実銃

2025/02/05

1980年代米軍銃器の基礎知識~1970〜80年代にかけて開発・更新されたアメリカ軍の歩兵用小火器~

 

1970〜80年代にかけて開発・更新されたアメリカ軍の歩兵用小火器

 

 

 東西冷戦下、20年近くにわたって続いたベトナム戦争が1975年に終結し、アメリカは経済的に疲弊し、国際的な批判も浴びる結果となった。そんな中、1970〜80年代にかけてアメリカ軍の主力兵器が続々と開発・更新された。アメリカ軍の主力戦車のM1エイブラムス (1980年制式採用)やM2ブラッドレー歩兵戦闘車(1979年制式採用)、主力戦闘機のF-15 (1976年運用開始)やF-16 (1978年運用開始)、攻撃機のA-10 (1977年運用開始)などが登場したのはこの頃である。


 一方、小銃や拳銃といった歩兵用小火器も同時期に開発・更新された。ベトナム戦争中の1967年に制式採用されたM16A1は、それまで使われた 「木と鉄」で作られたバトルライフルのM14とは違って小口径弾を使用し、プラスチックやアルミニウムといった最新の素材を駆使したアサルトライフルであった。制式採用まで紆余曲折があり、運用当初も様々な問題が発生し批判を浴びたものの、アサルトライフルというカテゴリーにおいて確固たる地位を築いた。

 そして、制式採用から10年が経過して徐々に老朽化が進み、更新の時期が近づいていたことと、後述するM249MINIMIが使用するNATO標準弾のSS109弾との共有化を図るため、M16A1を改良したM16A2が1982年に制式採用された。基本構造はM16A1から継承されているもののSS109弾に対応するために各部が強化され、ハンドガードやグリップ、ストックの形状変更、さらにベトナム戦争時に表面化したフルオートで一気に撃ちまくってしまうトラブルを防ぐ意味で、発射モードがセーフ/セミ/ 3バーストになりフルオートモードが廃止された。その後、フルオートモードを備えたM16A3、デタッチャブルキャリングハンドル仕様のM16A4が登場した。

 2000年以降、1994年に制式採用されたM4A1カービンが歩兵用小銃として一般化しM16A2は姿を消しつつある。実際のところはアメリカ軍の主力小銃がM16A2からM4A1カービンに代わったという公式のアナウンスはなく、曖昧なままSIG SAUERのXM7がアメリカ陸軍の次期アサルトライフルとして決定している。

 

コルトM16A2 (写真は無可動実銃)


 1980年代前半までアメリカ軍の制式拳銃は1927年にM1911の改良型として採用されたM1911A1 (コルトガバメント)が使われていた。M1911A1は第二次世界大戦中に製造が終了しており、戦後はリペアしたり余剰品を使うなどしていた。そんなM1911A1に代わる制式拳銃として1985年に採用されたのがベレッタ92SB-F(M9、後の92F)である。92SB-Fは口径は9mm×19、シングル/ダブルアクショントリガー、装弾数15発の多弾数マガジン、デコッキング機能を有するなど、1980年代における最新のスペックが備わっていた。

 M1911A1もそうなのだが、拳銃については国内外のメーカーが軍の要求に沿った銃を提出するトライアル形式で選定され、M9を決めた際のXM9サービスピストルトライアルではSIG SAUERのP226と最終的に一騎打ちとなり、アメリカ国内に製造拠点を設けることや納入価格などが決め手となりベレッタ92SB-Fが採用された。M9の制式採用から30年の時を経て2017年、今度はSIG SAUERのP320がM17/ M18として制式採用された。

 

 

 小銃、拳銃などの更新に加えて、アメリカ軍はベトナム戦争で使われたM60 GPMGに代わる機関銃として軽量で歩兵が携行しやすく、M16A2と共通の弾薬を使用するFNのM249 MINIMIを分隊支援火器 (SAW=スコード・オートマチック・ウェポン)という名称で採用した。もともとアメリカ軍は第二次世界大戦中、歩兵用小銃のM1ガーランドと、分隊支援火器のはしりといえるブローニングM1918 (B.A.R.)を採用していた。

 戦後、B.A.R.は廃止され、機関銃としての要素を高めたM60 GPMGを採用、M16A1が採用されてからは歩兵用小銃と機関銃が異なる弾薬で運用されていた。M249 MINIMIはB.A.R.より携行弾数を増やしつつ機動力を高めることで歩兵をバックアップする機関銃というポジションを確立した。

 

FN M249 MINIMI (写真はクラシックアーミーの電動ガン)


 時代を先読みリードしてきたアメリカ軍の歩兵用小火器。1980年代に登場したM16A2、M9、M249 MINIMIはアメリカ軍にとって不可欠な歩兵用小火器として30年以上に渡って使われた。M16A2はM4A1カービンを経てXM7が、M9はM17/ M18が、そしてM249 MINIMIはXM250がそれぞれ後継機種として制式採用された。いずれもしばらく更新されることはないだろうが、それらの銃器が新たなアメリカ軍の歴史を創り出していくことだろう。

 

 

TEXT:毛野ブースカ

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年2月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×