エアガン

2025/03/07

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃

 

約40年前、アメリカ軍の制式拳銃がコルトM1911A1から、イタリア製の口径9mm×19のダブルアクションオートのベレッタM9(92SB-F)に更新され大きな話題を呼んだ。ここでは東京マルイのガスブローバックガンをもとにあらためて両銃の違いを検証する。

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃

 

 アメリカ軍の制式拳銃であるコルトM1911A1、ベレッタM9はそれらが制式採用された時代ごとに、軍による要求が異なっている。コルトM1911A1は.38口径のリボルバーより装弾数が多く素早く連射でき、相手を1発で撃ち止められる、いわゆるストッピングパワーに優れた.45口径弾を使えるオートマチックピストルが要求されたこと、つまり戦闘力ありきで開発、採用された。

 

東京マルイ
M1911A1 コルトガバメント ガスブローバックガン

 

東京マルイ M1911A1 コルトガバメント ガスブローバックガン
もっともミリガバらしいフォルムと言われる、コルトが1943年に製造したモデルを再現。スライド左側面のコルトのアドレスとパテントナンバーは東京マルイ初となる打刻によるもので、表面はブラスト仕上げ

 

DATA

■全長:218mm ■重量:798g ■装弾数:26発 ■価格:¥18,480

 

 一方、ベレッタM9は軍用拳銃の基本である耐久性に加えてNATO標準弾である9mm×19弾の使用、兵士の多様化に対応し左右両側から操作できるセーフティ機能や安全性の確保、撃ちやすさ、良好な整備性、調達コストなど、コルトM1911A1に求められた戦闘力重視ではなく拳銃としての総合的な性能や使い勝手が条件として求められた。2017年に採用されたM17/M18はさらにこれが推し進められ、マイクロドットが装着できるオプティクスレディ仕様、サイズの異なるグリップモジュールを交換できるモジュール化があわせて導入されている。

 

東京マルイ
U.S.M9ピストル ガスブローバックガン

 

東京マルイ U.S.M9ピストル ガスブローバックガン
先行して発売されたM92Fミリタリーモデルをバージョンアップ。デコッキング機能や可変ホップ、新型ブローバックエンジンによってリアルさと実射性能が向上し、各部に金属ウエイトが埋め込まれており重量感は申し分ない

 

DATA

■全長:216mm ■重量:944g ■装弾数:26発 ■価格:¥18,480

 

 このようにコルトM1911A1とベレッタM9の違いは明確だが、優劣をつけられるものではないことは、どちらも現役で軍・法執行機関や民間市場で使われ続けていることからも明らかだ。また、その後に登場する拳銃に大きな影響を与えており、M1911A1はブローニング式のショートリコイルシステムを持つオートマチックピストル、ベレッタM9はダブルアクショントリガー/デコッキング機能を持つオートマチックピストルの基本となった。

 

 

各部を徹底比較~ベレッタM9 VS コルトM1911A1~

 

フロントセクション

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
使用弾の違いだけではなくコルトM1911A1はバレルブッシングとリコイルスプリングプラグが付くため、ベレッタM9に比べてパーツ点数が多い。バレル長はどちらも5インチで、M1911A1はティルト式、ベレッタM9はロッキングラグ式のショートリコイルシステムを採用している

 

フロントサイト

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
小さい突起のようなコルトM1911A1に比べてベレッタM9は背が高くなって幅が広げられホワイトドット入りで視認性が高められている。どちらもスライドに固定されている

 

リアサイト

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
フロントサイトと同様、リアサイトもベレッタM9のほうが視認性に優れている。小さな溝があるだけのリアサイトはコルトM1911A1が開発された当時は視認性が重要視されておらず、どの拳銃も似たような形状だった

 

トリガー

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
両銃の大きな違いのひとつがトリガーだ。ベレッタM9はダブルアクショントリガーを採用。発射するとハンマーがコックされてシングルアクションになる

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
一方コルトM1911A1はハンマーを指でコックして発射するシングルアクションが採用されている

 

ハンマー/リアセクション

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
ベレッタM9はデコッキングしてハンマーをダウンさせたダブルアクション状態で携行する。コルトM1911A1は携行時はハンマーダウン(後述)、実射時にコックして撃つことからハンマーはコックしやすい形状となっている

 

デコッキングメカ

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
ベレッタM9にはデコッキングレバーを用いることでコックされたハンマーを安全にダウン状態にできる機能が搭載されている。一方コルトM1911A1は指を使ってハンマーをダウンさせなくてはならない。ベレッタM9のほうが安全であることはいうまでもない
(*東京マルイのM1911A1は実銃と異なり、写真のように指を使ってハンマーダウンするとハーフコックポジションで固定されハンマーダウンしないよう安全性に配慮して設計されている。ただし意図的にハーフコックにしないように注意する)

 

セーフティ

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
ベレッタM9のオートマチックファイアリングピンセーフティと左右両側から操作できるデコッキングレバーはハンマーダウン時のセーフティ機能も兼ねている。コルトM1911A1はサムセーフティとグリップセーフティのみ

 

グリップ

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
ベレッタM9はダブルカアラムマガジン、コルトM1911A1はシングルカアラムマガジンのためグリップフレームの厚みが異なる。どちらもグリップパネルは樹脂製、マガジンキャッチはボタン式で、ランヤードループが備わっている

 

マガジン

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
マガジンの装弾数はコルトM1911A1(右)の7発に対してベレッタM9(左)は2倍の15発になっている。1発のファイアパワーか、複数弾によるファイアパワーかを求めた結果、ベレッタM9のような9mm×19弾のダブルカアラムマガジンが一般化した

 

カートリッジ

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
ここでは他社モデルガン用のダミーカートリッジを使って両銃の弾を比較してみる。左がベレッタM9の9mm×19弾、右がコルトM1911A1の.45ACP弾。.45ACP弾は威力はあるがリコイルショックが強く、9mm×19弾は中威力だが.45ACP弾より撃ちやすく携行弾数が多い

 

フィールドストリップ

 

エアガンで検証!ベレッタM9 VS コルトM1911A1 新旧米軍制式拳銃
ベレッタM9はディスアッセンブリーレバーを下げればフレームからスライド、バレル、リコイルスプリング&ガイドが取り出せるが、コルトM1911A1はブッシングレンチがないとスライドからバレルが取り出せない。パーツ点数もコルトM1911A1のほうが多い

 


 

 

※記事中の価格表記は掲載時点でのものであり、特に記載のない限り税込みです。また、物価や製造コストの上昇、為替レートの変動により記事中に記載の仕様、価格は予告なく変更される場合があります。あらかじめご了承ください。

 

TEXT:毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年2月号に掲載されたものです。

 

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