2019/09/02
現役LE隊員に見るデューティーリグ・セッティング マニュアル
LE系の特殊部隊の装備はミリタリー系とは明らかに異なる。多数のマガジンを携行し火力を優先するミリタリー系に比べて、LE系は法執行機関らしくハンドカフやTASER、複数の無線機、現場で必要となる工具などを携行している。現役LE隊員の装備(デューティーリグ)からLE系装備のセッティング方法と、LE系で圧倒的なシュアを誇るサファリランドのSLS付きホルスターの特徴を解説する。
各装備のセッティング例
現役SWAT隊員の着装例。ボディーアーマー前面には無線機、フラッシュライト、フラップにリングを追加したハンドガンポーチを装着。HK416を吊っているワンポイントスリングはアーマーのショルダーストラップ部分に装着されている。ガバメントが収められたホルスターはサファリランドのSLSを採用した6004だ。アーマーに干渉しないようにポジションが下げられている
同じSWAT隊員だが、こちらはショットガンを携行したパターン。ボディーアーマーやスリングは同じだが、ショットシェルポーチを追加。ベルトキット左側にはサファリランドのELSを活用してショットシェル用のタクティカルストリッパーを追加し、ダンプポーチ、ハンドガン用マガジンポーチが装着されている。サファリランドのQLSを介して6004を装着したレッグシュラウドにはマルチツールポーチが追加されている
アーマーの右側にはLEらしくTASER X26が収納されている
リテンション付きホルスターの操作方法
サファリランドのSLS(オートマチック・ロッキング・システム)を採用した6004シリーズはポリマー製のシェルの内部にスウェードを貼り付けた頑丈なボディーを持ち、軽量ながら確実に銃を保護する。ホルスター内に銃が入った状態ではトリガーに触れることはできない。同時にベールと呼ばれる上部のループがハンマーを抑えており、なんらかの理由でシアが解放されても撃発することはない
機械的にロックされているベールを親指で押し込むことでロックが解除される。そのまま前方へと倒せばベールは回転しリテンションが解除される。ドロウの動きの中で自然に、一挙動で操作できるリテンションシステムでありながら、他者が奪うのは難しいデザインとなっている
ベールが前に倒れていれば銃を抜き出すことができる。ホルスターに銃を戻し、ベールを元の位置に上げれば自動的にロックされる。6004シリーズは非常に頑丈で使いやすく、リテンションと使いやすさのバランスのとれた、もっとも優れたリテンションホルスターだといえるだろう
ベルトキットのセッティング
現役LEオフィサーのベルトキットを紹介しよう。ベルトはナイロン製デューティーベルトを使用し、内側に薄手のパッドを追加している。ホルスターの前にはサファリランド製ショットシェルポーチを装着
ベルト左側にはハンドガン用マガジンポーチ2本、キーホルダー、カービン用マガジンポーチ1本、そしてハンドカフケースが取り付けられている
ベルト右側と後ろには、ダンプポーチとハンドカフケースを装着。コミニケーションのための無線関連や追加の弾薬、その他の装備は防弾ベストに装着されている
令状執行での建物や車輌の制圧や、車輌を使っての追跡などの場合には、ボディーアーマーの装着、カービン、ショットガン等がメインウェポンとなる。ボディアーマーに干渉しないよう、太もも付け根の位置までホルスターを下げ、さらに機械的なリテンションを持つサファリランド製ALSホルスターを使用している
先にALSガードを解除し、タブを親指でを押すことで、ホルスター内のロックが解除されドローできる。ハンドガンの紛失、また奪われることを防止するためにリテンションシステムは重要である
こちらはSWAT隊員のベルトキット。一般のポリスオフィサーが使用する厚手のナイロン製デューティーベルトにホルスター、キーホルダー、フラッシュライトポーチ、アーマーに干渉しないように水平に装着したハンドガン用マガジンポーチ、さらにTASER用ホルスターを装着
ポリスバッジはレッグシュラウドに装着している
TEXT:SHIN、毛野ブースカ
PHOTO:SHIN
この記事は月刊アームズマガジン2019年10月号 P.50~51より抜粋・再編集したものです。