2018/08/21
東京マルイ ガスブローバック M45A1 CQB ピストル 製品レビュー 【2018年3月号掲載】
東京マルイ
ガスブローバック M45A1 CQB ピストル
※実射シーンとインプレッションはこちらの動画をご覧ください。
オーバービュー
数ある東京マルイのガスブローバックハンドガンの中でも、特にリアルさに定評のあるのがM1911A1コルトガバメントやM.E.U.ピストル、マークⅣシリーズ70といったシングルガバメントシリーズだ。実銃の形状がリアルに再現された各部パーツ、打刻によって再現されたスライドの刻印、パーティングライン処理、ブラストによる表面仕上げ、コレクション性を重視したこだわりのパッケージなど、名銃に相応しいワンランク上の完成度を有している。そんなシングルガバメントシリーズの最新バリエーションとして加わるのが、アメリカ海兵隊特殊部隊に2012年に制式採用されたコルトM45A1 CQBピストル(以下M45A1)だ。製品化の発表以来、アメリカ海兵隊マニアはもちろん、ガバメントマニアからも注目を集めている。
実銃のコルトM45A1 CQBピストルの特徴は本誌をご覧いただくとして、ここではトイガンにスポットを当てて紹介したい。今回発売されるM45A1は、従来のシングルガバメントシリーズの特徴を継承しつつ、新開発のブローバックエンジンとショートリコイルシステム、マガジンを採用したアップデートバージョンとしてリリースされる。従来のシングルガバメントシリーズのブローバックエンジンは同社のハイキャパシリーズをベースとしたものだった。しかし、シリーズ第1弾のM1911A1コルトガバメントの登場から10年以上が経過し他製品も熟成を重ねている中で、シングルガバメントシリーズもさらに完成度を高めるべく改良を実施。よりスピーディーでシャープ、かつ迫力のあるリコイルショックを追求すべく、M45A1ではシリンダーのストロークとバルブの形状などを見直し、ピストンにローラーを設けることで、シリンダーの動きをスムーズにしている。
一方、ショートリコイルシステムは、従来のシングルガバメントシリーズではスライドが後退に従ってアウターバレルが斜めに降下する構造だった。これに対してM45A1では、アウターバレルが垂直に降下する構造を採用することで、よりメリハリのある動きを実現。これにより、スライド後退後と再前進する際に、アウターバレルを巻き込み、ブレーキがかかるフリクションロスを防ぎ、滑らかな作動フィーリングを実現している。
ガバメントのシングルカアラムマガジンは、グロック17やハイキャパなどのダブルカアラムマガジンに比べて気化スペースが限られており、特に連射時にブローバックアクションの低下を招きやすい。そこで、M45A1では従来型よりもガスの気化スペースを増加することで、安定感のあるブローバックアクションを獲得している。装弾数は27発となっており、既存のシングルガバメントシリーズのマガジンが共用可能だ。
M45A1は、ブラックフィニッシュのM.E.U.ピストルとは対照的なタンカラーフィニッシュなのが特徴。東京マルイは色合いや質感はもちろん、コルトのレールガンをベースにアメリカ海兵隊の要求に基づいて作られた各部のパーツ、スライドの刻印やフレーム右側のUIDコード、独特なチェッカードグリップに至るまでリアルに再現。またM.E.U.ピストル同様、リアサイトはノバック社との正式契約により再現されている。
実射してみると、従来のシングルガバメントシリーズユーザーなら即座にわかるほどリコイルショックがアップしており、よりスピーディーでキレのあるブローバックアクションが味わえる。各部のアップデートの相乗効果から命中精度も安定しており、ガスブローバックハンドガンの最新モデルにふさわしい実射性能が得られる。
外観、実射性能ともに従来のシングルガバメントシリーズ同様のハイレベルな完成度を誇っているM45A1。多くのマニアの期待を裏切らないはずだ。
バレルブッシングやリコイルスプリングプラグなどは、M.E.U.ピストルと同じ構成。マズルにはライフリングが刻まれている
スライドをホールドオープンさせたところ。アウターバレルは実銃同様シルバーフィニッシュとなっている
リアサイトは、ノバック社との正式契約により再現されたノバックローマウントキャリーサイトを標準装備
デティール
スライド前後に施されたフロントコッキングセレーションは、ピッチの間隔がやや広いのが特徴となっている
スライド左側面には、コルトとUSMCの刻印が打刻で入れられている。表面は実銃同様のタンカラーフィニッシュ
ノンホールタイプのソリッドトリガー、コルトXSEシリーズに準拠したスライドストップやマガジンキャッチを装備
カスタムガバメントらしくコルトXSEタイプのアップスウェプト・グリップセーフティとアンビサムセーフティを装備
ハンマーも、カスタムガバメントで一般的なエンハンスド(リング)タイプがチョイスされている
マガジンウェルは広げられており、マガジンチェンジしやすくなっている
実銃のデザートタンカラーのMIL-TAC製G10材・積層削り出しのチェッカードグリップパネルは、特殊印刷で再現
M45A1の特徴のひとつであるラージサイズ・グリップスクリューの内側には、緩み止め用のOリングが設けられている
スライドトップは、乱反射防止のセレーションなどが入れられていないシンプルなラウンドタイプ
アウターバレル同様のシルバーフィニッシュのチャンバーカバーには、N.M.(ナショナルマッチ)の刻印が施されている
ドーブテールタイプのフロントサイトにはホワイトドットが入れられている(実銃ではトリチウムサイト仕様)
スライド右側には「COLT GOVERNMENTMODEL」、アンダーレール右側には実銃同様のUIDコードと「U.S.」刻印が入っている
ベースとなったコルトレールガンよりダストカバー部分の厚みが増された20mmアンダーレール
ファイアリングピンはモールドで再現されており、リアリティがアップしている
アンビサムセーフティ右側はノッチ部分がグリップ内側の切り欠きに入り込んでいるのがわかる
従来型に比べてガスの気化スペースが増やされた新型マガジン。装弾数は27発。既存のガバメントシリーズのマガジンも共用できる
M.E.U.ピストル同様、ランヤードリング付きのストレートメインスプリングハウジングが装備されている
グリップのフロントストラップにはカスタムガバメントで一般的なチェッカリングやセレーションは施されていない
マガジンボトムには実銃同様のロープロファイルタイプのベースパッドが付属している
内部メカニズム
アップデートされたショートリコイルシステムが採用されたバレル。従来モデル同様、ダイヤル式可変ホップアップシステムを搭載
バレル基部左側面を見たところ。アウターバレルが垂直に降下する構造を採用。写真はアウターバレルが下降したところ
バレル基部右側面を見たところ。こちら側にある六角ネジは、アウターバレルの抜け止めを兼ねている
スライド内側左側面に設けられたスライドレールは、アウターバレルの作動にも重要な役割を果たしている
スライドが前進(閉鎖)した状態。ショートリコイルシステムは、アウターバレルが5mmほど水平移動後に垂直降下するようになっている
スライド後退後、再前進する時はスライドレール後部にある三角形のスロープ部がアウターバレルをすくい上げてチャンバー閉鎖となる
シリンダーのストロークが延長されたブローバックエンジン。ブリーチ部分の形状も従来モデルとは異なる
シリンダーを前進させたところ。ピストン部分にローラーが追加され、シリンダーの動きがスムーズになっている
実射インプレッション
東京マルイのM1911A1コルトガバメント、M.E.U.ピストルを所持している筆者としては、コルトM45A1 CQBピストルは発表当初から気になっていたモデルだ。完成度の高さは最新モデルにふさわしい
ブローバックエンジンやショートリコイルシステム、マガジンなどがアップデートされたことで、ブローバックフィーリングは明確に向上している。スピードと安定感を兼ね備えた実射性能が得られる
ロープロファイルなノバックサイトのサイトピクチャーは良好。操作しやすいカスタムパーツ類と構えた時の前後バランスがよく、カスタムガバメントらしいパッケージング。即実戦投入が可能だ
チェッカードグリップは、リアルな質感だけではなく適度に滑り止めが効いて握りやすい。グリップ左側のマガジンキャッチ付近がえぐられており、マガジンチェンジしやすくなっている
新たに導入されたショートリコイルシステムの滑らかなフィーリングは、スライドを引いただけでもわかる。作動性や機能性などすべての面においてアップデートされている
DATA
- 全長:222mm
- 全高:143mm
- 全幅:36mm
- 重量:823g
- 装弾数:27発
- 平均値……70.6m/s(0.50J)
- 集弾性:48mm(8m)
- 価格:¥18,800(税別)
- お問い合わせ先:東京マルイ TEL03-3605-3378
初速(m/s) | |
1発目 |
70.7 |
2発目 |
71.1 |
3発目 | 70.7 |
4発目 | 70.3 |
5発目 |
70.0 |
6発目 | 70.9 |
7発目 | 71.6 |
8発目 | 70.5 |
9発目 | 70.3 |
10発目 | 70.2 |
TEXT:毛野ブースカ
PHOTO:黒田敏之
MODEL:ダニー