装備

2024/06/04

銃&マガジンを上手に携帯しよう! ホルスター&ベルトキット セットアップガイド

 

ホルスターの基礎知識から装備のコツまで徹底解説

 

ホルスターの基礎知識から装備のコツまで徹底解説

 

 ホルスターやマガジンポーチのセッティング方法にはセオリーがある。ホルスターやマガジンポーチのタイプや運用方法によってセオリーは変わるが、基本的なセオリーを覚えておくことが肝心だ。また、ウエストのサイズで装着できるポーチの数が変わるので、セオリーを意識しつつ自分のウエストのサイズに応じて調整しよう。ここではベルトマウントスタイルとベルトキットスタイルのセットアップ方法を解説する。

 


 

ホルスターの基礎知識

 

 ホルスターはおおまかに分けて5タイプあり、もっとも一般的なのは腰に装着するホルスターだ。素材はナイロン、皮革、カイデックス(強化樹脂)に大別できる。最近ではカイデックス製が主流で、銃がホルスターから落ちないようにロックが付属しているものや、アタッチメントを換えることで装着位置を選べるものがある。自分が所持している銃に適合していることはもちろん、使用目的に合わせて選びたい。

 

■OWBホルスター

 

 OWB(アウトサイド・ザ・ウエストバンド)ホルスターは、パンツやベルトの外側に装着する最もスタンダードなホルスターだ。ホルスター本体上部(エジェクションポート付近)がカットされたオープントップタイプ、身体に密着させることで携行性を高めたパンケーキタイプ、トリガーやエジェクションポート付近のみで保持するベルトスライドタイプなどに大別できる。

 

OWBホルスター
カイデックスホルスターには熱可塑性の合成樹脂製のシートを熱して成型したサーマルモールドタイプ(写真左)と射出成型によるインジェクションモールドタイプ(写真右)の2種類がある

 

OWBホルスター
主に牛革を使って作られる皮革製のホルスター。長時間身体に装着するにはカイデックス製より皮革製が適している

 

OWBホルスター
エジェクションポート部分がカットされているオープントップタイプホルスター。各社によってカットされている範囲が異なるが、こうすることで、ホルスターから銃を素早くドロウできる。ただし秘匿性、保持性は劣る

 

OWBホルスター
パンケーキタイプホルスターの身体側にはボディシールド(スウィートガード)が付属しているものがある。フルサイズとハーフ(ショート)サイズがあり、フルサイズはリホルスターの際にシャツなどを巻き込みにくい反面、身体に食い込む場合がある

 

 またOWBホルスターには銃の角度(カント)は0°(ストレートカント)と10°、15°(FBI=Forward Body Incline/前方傾斜)があり、製品によっては角度が任意に調整できるものがある。ベルトなどへの装着方法は主にベルトループタイプとパドルタイプがある。

 

OWBホルスター
ホルスターの角度(カント)がストレートタイプ(銃口がほぼ真っ直ぐ下を向いている)の場合、利き腕側の身体の真横(3時方向)、もしくはパンツの側面にある縫い目付近にトリガーがくるように装着する

 

OWBホルスター
ホルスターが前向きに10度傾いているFBIカントの場合、利き腕側の身体の斜め後ろ(4~5時方向)に装着する。FBIカントのホルスターの多くが、携帯性・秘匿性を高めるためにグリップの位置が高くなっている(=ハイライド)

 

OWBホルスター
レースガン用のレースホルスターや写真のシュアファイアのマスターファイアなどは身体の真横から斜め前(1時~2時方向)に装着するフォワードポジション。ストレートカントなどに比べて素早くドロウできるが携帯性や秘匿性は劣る

 

■IWBホルスター

 

 IWB(インサイド・ザ・ウエストバンド)ホルスターはパンツの内側(パンツと身体の間)に装着するホルスターのことだ。身体の正面に対して5時方向(右斜め後方の背中側、左利きの場合8時方向/左斜め後方)に装着するフォー・オクロックポジション(4 o’clock position)、2時方向(右斜め前方の腹側)に装着するトゥー・オクロックポジション(2 o’clock position)、身体のほぼ正面(腹側)に装着するアペンデックスポジションに大別できる。秘匿性が高いのはフォー・オクロックポジション、素早くドロウできるのはアペンデックスポジションとなっており、最近はアペンデックスポジションタイプの人気が高い。

 

IWBホルスター
IWBホルスターでもっとも一般的なのがフォー・オクロックポジションだ。フォー・オクロックとは利き腕側の身体の斜め後方(4~5時方向)に装着する。アペンデックスに比べるとドロウスピードでは劣るが、秘匿性は高い

 

IWBホルスター
パンツの中にホルスターを装着するIWB(インサイド・ウエスト・バンド)ホルスターの中でも、ここ最近人気があるアペンデックスポジション。アペンデックスとは虫垂のことで、利き腕側の身体の前方(0~2時方向)に装着する

 

IWBホルスター
RCS(レイブン・コンシールメント・システムズ)のVANGURDシリーズはトリガーガードだけをカバーするミニマリストIWBホルスターだ。ベルトループタイプとランヤードタイプがあり、一般的なホルスターに比べて厚みがない分だけ秘匿性は高い。ただしドロウスピードや安全性に関してはやや劣る

 

IWBホルスター
ポケットに収納できるポケットホルスター(ギャルコ製。参考品)はJフレームリボルバーやPPK/S、P230などスリムなコンパクトハンドガンに適している。目立たずに携帯できる反面、ポケットが小さかったり(奥行きがない)、タイトすぎると収納できない。事前にポケットに収納できるか確認しておこう

 

■リテンションホルスター

 

 リテンション(=保持)ホルスターとは、わかりやすく言えば銃が抜け落ちないように(もしくは抜かれないように)ロック機構が追加されているホルスターのことだ。軍・法執行機関向けのホルスターに見られる。リテンションの度合いによってレベル分けされている場合がある。皮革製ホルスターに見られるサムブレイクタイプはもっともコンベンショナルなリテンション方法。リテンションホルスターを積極的に開発しているのがサファリランドである。SLS、ALS、GLSといったロック機構は、素早い解除と確実な固定を両立させている。

 

リテンションホルスター
サファリランドのALS(オートマチック・ロッキング・システム)ホルスターはグリップした手の親指でロックを解除する

 

リテンションホルスター
サファリランドのGLG(グリップ・ロッキング・システム)はグリップした手の中指でロックを解除する

 

■タクティカルホルスター

 

 タクティカルホルスターは別名「サイホルスター」と呼ばれており、その名のとおりサイ(=太もも)に装着するホルスターだ。縦長のベルトループと太ももに装着するためのストラップが付属しているのが特徴。ヒップホルスターに比べて銃の装着位置が下がるので、タクティカルベストやボディアーマーなどを着用した時に適している。ただし、あまり装着位置を下げすぎると動きにくくなるので、手を自然に下げた状態でグリップできる位置がベストだ。

 

タクティカルホルスター
ドロップレッグタイプのタクティカルホルスターは、身体の真横から斜め後ろ(3~4時方向)に装着する。肘が少し曲がる程度の(身体を傾けずに自然にグリップが握れる)高さにすることが重要

 

■ショルダーホルスター

 

ショルダーホルスター

 

 ヒップホルスターよりもさらに携帯性を高めたのが「ショルダーホルスター」だ。ハーネスを用いて肩から吊るしてホルスターを脇に装着する。写真のギャルコ・マイアミクラシックの場合は左脇にホルスター、右脇にダブルマガジンポーチというレイアウトになる(右利きの場合)。ホルスターの角度によってホリゾンタル、バーチカル、アップサイドに分類できる。

 

■ファニーポーチホルスター

 

ファニーポーチホルスター

 

 「ファニーポーチホルスター」はいわゆるウエストポーチ内にホルスターの機能を持たせたものだ。銃を携行していることを徹底的に悟られたくない場合や、カジュアルなファッションの場合に用いる。構造上、スピーディーに抜くには不向きだ。またデザートイーグルなどあまり大きな銃には適していない。

 

 

ホルスター&ベルトキットのセットアップ

 

■ベルトの種類

 

ベルトの種類

 

 ホルスターを身体に装着するにはガンベルトが必要不可欠だ。ガンベルトをチョイスする際に重要なのが幅と素材だ。幅は下から1.25インチ、1.5インチ、1.75インチ、2インチ。素材はナイロン製(上写真・上2例)と皮革製(上写真・下2例)。コシのあるものを選び、ホルスターに付属するベルトループ幅に合致したものにしよう。

 

ベルトの種類
KORE ESSENTIALSのEDCガンベルトはラチェット式バックルにより1/4インチ単位で調整できる。ベルトの幅は1.5インチ、素材にナイロン/スーパーファイバーインナーを使用している

 

■ベルトマウントタイプ(コバートキャリースタイル)

 

ベルトマウントタイプ(コバートキャリースタイル)

 

 ガンベルトをパンツのベルトループに通してホルスターを装着するベルトマウントタイプ。写真はコンシールドキャリースタイルで、利き腕側にホルスター、利き腕とは反対側にマガジンポーチを装着したコバートキャリースタイル。基本的に致死性のあるもの(銃、ナイフ)は利き腕側、非致死性のもの(スペアマガジン、催涙スプレー、フラッシュライト)は利き腕とは反対側に装着する。

 

ベルトマウントタイプ(コバートキャリースタイル)
ベルトマウントタイプを正面から見たところ。ストレートカントのOWBホルスターの場合、右利きなら3時方向( ほぼ右真横)、10カントのOWBホルスターの場合、4時方向に装着する。マガジンポーチも同様に9時方向(ほぼ左真横)に装着する。こうすることで上着を着用した場合に、相手から見えない

 

ベルトマウントタイプ(コバートキャリースタイル)
右側から見たところ。ホルスターをほぼ真横に装着し、銃口が前方を向くフォワードカントの場合は真横より前に装着する

 

ベルトマウントタイプ(コバートキャリースタイル)
左側から見たところ、装着位置は裏面のベルトループ(アタッチメント)の種類やパンツのベルトループによって微調整が必要

 

■ベルトキットタイプ

 

ベルトキットタイプ

 

 ベルトパッド(もしくはデューティーベルト)を利用してホルスターを装着するベルトキットタイプ。ベルトキットは「ファーストラインギア」として用いられており、パンツベルトの上から装着する。利き腕側にホルスターとメディカルポーチ、中央付近にダンプポーチ、利き腕とは反対側にハンドガン用マガジンポーチ、ライフル用マガジンポーチを装着する。

 

ベルトキットタイプ
近年主流なのがベルクロフックのインナーベルトをパンツに通して、それを覆うようにアウターベルト(ベルトキット)を固定する方法だ。インナーベルト、アウターベルトともにサイズの設定がシビアになるが、激しい動きをしてもズレにくく(特にしゃがんだ時にズレにくい)腰への負担も減少する

 

ベルトキットタイプ
ベルトキットタイプを正面から見たところ。写真のBDSモジュラーシューターズベルト w/Dリングコブラバックルはベルトの両端を真ん中で被せるようにして張り合わせ、さらにその上からコブラバックルで固定している

 

ベルトキットタイプ
右側から見たところ。プレートキャリアを着用してもドロウしやすいようにベルトループはミッドライドポジションをチョイス。ベルトループにレッグストラップを装着することでホルスターの位置を安定させている。ホルスターは個人的な好みからストレートに近い角度にしている

 

ベルトキットタイプ
左斜め正面から見たところ。素早くセカンダリーウェポン(ハンドガン)用マガジンを抜くためにハンドガン用マガジンポーチを斜めに装着。これはIPSCなどのアクションシューティングのシューターの装備からヒントを得ている

 

ベルトキットタイプ
ピストルマガジン2本とライフルマガジン1本を携行するのが基本だ。作戦中にマガジン交換を迅速に行ないたい場合は、ベルトキットのマガジンから交換する。そのため各種ポーチは画像のようなオープントップタイプで、ポーチ本体のテンションでマガジンを保持するものを使用することが多い

 

ベルトキットタイプ
ライフル用マガジンポーチの後ろにフラッシュライトポーチ、さらにその後ろにダンプポーチを装着。ダンプポーチは芯が入った大型の開口部を備え、軽量化と水抜けを考慮したメッシュ素材を組み合わせたものを選びたい

 

ベルトキットタイプ
ホルスターの後方には止血帯とメディックポーチを装着する。メディックポーチに止血帯を固定する方法もある。これらはあくまでもリアル志向のセットアップなので、サバイバルゲームオンリーなら装着しないほうが動きやすい

 


 

TEXT:アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年6月号に掲載されたものです。

 

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