2025/05/29
【NEW】Heckler & Koch USP COMPACT イタリア警察仕様【動画あり】
いまさらながらのHK USPコンパクト。でもこれは只のコンパクトではない。イタリア警察が使っていたモデル…らしい。ほぼノーマルだけどね。ベレッタのお膝元で21世紀初頭にPx4じゃなく、USPコンパクトをポリスが使っていたなんて、なんともミステリアスではないか。
USP
多くの銃器ファンにとって、HKというメーカーは一種特別な存在ではなかろうか。取り分け古株のマニア諸氏にその傾向が強いように思う。
自分なども、P7(PSP)に至るまでの革新に次ぐ革新の激走には、正直圧倒された。次はどんな仕掛けで我々を驚かせてくれるのか、そんな期待を決して裏切らないのがHKだった。
そして1993年、USPが出た。
超異色作のP7から10年以上のブランクを経ての新製品。しかも、VP70でポリマーの先陣を切ったはずのHKが、後発のグロックに開けられた大きな溝を埋めるべく満を期して放ったポリマー銃ということで、我々の期待度はほぼマックスに達していた。
にもかかわらず、待ちに待ったその新型銃は、HKファンにはひどく平凡に見えた。 従来のHKらしさ、すなわち、独特で、特殊で、個性的で、エキセントリック、そんな要素はどれも影を潜め、何の変哲もないSIGを真似たロッキング方式を採用していたことに、ショックを隠せなかった。ご存じの通り、HKは昔から非凡なオペレーションシステム、例えばP7のガスピストンとか、P9Sのローラーロッキングとか、VP70のバレル固定のストレートブローバックとかに注目が集まっていたから、余計に拍子抜けさせられたわけだ。
GP Web Editor補足:
P7を“ガスピストン”というべきかは悩ましいのですけど、メーカーのパーツリストには“Piston”というパーツ名になってます。
P9Sは最近ではローラーディレイドブローバックと表記される場合が多いですけど、当時のHKはローラーロッキングと言って宣伝していました。
さらにもう一点、意外だったのはこれまたオーソドックスな外装ハンマー方式の採用だ。HKのP9系、VP70系、P7系はどれも、撃発方式を内蔵ハンマーかストライカーとしてきた。同時期の他社製品のほとんどは、競技用を除き、当たり前のように外装ハンマーを採用しており、自分達はそんなHKの“独自路線”というかコダワリに魅力を感じてきた。ところが、それすら捨てて外装ハンマーへ乗り換えたのだ。明らかに実を取り、一般受けを狙った内容に、多くのファンが戸惑った。
しかし実際のところ、平凡に見えたその裏で、USPには従来の銃器とは一線を画する新機軸が沢山盛られていた。
例えば、サムセイフティ(コントロールレバー)の奥にディテントプレートなるものを仕込み、コレの切り替えによってトリガーとセイフティとデコッキングの動きを自在にコントロールして9通りものアクションモードの展開を可能にしたのが一つ。用途に合わせて変化する、まさにユニバーサルな仕掛けだ。
二つ目は、独自のリコイルリダクションシステムだ。二重のリコイルスプリングを使ってピーク時のリコイルの衝撃を緩和させ、同時に銃の耐久性を上げるスグレもののメカ。
そして三つ目は、業界初となったダストカバーのアクセサリーレイルだ。当時、このアイデアの素晴らしさに気付いた人が果たしてどれだけいたか。
やはりHKは、どこまでも時代を先取りしていた。先進性に満ちていた。遅れていたのは我々の側だ。USPのデザイナーがHelmut Weldle、あのP7やVP70を設計した人と知れば納得もいく。だからこそHKとしても、従来からの大きな方向転換にゴーサインを出したのだろう。