns & Shooting誌Vol.22に掲載した、“アラスカグリズリーベアハンティング”の記事写真だ。

 

▲これがアラスカのグリズリーベアだ。S&WモデルS&W500なら仕留められる…かも

 

 日本人ハンターがアラスカに行き、ハンティングガイドのサポートを受け、このグリズリーベアを獲った。使った銃はルガーM77 Hawkeye .375 Rugerだ。この時は、通訳としてGun Pro誌の実射レポートでお馴染みのIkedaさんが同行した。Ikedaさんはグリズリーの生息する地域に行くにあたり、ルガースーパーレッドホーク44マグナムを自衛用に持参した。その時、ロードしたのは305grのBear Load(熊対策用弾薬)だった。そういう地域に行くときは、自衛用の銃が本当に必要なのだ。
 44マグナムより、圧倒的に頼りになるのがS&WモデルS&W500(妙にクドい名称ではあるが、これが正式な製品名となっている)と、これに装填する500S&Wマグナム弾だろう。2003年に登場し、それまでの最強リボルバー競争に終止符を打った(本当の最強はマグナムリサーチBFR 450Marlinなのだが…)。あまりにもパワフルなリボルバーなので、ロングバレルとコンペンセイターは必須なのだが、S&Wは2006年に異例のバリエーションをラインナップに加えた。
 バレル長を2-3/4インチまで短縮し、コンペンセイターも省略した最小モデルES(Emergency Survival)だ。500S&Wマグナムといっても、どんな弾を撃つかによって変わるが、コンペンセイターなしの状態で撃つとかなりリコイルが強烈になる。
 かつてTurkさんのご友人の方がコンペンセイターを外したモデルS&W500を撃ってみて、その強烈なリコイルに手が痺れ、悶絶していた。おそらくモデルESを撃つと同じようなことになるだろう。しかし、これは文字通り緊急事態に使う銃だ。Turkさん流の表現では“熊の糞になる”かどうかの瀬戸際に、手が痛いなんて言っている場合ではない。

 

▲エマージェンシー(緊急事態)をイメージするオレンジ色のグリップ。


 このESは2006年から2009年の3月まで製造供給が続いたが、その需要は限定的で約3年の間に製造された数は500挺に満たなかったらしい。それゆえこの銃はコレクターズアイテムとなっている。
 タナカはそんなレアなESをガスリボルバーで再現した。実銃はステンレスでシルバー仕上げだが、今回はHW樹脂で再現したため、ブラック仕上げとなった。ステンレスの実銃だって黒染はいくらでも可能なので、これはあり得る。

 

▲ケース長41mmの500S&Wマグナム弾を排出するための長いエジェクターロッドを収納するため、エジェクターロッドシュラウドは先端部が切り欠かれている。クレーンの保持はフレームに組み込まれたディンプルロックでおこなうので問題はない。


 ブラックボディにESならではのオレンジ色ラバーグリップはなかなか良い感じだし、独特な形状の2-3/4インチバレルもブラックなので締まった雰囲気に仕上がっている。内部メカはタナカXフレーム最新のVer.2、したがって滑らかなS&Wらしいアクションを楽しむことが可能だ。
 世界最大サイズのスナブノーズリボルバーとして、このESをお手元に置いてみてはいかがだろうか。

 

 

タナカ
S&W M500ES 2-3/4インチ ブラックHWバージョン2

全長:約222mm
重量:約1,155g
装弾数:11発
材質:HW樹脂+亜鉛ダイキャスト
価格¥37,180-(税込)
ペガサス式ガスリボルバー
発売日:11月中旬頃発売予定
お問い合わせ先:タナカ

 

Gun Pro Web 2025年12月号

 

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