2025/05/27
【NEW】SIG P228 エヴォリューション2 オールヘヴィーウェイト Modelgun
1989年にP226のコンパクト仕様であるP228が登場すると多くの公的機関がこれを採用するようになった。タナカからそんなP228のオールヘヴィーウエイトが発売される。細部に至るまで、耐久性とメンテナンス性にこだわったエヴォリューション2仕様だ。
1985年1月14日、アメリカ全軍のサービスピストルM9としてベレッタ92SB-Fが選定された。1978年頃から始まった一連のトライアルにおいて、ベレッタの92シリーズは、常に高い評価を得ており、ベレッタが、選定されたことは、順当な結果だったといえる。しかし、途中から参加してきたSIG SAUER P226に激しく追い上げられ、最後は92SB-FとP226の一騎討ちとなった。
この最終トライアルでは、P226が優勢だという下馬評が多く聞かれ、発表の直前において、SIG SAUERはもう勝利を確信していた、という話も残っている。
もしかしたら、SIG SAUERは少し油断していたのかもしれない。最後の決め手は、納入価格見積もりであり、ここで思い切った戦略的な価格を提示していたら、M9はP226となっていた可能性はある。
後からなら、何でも言えてしまうのだが、この当時、SIG SAUERにはベレッタを打ち負かすことができる戦略的手法があったように思える。それはトライアルの最中にベレッタの弱点を明らかにするという、見ようによってはちょっと意地悪な作戦だ。

ベレッタの弱点は、フォーリングブロックによるショートリコイルシステムを採用したことだ。これにより、ショートバレル化が難しく、ティルトバレルを採用するモデルのように思い切り短くすることができない。XM9トライアルにおいては、ショートバレル化に対する要求項目は無かった。そのため各社はサービスピストルに相応しい4インチから5インチ程度のバレル長でトライアルモデルを提示した。
しかし、M9採用後には遠からず、ショートバレルバリエーションへの要求は出てくる可能性はあっただろう。M1911A1の時代にも、M15ジェネラルオフィサーズピストルが限定数ながら採用されたし、軍内部の犯罪捜査局(Criminal Investigation Division)はスナブノーズリボルバーなどを使用している。コンパクトで携帯しやすいモデルは軍の内部でも必要だったのだ。
事実としてSIG SAUERから1989年にP226のコンパクト仕様であるP228が発売されると、アメリカ海軍がこれを購入、翌年には陸軍もP228を使用するようになった。そして1992年にP228はM11として少数が公式に採用されている。

右:コントール系がすべて左側面グリップ上部に凝縮されているのが、SIG P220シリーズの魅力だ。
P228のバレル長は3.9インチだ。もしベレッタも同じくらいのショートバレル化ができるのであれば、M9のコンパクト仕様がM11として採用されただろうが、M9の場合、ロッキングブロックとリコイルスプリングの組み合わせにより、4.3インチまでしかバレルを短くできない。この長さはP226のノーマルから3mm短いだけで、コンパクトになったとは言いがたい。だからアメリカ軍は、ベレッタ92系のコンパクトモデルやセンチュリオンではなく、P228を採用したわけだ。もしXM9トライアル真っ最中の1984年の段階で、P226のコンパクト仕様を試作してアメリカ軍に参考品として提示していたなら、SIG SAUERに対する評価がもっと高まったかもしれない。
1980年代後半から、アメリカの様々な法執行機関がリボルバーの使用をやめ、セミオートマチックに乗り換え始めた。当然、アメリカ軍に新たに採用されたベレッタ92Fを導入しようと考える法執行機関は多かったようだ。しかし、SIG SAUERが1989年にショートバレルモデルP228を提示したことにより、少なくない数の法執行機関がベレッタからSIG SAUERに流れたように思える。常時銃をキャリーする、また服の下に隠して携帯する場合、バレルはある程度短い方が便利だからだ。
SIG SAUER P228を採用した主だったアメリカの法執行機関は
合衆国シークレットサービス(US Secret Service)
連邦航空保安局( Federal Air Marshal Service:FAMS)
陸軍犯罪操作局(Criminal Investigation Department:CID)
連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation:FBI)
麻薬取締局(Drug Enforcement Agency:DEA)
合衆国農務省(United States Department of Agriculture:USDA)
アルコール、たばこ、武器取締局(Bureau of Alcohol, Tobacco and Firearms:ATF)
合衆国国務省外交保安局機動警備隊(Diplomatic Security Service:DSS, Mobile Security Division(MSD)
など多数に及ぶ。その組織に所属する全員がP228を装備したとは限らないし、比較的短期間で他の銃に切り替えられた場合あるが(たとえばシークレットサービスは1992年にP228を採用したが、1999年にはこれを.357 SIGのP229に変更している)、多くの法執行機関が1980年代末から1990年代初めに掛けて、P228をもっとも優れていると判断し、採用しているのだ。それは3.9インチバレルのコンパクトさと、XM9トライアルで見せたSIG SAUER P220シリーズの高い性能によるものだろう。

タナカから、このP228のモデルガン、エヴォリューション2 オールHW仕様が発売される。前回は特殊軽量樹脂スライドを採用したモデルだったが、今回はフレーム、スライド共にヘビーウエイト樹脂となった(バレルはヘビーウエイトではない)。
エヴォリューション2としての特徴は前作と同様だ。リコイルスプリングガイドにはバッファーシステムを搭載、フレームにもハンマーがぶつかる衝撃を吸収するエラストマー製ハンマーストップが組み込まれている。プレスパーツは錆びないようにコーティング処理され、スプリング類もステンレス素材が使われるなど、思い切りブローバックを楽しめる仕様となっている。
刻印は、シークレットサービスがP228を採用していた1993年モデルの再現だ(1993年には既にドイツが再統一されているのだが、当時の刻印はなぜかW.GERMANYのままだ)。
多くのアメリカ合衆国法執行機関が採用したP228、その魅力をこのHWモデルガンでぜひ味わって頂きたい。
タナカ
SIG P228 エヴォリューション2 オールヘヴィーウェイト
全長:178mm
重量:約660g(カートなし)
主要材質: HW樹脂+亜鉛ダイキャスト
装弾数:13発+1
仕様:5mmキャップ火薬使用発火式モデルガン
付属品: 9mm快音Evolution.2発火カートリッジ 5発
価格:¥43,780(税込)
2025年6月中旬発売予定
お問い合わせ先:タナカ
TEXT:GPW Editor
Gun Pro Web 2025年7月号
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