エアガン

2024/03/26

フィクションの銃を作る「カーヴ+(プラス)後編」

 

近未来のEDC

 

 

 こんにちは、結利晴信ゆうりはるのぶです! 本コーナーでは「ストーリーと世界観を持った空想カスタムを製作してみよう」をコンセプトに、一作品の企画から完成までを前後編にわたりくわしく解説しています。

 

前回はこちら


 前回に引き続き、「未来技術で改修されたEDC(エブリデイキャリー)用の銃」をコンセプトに作品を作っていきます。

 

スライドを加工する

 

溝を彫る端部にセロハンテープでマスキングしておきます

 

0.2mmくらいのアルミ板をカッターで切って溝彫りのガイドを作ります

 

スライドに両面テープで固定し、ガイドに沿ってウェーブ「HG 細幅彫刻刀 平刀 刃幅2.0mm」で溝を彫りましょう

 

薄くスライスするように何度も彫って、スライドの溝彫り加工完了です!(´∀`)​​​​​

 

 

パーツの塗装

 

 

使用スプレー塗料

  • 染めQテクノロジィ「ミッチャクロン マルチ」
  • キャロムショット「ステンレスシルバー」
  • ソフト99「ボデーペン ウレタンクリアー」
    ※キャロム「ジルコニアクリスタル」使用予定でしたが市場在庫なしのため今回はウレタンクリアで代用

 

塗装したくない部分(今回はエキストラクターとチャンバーカバー)をセロハンテープで丁寧にマスキングし、割り箸などを持ち手として取り付けて塗装準備をします(`・ω・´)

 

まず樹脂素材へのプライマー(素材との密着剤)として染めQテクノロジィ「ミッチャクロン マルチ」(20分乾燥)を使用。薄く塗るのがコツです

 

乾燥待ちの間にインナーバレルの先端をバーチウッド「ブラスブラック」で黒染め。平筆で液をつけ→黒く変色してからティッシュで拭き取り、を好みの濃さになるまで繰り返しましょう

 

キャロムショット「ステンレスシルバー」(冬季/96時間乾燥)を塗装。コツはいつもの通り「薄く・何度も・重ね塗り(・∀・)」です

 

 

デカール貼り

 

完全に乾いたらスライドの凹み部分にハイキューパーツ「JPNデカール02 グレー」を貼ります。凹み部分に貼るのはパンツイン(コンシールド)した際に擦れて剥げるのを少しでも防止したい狙いもあります(;´Д`)

 

 

仕上げ塗装

 

仕上げのトップコートとしてソフト99「ボデーペン ウレタンクリアー」(1週間乾燥で完全硬化)を塗装

 

 

スライドの仕上げと組み立て

 

完全乾燥したスライド前後の溝部分に、レイメイ藤井「蛍光ボードマーカー 水性細字 グリーン」で着色。はみ出した部分は乾いてから爪楊枝などで擦ってやれば簡単にとれます

 

先月号の分解と同じくネットと記録撮影写真を参考に銃全体を組み立てて完成!

 

 

完成!! CURVE+

 

 

 

空想銃の世界観説明

 

 ネットワークが世界中を覆いつくした近未来。スマートフォンのように様々な機能が備わった眼鏡、スマートグラスは発売と同時に爆発的に普及した。日々の生活に関わる情報はすべてスマートグラスに集約され、HUDによって装着者の視野に投影されるのが当たり前となり、自動車や家具家電、街を彩る電飾看板までもがスマートグラスの視野とリンクし情報を提示する時代が始まった。そんな中、銃器メーカーは古い銃器を改修し、スマートグラスとリンクさせるという独自のサービスを開始した。IT大手のスマートリンク社が社名と同名の技術“SMART LINK”として開発したシステムを、2015年に発売された「CURVE」に搭載し発売したのは業界でも注目されるニュースであった。SMART LINKに登録したCURVE+を構えるとアプリケーションが起動し、銃の状態や装弾数などがスマートグラスを介して視野内に浮かび上がり、銃本体に備わったガンカメラが標的を捉えると自動で最適な照準位置を表示する。アイアンサイトを備えていないCURVE+のコンセプトとも合致した優れたシステムであると評判が良く、スマートリンクの売れ筋製品となっている。

 

C.A.Rスタイルの射撃にも対応できるようにスライド斜め上には蛍光塗料による簡易的なサイトシステムが構築されている。これはSMART LINKによる射撃支援アプリを使用した際の目印になるほかに、スマートグラスの故障やハッキングといったトラブルが発生しても銃が使えるようにエマージェンシーサイトとしての機能も備えている。フレーム側の排熱穴はガンカメラやCPUの熱を逃がすためのものだ

 

スライドにはコーションマークなどがあり、銃器の取り扱いに不慣れなユーザーでも怪我をしないように配慮がなされている。犯罪が多発する地域においてEDCガンは日常生活になくてはならない存在のため、初心者でも安全に扱える機能性を求められる

 

グリップ付け根のくぼみにはステッピング加工が施されており、銃を握り込んだ際の安定感が向上している。不意に襲ってきたトラブルに対処するため、ズボンのベルトなどに挟んだEDCガンを取り出す際は、銃をしっかりと握り込むことができないまま射撃をしてしまうユーザーも多いためこうした細かい加工によって命中精度を高める努力がなされている

 

スライド後端にはリアサイトの代わりに蛍光塗料のラインが彫りこまれている。ガンカメラの情報、そしてスマートグラスのカメラがこの塗料の位置を読み取り、銃の傾斜や弾道を計算し、射手に最適な照準位置を表示するというシステムだ

 

 というわけで"カーヴ+(プラス)"完成です。東京マルイの固定スライドガスガン・カーヴをベースに「未来技術で改修されたEDC(エブリデイキャリー)用の銃」にアレンジしてみました。こんな風に明確なイメージと結び付けて製作すると工夫次第でとても存在感のあるオンリーワンなカスタムガンを作ることができます。もしお家に使わずに眠っているエアガンがあれば、ちょっと想像力を広げてあなただけの「空想銃」を作ってみてはいかがでしょう?(*´ω`)

 

 

 本作品はYuriCustom WorksのHPでもストーリー設定付きで詳しく紹介しています。よろしければご覧ください。

 

作例製作・文:結利晴信

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年4月号に掲載されたものです。

 

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