2023/08/26
【実銃】映画『エクスペンダブルズ』で実際に登場した「AA-12」をぶっ放す
CQB(近接戦闘)において、OOバックの12ゲージショットシェルをフルオートでぶっ放せたら、その効果たるや甚大なものになるに違いない。今回は映画『エクスペンダブルズ』に登場した銃そのものであるブランク(空砲)ガンのAA-12の実銃レポートを公開しよう。
AA-12
- バレル長:18インチ(約457mm)
- 全長:38インチ(約966mm)
- 重量:4.76kg
- 装弾数:8/20/32発(毎分300発)
- 作動方式:フルオートオンリー/12ゲージショットガン/オープンボルト/ロックドブリーチ/ガスオペレーテッド
AA-12。現時点では「オート(AUTO)アサルト(ASSAULT)-12」がその名称とされているが、元々はオリジナルデザイナーであるマックスウェル・アッチソン(Maxwell Atchisson)の名字から「アッチソン・アサルト‐12」と命名されたという経緯がある。このあたりのヒストリーを遡ってみよう。
AA-12は、1972年にマックスウェル・アッチソンによって開発されたセミ/フルオート12ゲージショットガンである。72年というと、ベトナム戦争がようやく終局に向かいつつある頃であったが、この12ゲージショットガンの開発目的は、紛れもなく今でいうCQB(近接戦闘)におけるミリタリーコンバットによる使用であった。当初のモデルは、オープンボルトからのシンプルブローバックアクションだったが、その重いボルト(約1.4kg)に長いトラベル(後退距離)と長大なスプリングを与え、そのリコイルを押さえ込むというユニークな機構を備えていた。
1987年、マックスウェル・アッチソンはAA-12のすべてのパテントを、ミリタリーポリスシステムズ(MPS Inc.)に譲渡する。同社のオーナー兼デザイナーのジェリー・ベイバー(Jerry Baber)によるAA-12の改良は、その後18年の長きにわたり、200カ所近い設計変更を受け2005年に完成する。
同じAA-12でも、「アッチソン・アサルト‐12」から「オートアサルト‐12」に改名されたショットガンは、より強力な弾薬に対応するため、アクションをロックドブリーチ、ロングストロークピストン・ガスオペレーションに変更し、驚くほどの低いリコイルを実現させたフルオートオンリーのショットガンに変貌した。
ステージガンで見えた実力の一端
今回ラッキーにも取材することができた個体は、映画関連の銃器レンタル会社である“ISS(インディペンデント・スタジオ・サービス)”が所有する2挺の内のブランク(空砲)ガンである。それもなんと映画『エクスペンダブルズ』に登場した銃そのものなのだという。当然、このショットガンは映画用にブランク(空包)を撃てるように改造が施してあるが、元は実銃なのだ。
このあたり、ISSのウェポンマスターであるラリー・ザノフに説明してもらった。
「映画用ステージガンには、発火アクション用ブランクガンと外形のみのモデルガンという2種類があります。ブランクガンは、基本的に実銃をベースとして特別に作ったブランクで作動するように改造したものです。どの位のマズルフラッシュ(銃口からの発射炎)を出すか、発射のサイクルをどうするかなど、各レンタル会社のウデの見せどころとなります。このAA-12はアクションがガスピストンなので、比較的簡単に銃口にアタッチメントを装着するくらいでブランクガンになります。実弾を撃てるように戻すのも簡単な部類ですね」
当初は特別なレンジを借り切って、実弾射撃をすべく動いていたが、なにせここはガンコントロールの厳しいカリフォルニア州だけあって様々な制約があり、これを実現するには莫大な費用がかかることもわかってきた。
そこで、今回はこのAA-12をISSから持ち出すことなく、社内での撮影と映画で使ったそのままのブランクをこれまた社内の試射室で撃たせてもらうということでハナシはまとまった。実弾でのレポートをお届けしたかったが、銃そのものはジェリー・ベイバー本人が作り上げた実物なので今回はこれでご勘弁願いたい。
それでも空包の実射はウェポンマスターであるラリーと、装填など実際の作業を行なうアーマラーと呼ばれる人がつきっきりで安全管理をするというモノモノしさである。
毎分300発の高いコンバットポテンシャル
実際に撃ってみるとAA-12のコンバットポテンシャルは、相当のものといえるだろうと感じた。誰もがオペレーターになれるとは考え難い。相当な訓練を積み、どの状況でどの弾薬を使うかを分別できるマインドセット(戦闘に特化した決断力)ができていないと、優れたウェポンも凶器でしかない。さらには弾薬の携行方法や、携帯量の問題もある。なにせ、20連マガジンは、フルオートなら4秒でエンプティなのだから。
より詳しいレポートは月刊アームズマガジン2023年7月号に掲載されている。気になる方はそちらもチェックしていただければ幸いだ。
Text & Photo:Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2023年7月号に掲載されたものです。
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