装備

2018/12/21

VALLEY APPAREL BASIC MA-1【2019年1月号掲載】

 

あの頃の憧れが蘇る!
メイドインUSA&オーセンティックなMA-1が登場

 

MA-1が大ブームとなった1980年代中頃、当時学生だったアラフィフ世代にとってMA-1は単なる流行服ではなく大人の男への憧れのジャケットであった。中田商店がリリースするVALLEY APPARELのBASICMA-1は、そんなアラフィフ世代に贈るMA-1である。当時のブームを牽引した中田商店の話を交えながらVALLEY APPARELのBASIC MA-1の特徴を紹介しよう。

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

 

  • 価格:¥21,384
  • カラー:セージグリーン、ブラック、ネイビー
  • サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL
  • 12月上旬発売予定

 

 日本でMA-1の爆発的ブームが巻き起こった1980年代の型紙で作られたメイドインUSAのVALLEY APPARELのBASIC MA-1。アルファインダストリーズに40年以上務めた当時の工場長であり、VALLEY APPARELのオーナーであるJohn Niethammerが作り上げた、まさにMA-1を知り尽くした男が贈るMA-1なのである。近年流行しているMA-1は、時代にあわせたスリムなスタイルだが、腰までしかない短めの丈でボリューミーなのがオーセンティックなスタイル。裏面がインディアンオレンジのリバーシブル仕様やニット襟など細部の特徴もそのまま。色は定番のセージグリーンとブラック、ネイビーの3色。

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

スナップボタン式のフロントポケットの内側にメーカータグとサイズ表が縫い込まれている

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

MA-1のスタイルを象徴するリブ仕様のニット襟

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

襟と同様、袖口もリブ仕様のニットとなっている。右袖にもメーカータグが縫い込まれている

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

緊急時の救援要請用に裏側はインディアンオレンジになっているリバーシブル仕様なのがMA-1の特徴。ジッパー裏に防風用の前立てがついているのがわかる

 

VALLEY APPAREL CWU-45/P

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

 

  • 価格:予価¥21,384
  • カラー:セージグリーン、ブラック、ネイビー
  • サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL
  • 12月上旬発売予定

 

 MA-1の後継であり、現在も納入され続けているCWU-45/P。CWUとは「コールド・ウェザー・ユニット」の略称で、実物は生地に難燃素材であるアロマティック・ポリアミド(ノーメックス)が採用されている。立ち襟やフラップ付きポケット、左胸のテープパッチが特徴。VALLEY APPARELは45/Pを納入品と同じデザインでリリースしている。

 

VALLEY APPAREL N-3B

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

 

  • 価格:予価¥26,784
  • カラー:セージグリーン、ブラック、ネイビー
  • サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL
  • 12月上旬発売予定

 

 アメリカ空軍が極寒地用として開発したスノーケルパーカーがN-3Bだ。ナイロンとコットンの混紡素材のシェル、ポリエステル100%のライニング、シンセティックファー付きフルサイズフード、カバーが付いたリブ仕様の袖口ニット、ハンドウォーマーポケットが特徴。ウインタージャケットの決定版と言っても過言ではない。

 


 

フライトジャケット狂想曲 ~MA-1一大ブームの裏側~

 

 ここ近年、若い女性層を中心にMA-1が流行している。実際にはMA-1のスタイルやカラーをモチーフにした「MA-1っぽい」ジャケットがほとんどで、1980年~1990年代にかけて男性の間で大流行したMA-1は、米軍納入品をもとにダウングレードした、主にアルファインダストリーズが製造したコマーシャルバージョンだ。その当時学生だった筆者もセージグリーンのMA-1とブラックのCWU-45/Pを購入したひとり。筆者と同じアラフィフ世代はMA-1に対して特別な思い出があるはずだ。

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

中田商店で保管されている実物のCWU-45/P。現在は左側のタンカラーモデルが支給されている。もしメーカーから実物新品を直接購入すると販売価格は12~13万円になる。ちなみにCWU-45/Pの払い下げ品はめったに出てこないという

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

CWU-45/Pのタグには「VALLEYAPPAREL」と入っている。VALLEYAPPARELは米軍のコントラクター(正式納入会社)で、落札時に米軍の依頼で製作する

 

 もっとも爆破的なブームが起きたのは1986年だが、MA-1ブームは3回起きており、1回目は1982年頃で、主にスタイリストや美容師などの間でセージグリーンのMA-1が流行した。2回目は1986年でブラックのMA-1。1986年と言えば、映画『トップガン』が公開され、それとMA-1のブームがリンクしがちだが、実際には劇中で主演のトム・クルーズはMA-1を着用していない。2回目のブームを巻き起こしたのは男子高校生たちで、人気が口コミで広がっていったという。そして3回目は1991年で、バズリクソンなどの国内メーカーによる精密レプリカモデルだ。
 2回目のブーム当時、MA-1を販売していた中田商店では、1986年9月下旬に1,000着のブラックのMA-1が完売。店舗には高校生からの問い合わせがひっきりなしにあったという。それから約2 ヵ月後の11月24日に入荷が決まり、スタッフが「今度の金曜日(11月27日)に入りますから!」と電話で問い合わせてきた200~300人の方たちにそのように応対していた。入荷当日、アメ横の店舗には午前8時の段階で300人が並び、整理券を配って販売。1,000着を完売し、その年の年末までに合計4,000着のMA-1を販売したという。中田商店だけでわずか3カ月で数千着ものMA-1を販売したことになる。

 

VALLEY APPAREL BASIC MA-1

写真左がMA-1の実物(米軍納入品、1971年、アルファインダストリーズ製)。その下が今回紹介するVALLEY APPARELのBASICMA-1。米軍納入品はインサレーションにウールパイルが使われているので、コマーシャルモデルとは触り心地がまったく違う。見てわかるとおり色味も異なる

 

 VALLEY APPARELのBASIC MA-1は、ブーム時に販売されたコマーシャルバージョンのMA-1とまったく同じ製法、メイドインUSAで2016年に製造されたものだ。最初で最後、お手頃価格でリリースされる。あの当時熱狂したアラフィフ世代はもちろん、MA-1の原点を知りたい若い方たちにもお薦めだ。

 

TEXT:毛野ブースカ
記事協力:中田商店

 


この記事は2019年1月号 P.116~117より抜粋・再編集したものです。

 

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