2025/10/01
【NEW】ニューモデルインプレッション 東京マルイ M29 .44マグナム 4インチ

BBエアーリボルバーシリーズの新製品M29は、低年齢層をメインターゲットにしているが、実銃に近い操作性と、近距離であれば意外なほどよく当たる優れた性能を持っている。これは18歳以上の大人でも大いに楽しめるエアソフトガンであり、その魅力は19世紀半ばのサロンガンに通ずるものだといえるだろう。
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M29 .44マグナム 4インチブラックモデルが9月25日に発売となった。6.5インチモデルから1ヵ月半後の発売だ。9月号の記事として6.5インチモデルはご紹介済みだが、今回はこの4インチモデルについて、より詳しくご紹介させて頂くことにした。

東京マルイは青少年保護育成条例に対応した10才以上用モデルを複数製品化しているメーカーだ。この低年齢層に向けた製品展開は、エアソフトガンというホビー市場を今後も継続発展させてしていくためには極めて重要な事であり、東京マルイの姿勢は実に正しいものだと感じる。
自分が銃に興味を持ったのは、小学5年生の時であり、まさに10歳だった。当然の流れとして、銃の形をしたものが欲しくなった。半世紀以上前の話で、当時はまだエアソフトガンは存在ぜず(BSガンはあったが)、買ったのはモデルガンだ。そしてその世界にどっぷりとハマった。
もしあの時、モデルガンは18歳にならないと購入できないとなっていたならば、銃に対する興味を維持できたという自信はない。銃(またはトイガン)に興味を持った時、手にできる銃の形をした立体模型があることは極めて重要なことだと思う。NERFとか水鉄砲で満足する子供もいるだろうが、より銃らしさを持ったトイガンの存在は、それを一過性のものとはせず、趣味として継続させていく上で凄く重要だ。
自分自身の経験から半世紀以上が経過しているが、そういった部分はあまり変わっていないだろう。だからこのM29のような、低年齢層でも購入所持できるエアソフトガンの存在は大いに価値がある。
子供向けだからといって、いかにも玩具っぽいものであったら、心に響かず、すぐに飽きてしまうかもしれない。しかし、このM29は、充分に銃らしさを持っている。その結果、10歳から17歳というこの製品のターゲットゾーンを満足させ、かつ18歳以上の“大人にとっても手にする価値があるもの”となった。
Gun Pro Web読者の皆様はほぼ100%が18歳以上の成人であると思われるので、ここからは大人の視点でこのM29を楽しんでみたいと思う。
29-2
今回発売となった4インチブラックモデルは、先行して発売されていた6.5インチのバレルバリエーションという位置づけだ。したがってこれは、6.5インチと同じ、ピンドバレル、3スクリュー、リセスドシリンダーのモデル29-2を再現している。
実銃のモデル29は1956年に“44 Magnum”の名称で登場、翌1957年にモデルナンバー“29”が与えられた。1960年にエジェクターロッドスクリューを改良した29-1となり、その翌年、トリガーガード前面にあったシリンダーストップスクリューが省略されて29-2となる。
この仕様が約10年続き(6.5インチバレルモデルは1979年に6インチバレルに変更されたが、バージョンナンバーは29-2のまま変更されていない)、1982年にバレルピンが省略されて、クラッシュドフィットバレルとなり、またリセスドシリンダーも不要だと判断させて、カートリッジのリム部がシリンダー後面から露出するスタンダードシリンダーに切り替わった。これが29-3だ。この仕様変更は主にコストダウンを目的としており、トイガン化する上ではそれ以前の29-2を再現するのが、もっとも正しい選択だろう。

外観
東京マルイのM29のアウトラインは、実銃の29-2に極めて近いと感じる。横に並べて比較したら、だいぶ違いはあるだろうが、直観的な印象は29-2そのものだ。エアコッキングリボルバーを作る上で、多少のデフォルメは仕方がないと思うのだが、少なくとも外観に全く違和感はない。もちろん厚さとか、そういった部分での違いはあるとしても、グリップを除けば、それには気付かない。
但し、トリガーガードのシェイプはやや実銃とは異なる。東京マルイのトリガーガードはちょっと卵型のような前側の丸みが強いデザインだ。実銃のトリガーガードはどちらかと言えば俵型のような形状となっている。これは実銃と見比べてみて初めて気付く部分だ。

手持ちのNフレームリボルバー用ホルスターに入れてみた。トルコ製“The Master’s Holster” S&W Nフレーム2.5”バレル用#7042 Blackだ。オープントップなのでマズルが飛び出すが、4インチにも6インチにも使える。これは皮革製なので、ある程度はフレキシブルであり、多少の形状違いにも問題なく対応できたが、カイデックス製ホルスターだとこのトリガーガードの形状違いが問題となる可能性もゼロではない。

1970年代のモデル29を再現しようとした場合、やはりグリップはこのデザインであるべきだろう。
このグリップは明らかに太い。Nフレームのクラシックなオーバーサイズターゲットタイプチェッカードグリップは元々太いのだが、東京マルイのM29はさらに太くなっている。グリップにエアタンクを設けている以上、ここはエアコッキングリボルバーを作る上での、やむを得ないデフォルメだ。またこのグリップの太さは握ってみて初めて判ることで、見ただけでは太いことに気が付かない。グリップを太くしながらも、1970年代の29-2に装着されていたフットボール型サムレストのターゲットグリップが持つ雰囲気を見事に再現している。
手の小さな10歳の子供がこれを握った時、かなり握り難いと感じるだろう。もっともその握り難さを“ホンモノっぽい”と感じて喜ぶと思う。自分がもし、今10歳だったら、きっとそう感じたはずだ。
刻印も実銃の29-2にかなり近づけている。バレル左右の刻印は実銃通り(書体はやや違うようだが)、フレーム右側面の4行刻印は、この製品の素性を明確に表している。ちなみにこの部分は実銃だと
MADE IN U.S.A.
MARCAS RESISTRADAS
SMITH & WESSON
SPRINGFIELD. MASS.
だ。

またサイドプレート部には、S&Wのモノグラムの代わりに東京マルイのT、M、C (Tokyo Marui Co,)3文字のモノグラムがあり、雰囲気はなかなか良い。


