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2021/11/26

実践! ホンモノのファーストエイドキットを作ろう

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう

 

 みなさまはファーストエイドキットをご存知だろうか。アウトドアなど外で活発に動く趣味は楽しい反面、怪我をするリスクも高くなりがちだ。それに備えるためにも、自分専用のファーストエイドキットを用意してみてはいかがだろうか。

 


 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう

 

ファーストエイドとは?

 

 キット作りの前にファーストエイドという行為について少しだけ解説しよう。ファーストエイドとは、急な怪我や病気をした人を助けるための最初の処置を行なうことだ。消防庁が発表しているデータによると、日本国内にて通報を受けた救急車が現場に到着するには平均8分ほどの時間が掛かる。この8分間は「空白の時間」と呼ばれており、この時間内に適切な処置を行なうことで、いかに容態の悪化を防げるかというのがファーストエイドの目的となっている。

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう

 

キットに適したポーチ選び

 

 ファーストエイドキットは内容物の衛生状態を保つためにも防水性の高い入れ物に収納するのが理想的だ。ミリタリーポーチの中にはファーストエイドキット専用のポーチという便利な物もあり、開口部が広く取られていたりと使い勝手が良く作られている。

 

携帯性重視のコンパクトサイズポーチ

 

Kryptek.ミニMUTポーチ Type-3

 

  • 製品名:Kryptek.ミニMUTポーチ Type-3
  • 寸法:縦15cm×横10cm×幅5cm
  • 価格:¥2,580
  • お問い合わせ先:S&Graf

 

Kryptek.ミニMUTポーチ Type-3
コンパクトなポーチだが収納力は充分。ファスナー式のメイン収納のほかにバックル式のサブ収納が備わっており、片手で内容物を取り出せる

 

大容量のラージサイズポーチ

 

US. LBT IFAKメディカルキットポーチ

 

  • 製品名:US. LBT IFAKメディカルキットポーチ
  • 寸法:縦19×横13×幅8cm
  • 価格:¥3,980
  • お問い合わせ先:S&Graf

 

US. LBT IFAKメディカルキットポーチ
メイン収納部はかなりの容量をもっており奥行きがある。ゴムバンドが縫い付けられているのでメディカルシザーやポイズンリムーバーといった携行時に暴れると困る物もしっかりと固定できるので安心だ

 

揃えておきたい医療器具

 

メディカルシザー

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
刃先が湾曲したメディカルシザーは衣類を切るのに適している。衣類の上から負った火傷など、服を脱がすと危険な場合に使用できる。ナイフなどより安全性が高く、持っていると何かと役に立つ

 

ビニール手袋

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
ファーストエイドキットに必須なのがビニール手袋だ。血液や汚物の処理時に装着することで感染症を防止し、傷口の処置をする際も衛生的に行なえる。ラテックス製のものはアレルギーの原因となるので、ビニール製を選ぶのが無難だ。衛生状態を保つために普段はジップ式の密封容器に入れておくとよい

 

洗浄用キャップ

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
傷口の処置で最も重要なのは『洗浄』だ。傷口の汚染は感染症や破傷風のリスクを高めてしまう。ボトルキャップの中心に小さな穴を開けたシンプルなものだが、飲料水のペットポトルと組み合わせると勢いよく水を噴き出すので、泥や汚れをしっかりと洗い流し、傷口に刺さった異物も水圧で飛ばして除去できる

 

ポイズンリムーバー

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
毒を持つ生き物に刺された際に、患部をナイフで切ったり口で毒を吸い出すという手法は口内の僅かな傷から毒液を吸収してしまうリスクがある。ポイズンリムーバーにて患部から毒液を吸引するのは安全かつ確実性の高い方法であり、使用が推奨されている

 

内容物と医薬品の選定

 

 今回作例として使用した医薬品を紹介する。ファーストエイドキットに入れる医薬品は自分の体質に合ったものを使用するのが望ましく、使い慣れたものを選ぼう。ここで紹介する医薬品は選定の目安として考えていただけると幸いだ。

 

滅菌ガーゼ&絆創膏

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
滅菌ガーゼは個別包装の物が扱いやすい。大、中、小とサイズを分けて防水性の高いジップ式の袋などに入れて保管しておくと衛生的だ。滅菌ガーゼは圧迫止血にも使用できるので多めに持っていたほうがよい。小さい傷は絆創膏で保護する

 

消毒液

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
消毒液は皮膚の炎症などを引き起こす恐れがあるので、自分の体質に合う使い慣れたものを選ぶのがよい。アルコール系消毒液は持続的な消毒に向いておらず、汗などで効果が薄まってしまう。スポーツなど怪我の治療後も激しく体を動かす際は、定着しやすいヨードチンキなどを使用するとよい

 

解熱鎮痛剤&整腸剤・胃腸薬&ワセリン

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
医薬品は自分が普段から服用しているものを備えておく。解熱鎮痛剤は使用できる範囲も広く、怪我の痛みや発熱を抑えられるのでアウトドアでは持っておきたい。山林や登山の途中などトイレが近くにない場所で食あたりをしてしまうと、非常に苦しい思いをしてしまうので、胃腸薬は必須と考えてもいいだろう。ワセリンは靴ずれなど皮膚トラブルに使えるのでスペースが余っていたら加えておくとよい

 

経口補水液

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
アウトドアではファーストエイドキットと共に、経口補水液(ORS)を携帯すると色々な場面で役に立つ。経口補水液は下痢や嘔吐時の水分補給はもちろんのこと、吸収速度の速さから血液の増幅効果があるので出血時などに飲むことで容体の安定化を図ることができる

 

包帯&三角巾&サージカルテープ

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
包帯は負傷した部位の保護やガーゼの固定に使用できる。また、骨折やねん挫した箇所の固定にも役立つのでひと巻きは持っておきたい。サージカルテープは片手が使えないような状況下でも包帯やガーゼを止めておくのに使える。三角巾は頑丈なので骨折時の添え木の固定などに利用できる

 

いざという時の備え、自分だけのファーストエイドキットを作ってみよう
Lサイズポーチのアウトドア向けファーストエイドキット例。山林などでは救急車の到着に時間が掛かる場合が多いため自力で応急処置を行なうための医療品を備えたい

 

医療機関に委ねる前に対処できることの大切さ

 

 怪我の処置と聞くととても難しいことのように思えてしまうが、医療知識がほとんどない民間人でも傷口の洗浄や消毒、圧迫止血といった基本的な処置なら対処できる。こういった処置は軽く見られがちだが、ファーストエイドを行なうことで後に医療機関で受ける治療に多大な貢献をするだけでなく、負傷者のダメージを最小限に抑えることができるかもしれない。できることは少ないが、やらないよりはずっとマシということだ。
 今回紹介したファーストエイドキットは初歩的なものだ。切創や軽度の火傷などに対応したこの内容をベースに、自分の行動する環境に合わせた内容物を追加してオリジナルのファーストエイドキットの製作にチャレンジしてみてほしい。

 

免責事項
当記事は災害や事故といった不慮の事態に備えたファーストエイドキットの紹介記事です。医師の指導の下に当記事に掲載された情報、資料には注意を払っておりますが、内容の正確性にはつきましては一切保証をいたしません。また、当記事を参考に行なわれた医療行為等において生じたあらゆる損害に関して、理由の如何に関わらず株式会社ホビージャパン及びアームズマガジン編集部、ライター当人は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 

TEXT:津軽太郎/アームズマガジンウェブ編集部
SUPPORT:珈琲

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年12月号 P.218~221より抜粋・再編集したものです。

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