.357マグナムリボルバーのスナブノーズといえば2.5インチバレルがお約束となっている。このショートバレルを.357口径で最初に製品化したのは、なんとパイソンなのだ。2インチじゃなくて、2.5インチなのは、ベンチレーテッドリブを設けるためだった。

　コルトパイソンはコルトのラグジュアリーリボルバーとして1955年に登場した。なんと70年も前の話だ。その時点では6”バレルのみの供給となっている。その仕様は、ほぼマズルまで伸びたフルレングスアンダーラグ、バレル上部に配置されたベンチレーテッドリブ、1/8”ランプフロントサイトとACCROアジャスタブルリアサイトの組み合わせ、ワイドスパーハンマー、チェッカードウォルナット・スクエアバットグリップ、そして鮮やかなコルトロイヤルブルー仕上げとひたすら豪華だ。

　とはいえ、銃というものは実用品だ。ラグジュアリーリボルバーといっても、大切に保管して、時々眺める…といった使い方はしない。普通に扱うのだ。当然、これを日々の業務で使いたいと考えるポリスオフィサーも出てきた。しかし、6インチでは長すぎる。使いやすい4インチモデルに対する要求が出てきて，これに応えたのが1961年のことだ。たぶん4インチ仕様は登場当初から想定されていただろう。
　コルトとしては、これ以上、パイソンのバレルを短くするつもりはなかったと思う。当時市場に存在した.357マグナムリボルバーで最短バレルはS&Wモデル27の3.5インチで、これ以上短いバレルにするなんてことは、考えるだけでも“まともじゃない”と思われたのではないだろうか。

　もしかしたら、パイソン3.5インチも、4インチ化の際、プランには上がったかしれないが、その外観をイメージすると、すごくバランスが悪いと気付く。たかだか0.5インチの違いだが、なんとも格好が悪い（先月号でご紹介した3インチは凄くバランスが取れている。やはり0.5インチの差は大きい）。
　そんなパイソンに2.5インチモデルが1962年に登場した。これが製品化された背景は、噂でしかないが、コルトのマネージャー同士の会話で、.357マグナムをスナブノーズバレルで撃ったら、どうなるのか、という疑問が生じ、それなら試してみようということになったといわれている。
　当時、.357マグナムの強烈なリコイルをコントロールし、激しいマズルブラストに対応するためには、ある程度の長さを持ったバレルが必要だと考えられていた。ところが試作してみれば、思ったほど撃ち難くないし、見た目のインパクトもある。そんなことから2.5”パイソンは4インチパイソンに続いて製品化され、パイソンの標準バレル長として定着した。2インチではなく、2.5インチとなったのは、バレル上のリブをベンチレーテッドとするには、どうしても2インチでは無理だったので2.5インチとなったらしい。
　2.5インチバレルそのものは前例がないわけではなく、その時点でもハーリントン＆リチャードソンやアイバージョンソンのリボルバーでは実績があった。もちろんこれらはマグナムではない。あくまでも2.5インチバレルのリボルバーがあったというだけの話だ。
　またパイソンの本体デザインから見て、2インチでは短過ぎてバランスが悪いということもあったのだろう。

　パイソン2.5インチに対するS&Wの反応は早く、1963年にはモデル19の2.5インチ仕様が50挺限定で試作販売されている。これがカタログモデルとなったのは1966年のことだ。いずれにしても2.5インチバレルのマグナムリボルバーの歴史はパイソンから始まった。

　タナカのパイソン.357 2.5インチ R-model ステンレスフィニッシュは、そんなエポックメイキングな2.5インチ パイソンのステンレス仕様だ。様々なパイソンを製品化してきたタナカだが、2.5インチのステンレス仕様はモデルガンとして初めての製品化となっている。R-modelなので、コルトの独特なアクションフィーリングを味わうことができるし、その外観再現性も完璧だ。ABS樹脂に施したメッキ仕上げは、ステンレスらしさに満ちている。究極のスナブノーズとして、このパイソンをぜひお手元に置いて頂きたい。

タナカ

コルトパイソン 2.5インチ R-model ステンレスフィニッシュ

全長：206mm
重量：約520g（カートリッジ込）
装弾数：6発
主要材質：ABS(ステンレス風メッキ)＋亜鉛ダイキャスト
仕様： 7mmキャップ火薬使用発火式モデルガン
価格：\40,480(税込)
付属品 .357magnum発火カートリッジ 6発
発売時期：好評発売中
お問い合わせ先：タナカ
 

Gun Pro Web 2025年8月号

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