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2022/12/18

【モケイパドック】ショップの流儀 ──「エアガン総合ショップ」のカスタムにかける情熱を追った──

 

 10月某日。いまだ夏の残り香を感じさせる日差しが降り注ぐ中、我々アームズマガジン編集部はエアガンカスタム特集の一環で千葉県八千代市に所在するエアガンショップ、「モケイパドック」を訪れていた。
 出迎えてくれたのはモケイパドックの工房・イベント総括部長である今井和也氏。メディアやイベントにも数多く出演し、「でめちゃん」の愛称でも親しまれる今井氏がショップカスタムにかける情熱を語ってくれた。インタビュー形式でその熱い想いをお伝えする。

 



モケイパドック 工房・イベント総括部長

今井和也

 


─エアガンのカスタムショップとしても高い人気を誇るモケイパドックさんですが、どういった考えのもとカスタムに向き合っているのでしょう。

 

今井氏 「何をおいてもまずは、お客様に誠実でありたいなと思っていますね。今の時代、カスタム1つするにも選択肢がたくさんある中で、僕たちのショップにお金を払ってでも依頼したい、と思ってくれたお客様のために真摯に取り組みたい。その思いはいつも根底にあります」

 

─たとえばどういったことに取り組んでいますか?

 

今井氏 「プロとしてカスタムを請け負う以上、プロらしさというか、お客様の手に渡ったときに『ショップカスタムらしさ』みたいなものを感じてもらえるよう、努めているところはあります。たとえばメカボックスの中の配線も、きちっと無駄なくキレイに通すようにしています。安心感って人それぞれ感じるところが違いますけど、だからこそ基礎となるような、『丁寧にやる』みたいなところはブレずに取り組んでいます。他には、イベントなんかでよく『でめちゃんにカスタムしてほしいな!』なんて言ってもらうんですけど、モケイパドックでは『でめちゃんのカスタム』みたいなのはやってないんです。工房のスタッフ一人ひとりに対し『モケイパドックのカスタム基準』というのをしっかりと指導して、担当者が変わってもそこがブレないようにしている。スタッフの好みや感覚の違いで同じメニューでも違いが生まれてしまうようでは、やっぱりショップとして誠実な姿勢とは言えないなと思うので。誰が担当しても『パドックのカスタム』として出来上がるようにしています」

 

─プロとしての誇りをもってカスタムに向き合っていると。確かに、自分でカスタムするときは適当に済ませるところでも、きちっとして返してもらうとなんだかうれしくなる気がします。他には何かありますか?

 

今井氏 「そうですね、たとえば僕たちが担当したカスタムガンはすべてデータベースに登録してあります。そこを参照して、このバレルとこのノズルは相性が悪い、みたいなところも判断して、1挺ずつ最良のカスタムが施せるように取り組んでいます。こういう、データを利用したカスタムが容易にできるところはショップに依頼するメリットなんじゃないかな、と思っています」

 

 

─なるほど。それでは、少し聞きにくいことなんですが、最近はSNS上で個人にカスタム依頼をするなんてことも増えています。そういった時流に対してショップ側としてはどのように感じているのでしょうか。

 

今井氏 「個人へのカスタム依頼というのもいいと思うんです。信頼関係が成り立っているから任せようと思うわけですから。でも、そういう信頼できる相手をゼロから見つけるのって難しいじゃないですか。そんな時に、モケイパドックという看板を信頼して任せてもらえたらうれしいなと思います。最近は本当にエアガンの楽しみ方が多種多様になっていて、合わせてカスタムに求めるものも変わってきています。たとえば昔と比べて外装へのこだわりが強くなった。そういうこともあって、ユーザー側が選択肢を広く持つことはいいことだと思います。だからこそ、モケイパドックを選んでくれたお客様には誠実に向き合いたいな、と思うんですね」

 

─確かに、エアガンユーザーの幅はどんどん広くなっていますよね。

 

今井氏 「こういうスタンスを貫いていると、正直採算的には厳しいところも結構あります(笑)。たとえばカスタム依頼を受けて、メカボックスを開けてみたら傷んでいるパーツがある。そうした時に黙って交換して、『換えときましたよ!』っていうのは親切なように聞こえるけれど、その実親切じゃない。ちゃんとお客様に連絡して、電話に出なかったら後でかけ直して、きちんと『ここのパーツを換えた方がいいんですけど、よろしいですか?』と確認するのが本当に親切で誠実な態度。当然その間スタッフの人件費なんかも発生するので、儲け的にはマイナスではあるんですけど、誠意に欠ける仕事をするよりはるかにいいと思っています」

 

パドックでカスタムした際に渡される保証書。エアガン初心者にも理解しやすい文章で書かれている。こういったところにも顧客第一の姿勢が見て取れる

 

─そこまでの熱量を持って取り組んでいらっしゃるんですね。

 

今井氏 「やっぱりお金を払ってもらっているわけですから、そこで適当なことはしたくないですよね。結構『ショップカスタムは割高だ!』なんて声も聞こえてきたりするので、少なくとも利用してくれた方には値段以上の満足感を持ってもらいたい。とはいえ、工賃以外の面も考慮すると、決して高い値段ではないんじゃないかな、と僕は思ってるんですけど(笑)」

 

 

─そうですよね。ショップカスタムはいわば「安心を買う」という側面もあると思いますし。

 

今井氏 「そうなんですよ!(笑) さっき言ったような蓄積したデータベースをはじめ、モケイパドックというショップが積み重ねてきた試行錯誤を基に確立した手法で行なっているカスタムなので。安心という意味ではかなりのものだと自負しています。ショップカスタムってどうなの?って思っている方にこそ、ぜひ一度体験してみてほしいですね。絶対に『頼んでよかった!』と思ってもらえる自信がありますので」

 

─もっとたくさんお話をお聞きしたかったのですが、残念ながらお時間となってしまいました。「ショップカスタム」と一口で言っても、その裏側には大変な努力と情熱があったのですね。ショップの見方が大きく変わったように思います。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

 

モケイパドックのカスタム工房では常に笑い声が絶えない。従業員が楽しく働いていることも、モケイパドックをここまで成長させた一因なのだろう(※撮影のためマスクを外してもらっています)

 

TEXT:ポスカ/アームズマガジンウェブ編集部

協力:モケイパドック

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年12月号 P.80~81をもとに再編集したものです。

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