実銃

2026/10/04

【実銃レポート】ベネリM2-G1 タクティカルセミオートショットガン【Gun Pro A.T.】

 

 

 

 

 イタリアのベネリ(Benelli Armi S.p.A.)は、イナーシャ(Inertica:慣性)作動システムのショットガンを展開し、高い評価を獲得してきた。その一方、アメリカ海兵隊にも採用されたM4 Super90は、これとは異なるガスピストン作動方式を採用している。そして2026年8月17日、ガスピストンの新たなモデルとしてM2-G1を発表した。今回は、早くも完成したTTIカスタム仕様とともに、その特徴を詳しく見ていきたい。

 

 

ベネリの始まり

 

 1967年、Benelli Armi S.p.A.はイタリアのウルビーノで設立された。二輪メーカーとして知られていたFratelli Benelli(“ベネリ兄弟”を意味する社名)は、6人兄弟でハンティングを趣味としていたことがきっかけでショットガンの製造に着目し、技術者Bruno Civolani(ブルーノ・チヴォラーニ)とともに、従来のガス作動方式とは異なる独自のイナーシャ作動システムを採用したセミオートショットガンの開発に取り組んだ。1967年に銃器製造を行なう別会社Benelli Armi S.p.A.を設立、1968年には工場が完成し、最初のショットガンである121の製造を開始する。この121が後のベネリ製セミオートショットガンに受け継がれていく基本構造の礎となった。

 

8月17日発表のベネリM2-G1 TACTICAL GREY 。このページのトップ写真はM2-G1 MULTICAM(テレスコピックストック仕様)。M2-G1はM4のガス作動機構を、よりシンプルな構成へと発展させたR.P.O.(Rear Piston Operated)システムをM2のプラットフォームに組み込んだ新製品だ。従来のイナーシャ作動方式とは異なり発射ガスのエネルギーでボルトを作動させることで、射撃姿勢や装弾の種類に左右されにくい、より確実な作動性能を持っている。

 

■バレル:470/510mm
■チェンバー:3inch Magnum 12GA
■マガジン:5/6/7
■重量:3,350g
■トリガープル:3.3㎏

 

 

イナーシャドリブン

 

 ベネリのセミオートショットガンを語るうえで欠かせないのが、独自に開発したイナーシャドリブンシステムだ。これはチヴォラーニの開発した作動方式で、慣性の法則(運動の第一法則)に基づいている。ボルトキャリアに最大の特徴があり、閉鎖ポジションにあるとき、超強力なスプリングでその位置が保持され、ある意味で、銃の中で“浮いた(フローティング)”状態となっている。もちろん、実際に浮いているわけではない。正確にいえば、5.3mmだけ、前方向に動くことができる状態だ。ボルトキャリアが、そのような“浮いた”状態でも、ボルトヘッド自体は、確実に閉鎖ポジションにある。
 銃弾が銃身の中を前方に高速で移動すると、銃はその反動で急速に後方に動く。その銃の中で、“浮いた”ボルトキャリアは慣性の法則により、その場に留まろうとする。銃自体は後方に動いているので、その場に留まろうということは、前方に動くということだ。ボルトキャリアにはボルトヘッドが組み込まれており、ボルトヘッドはバレルのロッキングリセスにしっかりと食い込んで固定されている。ボルトキャリアが前方に動くと、ボルトキャリア内の超強力なイナーシャスプリングを圧縮することになる。すると今度は、イナーシャスプリングが反発して、ボルトキャリアは後方に動き出す。ボルトヘッドに付いたカムが、ボルトカムスロットに沿って進み、 ボルトが回転して、ロッキングリセスに噛み合っていたロッキングラグが回転し、閉鎖は解除となる。ボルトヘッドはチェンバーの高いプレッシャーを受けているので、解除されたボルトヘッドはボルトキャリア共に大きく後退し、ショットシェルを排莢する。今度はボルトキャリアがメインスプリングを圧縮、その力でボルトキャリア+ボルトが閉鎖ポジションに戻る際、次弾をチェンバーに送り込む。これがイナーシャ作動方式だ。ボルトキャリアの動きが、ロッキングを解除する一種のデレイド(遅動)ブローバックとなっている。
 発射時に生じる燃焼ガスを作動系へ導くのではなく、発射時の反動によってボルト内部の機構を作動させるため、ガス作動方式に比べて機構をシンプルに構成でき、フォアエンド下部にガスシステムを必要としないことから、ベネリ独特の細身で軽快な外観にもつながっている。
 また発射ガスが作動機構内部に入り込まないため、燃焼ガスによる汚れが蓄積しにくく、メンテナンス(クリーニング)も容易だ。

 

タラン・バトラーがM2-G1をベースにカスタマイズした試作モデル。発売時には少し仕様が変わる可能性がある。

 

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続きは「月刊アームズマガジン2026年11月号」でどうぞ。

 

 

 

Text & Photos by Yasunari Akita

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年11月号に掲載されたものです。

 

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