2025/04/11
陸海空ねこの自衛隊日記 第6回『自衛隊ねこ、「自衛隊のレアキャラ」に遭遇!?』【02】
自衛隊をネコの目線から取材!
ある日、とある防衛施設に3匹の猫が迷い込み、そこで面倒をみてもらうことになりました。それぞれ「りくお」「うみすけ」「そらた」と名付けられた猫たち。お守り役の陸上自衛官「陸辺 周彌」海上自衛官「海瀬 旭傳」航空自衛官「空本 祐宇」を振り回しながら、お気に入りの装備品や手拭いを身に付け、今日も元気に施設を駆け回る日々を過ごしています。
そんなお気に入りのそれぞれのアイテムを身に着けた「じえねこ」が、今回アームズマガジンの「ねこライター」に就任!
ねこライター目線での自衛隊に関するレポートをお楽しみください!
りくお
66式鉄帽がお気に入りの少し丸めなねこライター。真面目な性格。陸上自衛隊を担当
うみすけ
水兵帽(猫サイズ)がお気に入りのもふもふなねこライター。マイペースな性格。海上自衛隊を担当
そらた
鷲の目型航空眼鏡(猫サイズ)がお気に入りの長身細身なねこライター。考えるより先に手が出る。航空自衛隊を担当
アームズマガジン読者の皆様、こんにちは! じえねこの「りくお」「うみすけ」「そらた」と言います! これからぼくたちが「ねこライター」として自衛隊について、ねこ目線でお伝えしていきますのでよろしくおねがいします!
第6回 Part2
本音を聞いて背中で指導する
隊員育成に対して心掛けていらっしゃることは何でしょうか?
偉そうにしていても本音を言ってくれないので本音を引き出すことが大事だと思っています。隊員には歩み寄るように、目線をそこに下げてですかね。
よく言われるのが、
「上に立つんじゃないよ、上に立ってお前の汚い足を見せてもしょうがないので、前に立って背中を見せましょう」
です。
最近はですね、ホワイトボードに書いてあるのですけど「状況判断のできる分隊長」と書いていますよね。
状況判断のできる隊員を育成しましょうと、状況の判断のやり方というのが陸上自衛隊の教科書に書いてあるのですよ。
そこに重きを置いて、内容的にはそういうのを指導して育成をしているのですけどね。
どんなことを言っているかというと
「目的と目標を明確にしなさい。何のために何をなすべきか考えなさい。しっかり本質を理解しましょう」
という指導をしていますね。
カッコ良く言いましたが、こういう感じで良いですかね?(笑)
(大爆笑)
ありがとうございます!隊員に背中で見本を示すという部分は、学校の先輩と後輩の関係性に類似していて、学校ならではだなと感じました。
最先任上級曹長のお部屋のホワイトボードに書かれていました!
カッコ良く言いましたが、こんな感じで良いですかね?(笑)
もっとカッコよさをアピールしてください!!
(大爆笑)
会計科部の最先任上級曹長の時にですね、最先任上級曹長という帽子と教官という帽子と担任の先生という帽子の3つの帽子を被っていたので、言いたくなっちゃうのですよね、学校の先生みたいに。
すいません(笑)
(大爆笑)
学校の先生だから仕方ないです(笑)
生徒の皆さんにも密に接する感じですか。
そうですね、そうしています。
先生から見て生徒さんはどうですか?
ちゃんと教えればちゃんとやってくれます。
若い隊員の質は高いです。
私が先生として心掛けていたのは、一般の大学を卒業すると卒業生がたとえ教授になったとしても学生時代の時に教えてもらった人は恩師になるでしょ、いつまでたっても抜けないでしょ。
陸上自衛隊はそういうことが無くて、やがて一緒に戦う仲間になるのです。
そういう熱い想いを持って授業を教えていたのですけど、まぁひとつは先生なので「わかりやすい教官」、その次に心がけていたのは「印象に残る教官」、最後は「憧れられる教官」という三つの事に着意してやっていましたね。
カッコいいですか?
かっこいいです!!!
(大爆笑)
ちょいちょいこういうのを出していきます!
ありがとうございます!!!
印象に残るようがんばります(笑)
やりがいしかない自衛隊
自衛隊に入ろうと思ったきっかけは何でしょうか?
正直に言いましょう、自衛隊に入ろうとは思いませんでした。
実は私、4歳の時に父親を亡くしているのですよ。
そして歳の離れた兄、叔父さんに自衛官がいましてですね、叔父さんが私の兄に「自衛隊に入れ」と、「親父が居ないのだから貧乏だろうと、食い扶持ひとり減らしただけならいいだろう」みたいな感じで言っていましたが、兄は行きたかったみたいでした。
そしたら母親が「寂しくなるからダメ」という歴史があったのですが、「お前、遊んでいるのだから自衛隊に入れ」と親に言われまして仕方なく自衛隊に入りました。
国防に燃えるとか志の高いものではございません!(笑)
過去にインタビューをさせていただいた皆様、積極的に入ったという方がいなかったような (笑)
仕方なく入りましたね
(大爆笑)
自衛隊に入って良かったことは何でしょうか?
若い頃は何が何だかわからないうちに月日が経っていったのですけど、おじさんになってからは、陸上自衛隊はやりがいしかないですよね。
こんな私でも皆さんのお役に立てたのかなと、とっても良いことだと思っています。
こういうことにやりがいを感じたなとか、具体的にはどういうことがございましたか?
やりがいしかないじゃないですか!
(大爆笑)
まさか被せてくる?!
豪快な返し技だぁ!
陸上自衛隊に「補職トラック」という「こういう風に勤務していくのが理想ですよね」という例があるのですけど、会計経理の人はもっと上に行っていますもんね。
そこまでやんなくていいでしょってぐらい命令を出されています(笑)
そうですよね、経歴を拝見していますとこんなに経理って仕事に種類があるのか思うぐらいに経理に関するすべての職種を経験されていますしね!
海賊対処も皆さんあまり知らないと思いますけど、ソマリアのアデン湾を通らないとアフリカからヨーロッパを外回りで行くと燃料代と人件費などで皆様の物価が倍になると言われております。
あまり知られていませんが、そういう部分でもお役に立っております。
災害派遣、原発もそうですが、もうやりがいしかないですよね。
あとはですね、私は、中央即応集団司令部っていまはないのですけど、今は陸上総隊と変わったのですけど、その前身ですが、新編、すなわち新しく立ち上がった時のスタッフですし、与那国の与那国駐屯地を作るために行ったのです。
各所の立ち上げに関わる機会が多かったこともやりがいに繋がったとお察しします。
やりがいしかないです!
しんどいです!
(大爆笑)
公平じゃないなぁって思っていますよ(笑)
これだけのキャリアがある方に開拓をしていただくためだったということだと思います!
そうだと良いのですが(笑)
自衛隊に入って苦労したことは何でしょうか?
入って苦労したのは、体力ですよね。
高校生の時に遊んでいるじゃないですか、不良でしたから(笑)
いや~走ることや整理整頓など、なんでこんなことやらないといけないのとか。
先ほども別件で洗濯機の話をしていたのですが、「脱水のやり方はどうやるのだろうね」とか最初はそうだったのですけど。
当時の自衛隊の洗濯機が全自動ではなかったので(笑)
そんな何もかもが大変でしたよ。
洗濯機の脱水の仕方などは中で誰かに教えていただいたのですか?
はい、そうですね。
あとは要領を得て指導係の班長という方がいるのですが、その方の目を盗んで楽をしようとしていました(笑)
最初の過程は、普通の高校生だったら大丈夫だったのでしょうが、私は不良だったので大変でした。
まぁそのぐらいですかね、大変なのって。
まあまあ当たり前だと思っちゃって、大変が大変だと思わなくなってきましたかね、中盤以降は。
また俺かよ~みたいな感じですかね。
入隊を考えているけど、体力に自信がないという人もいると聞きますが、そこはどうなのでしょうか?
全然余裕ですよ、慣れますから!
そんなに一流のアスリートみたいなことをやるわけじゃないですよ(笑)
一般的なイメージとして、そういうハードな感じなのかと思っている方もいます(笑)
全然です、みんなと一緒にやるので。
これまでの勤務で楽しかったことを教えてください。
楽しかったことですかぁ、仕事だと思っているのであんまり正直楽しいことはないのですけどね。
まあまあ勤務中と平素、余暇というか仕事外もあるのですけど、なかなか私は体験できないことを体験しているので結構楽しかったと振り返ればそうなのですけどね。
結構、先任上級曹長ってアメリカ軍と交流するのですよね。沖縄で勤務した時に、第3海兵遠征旅団(沖縄県うるま市にあるアメリカ海兵隊基地キャンプ・コートニーに司令部がある海兵隊の前方展開司令部隊)が沖縄にあるのですけど、パーティに呼んで一緒にご飯を食べることもありましたが、そういうのは楽しかったですね。
海外に行ったときも多国軍と交流していたので、アメリカはもちろんスペイン、ドイツ、フランスもですね。
派遣先で国際交流の体験を多数されたのかぁ、羨ましいなぁ。
語学を駆使して会話されたのですね、凄いですね。
全部、日本語ですよ。
ただ、私が怒っていることはわかるらしいです。
(大爆笑)
そうすると通訳が走ってきます。
(大爆笑)
これまでの勤務で辛かったことを教えてください。
一番つらかったのは東日本の震災ですね。
私は原子力災害の司令部にいたのですが、経理じゃなくて運用の事をやっていました。
作戦をおこなうところにいたのですけど、20キロ圏内ギリギリの海沿いにどの部隊を行方不明者捜索にどの部隊を充てようかというのを考えるのに事前に現地の偵察とかに行くのですけど、迷彩服を見ると現地の人が、あー自衛隊さんが来た、これやって、あれやってと言うのですよ。
でも私ひとりしかいないのですよね。
居たとしても幹部と合わせてふたりぐらいなのですよ。
ふたりじゃできないのですよね。
その・・・なんていうのですかね・・・出来ないというのが辛かったですね。
体力的に辛いというのはあまりないかな。
そういう気持ちの辛さはありましたね。
これまでの勤務で自慢や誇りに思っていることなどありましたら教えてください。
私は職種学校で職種のところで最先任上級曹長を誇りであり自慢ですね。
最先任上級曹長の辞令を受けたときは・・・
いやだよ、って言いました。
えーそうなのですか!?
しんどいのです
(大爆笑)
意外としんどいですから、やだよと言ったのですけどね。
先ほども言いましたが、将官にお仕えしている最先任は全国に77人しかいないけど、みなさん若い時から優秀で昇任もポンポン行ってという人が多いのですよ。
たぶん私ぐらいじゃないですかね、突然、急に最先任になっちゃったというのは。
きっとそうです、私はエリートじゃないので。
それは話を聞いていてわかると思いますが(笑)
いえいえ、ご経歴とそこで体感された経験から見て、ご立派な最先任上級曹長だと思います!
ぼくは学校にいる良き先輩な感じで適任だと思います!
最先任上級曹長ってお話を聞いていて、経験値の高い歴戦の隊員さんがなるものだと思っています。
そんなことないですよ、今は学校の成績が良いのがなっていますよ。
なので、半分は機能していないと思います。
私はそう思っていますね。
(大爆笑)
辛辣だけど、歴戦の勇者が言うと言葉の重みが違う気がする。
そういうところもあるからこそ、後輩に対して見本になったのだと思います。
自分らしく、小平学校らしくをモットーにやらせていただいています。
自衛隊の奇異な都市伝説?を時々巷で聞くのですが、これまでの勤務で心霊体験などの奇異な経験がありましたら教えてください。
全くありません、心霊など全く感じないタイプなので(笑)
自衛官の方は霊感が強いというか、そういうのに遭遇したことがある方が多いと聞くので、そういうお話を聞いてみたいという方は多いですね。
全くないですね。
申し訳ございません、まったく感じないタイプです。
いえいえ、お気遣いありがとうございます!
海外派遣に行かれている中で日本活動とは違い、海外ってこんなかんじなのだなということはございましたか?
あー日本の常識、世界の非常識ですからね。
モノを忘れていたら盗られても当たり前ですからね。
置いてあるから貰おうというのが当たり前です。
落とし物を届けるなんてないですね。
それは基地の中でも同じなのですか?
はい、同じですね。
私は、砂漠っぽいところで砂埃が凄いのでサングラスをしていたのですけど、ちょっと洗面所に行って洗って、サングラスを忘れて2分ぐらいたって戻ったらもう無いですからね。
え、凄い・・・
経理なので銀行とかも良く行くのですけど、駐車場が無いので道端に止めていくのですけど、勝手に駐車場係のおじさんがいるのです。
その人に50円ぐらい渡すと、いたずらをされないように見張っていてくれるのですよ。
車には日本の国旗は貼っているのですけどね。
そのおじさんに車をまかせて行くのですけど、車を降りた途端に子供たちに囲まれてポケット中に手を入れられて、何かないかと。
報道なので見たことはあります。
食べ物が欲しい、飲み物が欲しいというサインを送ってくるのですよね。
当然、気温50度ぐらいあるので水を持って歩いているのですけど、子供が水を欲しいというから飲みかけですがあげると喜んでくれます。
大人は飲みかけの水をあげると、飲みかけはいらないというのですよ。
自衛隊を舐めているなと思って、蓋を開けてそこで水を捨ててやりましたけどね。
そんな感じで、自衛隊を舐めるなという感じでやっていました。
ただ、そういうこともありましたが全体的には日本の事は好意的でしたね。
現地はそういう感じでしたか。
はい、各国軍人がいるのですけど、日本だけ良い想いがあるみたいですよ、なぜかわからないですけど。
現地の人たちとも好意的に過ごせたということですね
そうですね、総じて良好でした。
今までに現地に来た自衛隊隊員たちの姿勢が良かったからかもですね。
私、第3次派遣だったので意外と最初のころだったのですよね。
ただ子供の態度はあとでわかったことですが、前のやつら、何てことしてくれたのだと。
飴玉とか子供たちに渡すので、自分たちのポケットに手を入れてきたのですよ。
前任者がそういうことをしていたからだったのですね!
そういうことがあったなら、同じ服を着た人が来たらそうするよなぁ。
前任者の話だと、タクシーに乗ったら勝手にガソリンスタンドに連れていかれて、燃料を入れたから金払えと言ってきたのでみんなで走ってにげたとかですね。
そんなことが!
最初はそんなドタバタだったらしいですけどね。
こういう話ならば何時間でも話せますよ(笑)
こういうことがあったから気を付けろと、次の派遣担当者に伝わっていくのですね。
もちろん申し送りますね(笑)
…次回へ続く
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