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2026/01/08

オールド・モデルガン・アーカイブ:ファンを驚かせたユニークなモデルガン6選【Part.3】

 

ファンを驚かせたユニークなモデルガン6選 Part.3

 

モデルガンのスタイルがまだ定まっていなかった頃、そしてモデルガンが法規制の危機にあった頃、ファンを驚かすようなユニークなモデルガンが作られた。今回はその中から6機種をピックアップしてみた。

 

 前回の記事はこちら 

 

MGC USカービン30 M-1(1978年)

 

MGC製USカービン30 M-1

 

究極の改造防止策バレルレス構造

 

 1977年12 月1日、第二次モデルガン法規制が施行され、ハンドガン、長物問わず、大多数の金属モデルガンが禁止された。
 その翌年、MGCはすでに新規の金属モデルを作っていなかったので、プラスチック長物第1号としてM-1カービンを発売した。その時、CMCの金属モデルガンM1カービンがあったが、快調ブローバックで発売すれば、プラスチックでも売れるという判断だったらしい。一方で、国内にはホーワ300というM1カービンをベースとした実銃のハンティングライフルもあり、改造防止や悪用防止策も必要だった。
 設計を手がけた小林太三さんは、M31-RSでも採用されたチャンバーレス構造をさらに進め、チャンバーから先の中間部分のバレルをなくすという大胆なバレルレス構造を考案した。
 これは、金属長物のガスバイパスを大型化したような形状になっているものの、バレルを取り払ったところにレコイルスプリングを持ってきているところが天才的発想でユニーク。これなら改造のやりようがない。
 まだ紙火薬時代だったが、ブローバックは快調で、発売されるとたちまち大ヒットとなった。翌年にはフルオートも可能なM-2 カービンが発売されている。ただ作動には大きなパワーが必要だったためキャップ対応は遅れ、CP 方式が登場してからキャップ化されている。
 斬新な構造だったが、他に真似されることもなく、1作で消えてしまった。それこそ時代が生んだ徒花だったのかもしれない。

 

初期のカートリッジは、底の方にガスプール(発火ガス拡張室、副燃焼室)を設けたCV方式だった

 

ボルトはロック機構がなく回転しないので、固定エジェクター(マガジンフォロアーの上に見える茶色っぽいパーツ)がシャシーベースに取り付けられている

 

チャンバーの先にバレルはなく、レコイルスプリングが設置されている。スプリングのガイドは長いデトネーターロッドが兼ねている

 

機関部を取り出して横から見ると、バレルよりも大きな棺?のようなものがあるのがわかる。これがガスバイパス(シャシーベースの一部)だ

 

 DATA 

主材質:耐衝撃性強化ABS樹脂
撃発機構:ハンマー/ロックド*1・フローティング・ブリーチ
発火機構:前撃針(デトネーター)、のちにCP方式(カートリッジ内発火)
作動方式:デトネーター方式ブローバック、のちにCP方式ブローバック
カートリッジ:8×35mm*2、オープン・タイプ(CV方式)、のちにCP方式
使用火薬:平玉紙火薬5粒、のちにキャップ火薬
全長:905mm
重量:1.8kg
口径:.30
装弾数:15発
発売年:1978年
発売当時価格:15,000円(スタンダード)、17,000円(デラックス)、カートリッジ別売り 20発箱入り1,200円

 

*1:カタログの表記
*2:パッケージの表記。カタログでは8×34mm
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。
また価格は発売当時のものです。

 


 

MGC SFガン SIG SFモデル

SIGフラッシュモデル オートマグSFモデル(1978年)

 

MGC製オートマグSFモデル

 

MGC製SIG SFモデル

 

伝説的名SF映画の公開に合わせて作られたSF銃

 

 おそらく大多数のファンにとって、MGC の1978 年の透明モデルガンの発売は唐突だった。なぜと思った人も多かったに違いない。元MGC 設計部の荒井明一(あらいあきかず)さんに伺ったところ、映画『スター・ウォーズ』の日本劇場公開に合わせて、SF のブラスター銃のようなイメージで製作された物だという。そして荒井さん自身、東京の劇場で販売しているのを見た記憶があるそうだ。
 MGCではもともとメカニズムの作動チェック用などで、テストショット的に透明樹脂で射出成形することがあったという。それで急きょSF 銃を作るとなった時に、透明銃が浮上してきたらしい。
 基本的にはスタンダードなモデルガンと変わりはない。内部の金属パーツが見えやすいように、シルバーと銅色のめっきを施しただけ。ただ、透明樹脂は割れやひびが生じやすく、火薬を使うと曇ってしまうため、ディスプレイ用として販売された。モデルガンには珍しく、分解・組立は推奨されず、パーツ販売もなく、修理もできなかった。
 機種としてはSIG のSP47/8と.44 オートマグ、そしてSIG の銃口部にサウンドサプレッサーのようなストロボ発光装置を装着し、トリガーと連動して発光するSIGフラッシュモデルの3 種類が作られた。ところが人気は今ひとつで、のちにモデルガンショーで格安販売されたり、景品として使われたりしたという。しかし、今なら人気が出そうな気はするし、もしAppleが、中身が見える透明な初代iMacで透明ブームを起こした1998 年頃に発売されていたら、大ヒットになっていた? MGCは20 年ほど進みすぎていたのかもしれない。

 

オートマグSFモデル機関部の左側。エジェクター(シャーシープレートと一体)は銅メッキされている。サムセーフティをオンにするとブリーチボルトが引けなくなるが、スライドストッパーとは連動しない

 

オートマグSFモデル機関部の右側。トリガーバーの凸部(ディスコネクター)がブリーチボルトの側面に入り込んでいるのがわかる

 

SIG SFモデルのフレーム左側。マガジンフォロアーのボタンがスライドストッパープレート(銅色のパーツ)を押し上げてスライドストッパーを作動させる

 

SIG SFモデルの機関部右側。引き落としメカなので、基本的にトリガーとシア(銅色のパーツ)とハンマーの3点で構成されている

 

 DATA 

 

SIG SFモデル

主材質:ABS樹脂
撃発機構:シングルアクションハンマー/ファイアリングピン
作動方式:手動
カートリッジ:スタンダードタイプ
火薬:不可
全長:215mm
重量:370g(実測値)
口径:7.63mm
装弾数:8発
発売年:1978年
発売当時価格:本体 3,800円、カートリッジ別売 12発箱入り600円

 

SIG フラッシュモデル

主材質:ABS樹脂
撃発機構:シングルアクションハンマー/ファイアリングピン
機構:ストロボ発光
作動方式:手動
カートリッジ:不使用
火薬:不可
全長:——
重量:——
発売年:1978年
発売当時価格:本体 8,800円

 

オートマグSFモデル

主材質:ABS樹脂
撃発機構:シングルアクションハンマー/ファイアリングプレート
作動方式:手動
カートリッジ:スタンダードタイプ
火薬:不可
全長:280mm
重量:606g(実測値)
口径:.44 AMP
装弾数:6発+1
発売年:1978年
発売当時価格:本体 4,800円、カートリッジ別売 6発箱入り 600円

 

※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。
※拳銃型の金属製モデルガンは、1971年の第一次モデルガン法規制(改正銃刀法)以降に販売されためっきモデルであっても、経年変化等によって金色が取れると銀色と判断されて規制の対象となることがあります。その場合は黄色や白色、または金色の塗料を塗るなどの処置が必要です。

 

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年2月号に掲載されたものです。

 

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