2025/11/30
【NEW】トーラスTX22コンパクト 22LRで13(+1)発のファイアパワー

2019年に登場したトーラスのTX22は、競合ひしめく.22口径自動拳銃市場において、後発でありながらそれなりのユーザーを獲得しつつ健闘している。バリエーションも増え、2023年にはコンパクトバージョンが登場した。
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モダン.22オート
.22口径の自動拳銃には、シリアスな競技用から小型護身用まで実に様々な形態がある。その中でも最大のヒット作といえるのがルガーの22オートピストルシリーズで、その元祖が登場したのは1949年のことだ。現行製品であるマークⅣには、カジュアルなプリンキングに使える基本モデルやブルバレルのターゲット仕様、軽合金製レシーバーとポリマーフレームを組み合わせた軽量モデルなど豊富なバリエーションが用意されている。
Gun Pro Webの2025年12月号で紹介したバックマークシリーズを供給するブラウニングはトラディショナルな.22オートピストルにおけるルガーのライバルで、同市場の双璧をなすブランドだ。
その一方で、デューティピストルを縮小したような形状をもつ.22口径自動拳銃も存在し、それらがポピュラーになって久しい。ワルサーのP22(2002年)やSIGのモスキート(2003年)、ルガーのSR22(2012)やS&WのM&P22コンパクト(2013年)などがその代表例だ。
近年でも、FNアメリカのFN502(2021年)、SIGのP322(2022年)など大手銃器メーカーから発売された。このリポートでは便宜上、それらをモダン.22オートと呼称し、ルガーのマークシリーズやブラウニングのバックマークなどのトラディショナル.22オートと区別している。
トーラスTX22
トーラスが2019年のSHOT SHOWで発表したTX22は、同社米国法人が設計/開発したポリマーフレームの.22口径自動拳銃で、16発というマガジン装弾数を誇る。ガンプロフェッショナルズ誌では2019年7月号で紹介したのでご記憶の方も多いであろう。
前章で述べたモダン.22オートに分類できる製品だが、既存のデューティピストルを縮小したものではない。2020年に発売されたグロック44も、既存製品の縮小版でない(グロック19サイズの.22口径仕様)という点ではTX22と同様にフルサイズといえるが、マガジン装弾数は10発ということから、いかにTX22の16(+1)連発が画期的であったかがおわかりであろう。
4.1インチの銃身先端部にはネジが切られており、出荷時にはプロテクターが装着されているが、サイレンサー装着時に使用するアダプターも同封されている。スライドはアルミ合金からの削り出しで、フレームは合成樹脂製、絶妙な形状のグリップエリアにはほどよい滑り止めパターンがモールドされている。モダン.22オートとしては珍しいストライカー撃発方式で、トリガーはSA(シングルアクション)オンリーだ。
トリガーセイフティはグロックのようなトリガー中央のタブで解除するのではなく、合成樹脂製のトリガーシュー自体がトリガーセイフティを解除する。トリガー側面に見えるピンを軸に、トリガーシュー下端が3mmほど後方に回転しなければ、その下に潜んだトリガー本体は回転できない。これはTX22設計チームの一員にちなんで、ピットマントリガーシステムと呼称されていたが、現在はトーラスパフォーマンストリガーシステム(PTS)と表記されている。トーラスによればグリップフレームから取り外したパーツを組み込む際には、専用の冶具が必要になるとのこと。ユーザーレベルでの分解は考慮されていないが、タンデムクロス(Tandemkross)などからアフターマーケットのカスタムトリガーが発売されている。
このほか、スライド内にはストライカーブロックも備わっており、落下時などの衝撃による暴発対策も十分だ。
2019年の登場時のMSRP(メーカー希望小売価格)は349ドル、リーズナブルな価格に設定されたTX22は当時最大のマガジンキャパシティや作動の信頼性などが評価されて確実に売り上げを伸ばし、ガンズアンドアモ誌(GUNS & AMMO)2019年度のハンドガンオブザイヤーを受賞した。
TX22のバリエーション
発売当初のモデルにはフレーム後端両側面にはマニュアルセイフティが備わっており、後にはマニュアルセイフティなしのバリエーションが追加された。サイレンサー装着を念頭に設計されたTX22ではあるが、ネジ付きバレルを備えた銃器をアサルトウェポンとみなして規制している州を考慮し、ネジなしバレル仕様のTX22も追加されている。また、当時最大容量を誇ったハイキャパシティマガジンはTX22の大きなメリットのひとつだが、マガジン装弾数を規制する州を考慮して10連マガジン仕様も追加されている。
基本モデルに備わったポリマーフレームの成形色はブラックだが、後にOD(オリーブドラブ)グリーンとFDE(フラットダークアース)のカラーバリエーションが追加された。
2021年には、5.25インチのブルバレルを備えたTX22コンペティションが登場した。ロングスライドの上部は大きくカットアウトされており、バレル後部上面には小型ダットサイトを装着できるマウントが設けられている。
TX22コンペティションのロングスライド上面は大きくカットアウトされており、ブルバレル後部上面には小型ダットサイト用マウントが装着されている。


