装備

2018/10/14

Tactical Gear Laboratory【2018年11月号掲載】

 

装備を愛する、現代の騎士たちに捧ぐ

Tactical Gear Laboratoryでは魅力的なタクティカルギア(装備)を調査、研究していく。サバイバルゲームをより深く楽しむために、装備そのものだけでなく装着方法も紹介していこう。

 

BELT KIT

 

 軍特殊部隊員や法執行機関に所属する捜査官は、ライフルやハンドガンといった銃火器を携行する。彼らは、それらの銃が必要な時に最大限の性能を発揮できるように専用の装備を用意しているのだ。任務を遂行するためにセットアップしたその装備のことをLine of Gears(以下・ラインオブギア)と呼ぶ。

 ラインオブギアはファーストライン(ベルトキット)、セカンドライン(プレートキャリアやチェストリグ)、サードライン(ヘルメットまたはバックパック)の3つからなる。それぞれのラインはいろいろなポーチやギアを組み合わせた装備の集合体だ。なかでも重要視されているのがファーストラインである。腰周りに装着するため、ベルトキットとも呼ばれている。ベルトキットはホルスターやマガジンポーチ、メディックキットなど最小限の装備が装着されており、とりあえずコレさえ身につけておけば、とっさの戦闘にも耐えうるように構築されている。

 ベルトキットの構成は、パンツベルトに直接ホルスターとマガジンポーチを装着するシンプルなスタイルから、ベルトパットのMOLLEにホルスターやマガジンポーチをセットするタクティカルなスタイルまで幅広い。現用装備の要ともいえるベルトキットについて紹介していこう。

 

 

Tactical Gear Laboratory

 

BELT KIT with Body Armor

 

 ラインオブギアとしてのベルトキットの場合、セカンドラインと干渉しないセットイアップが重要になる。ファーストラインには必要最小限のホルスターとライフルとピストルマガジンポーチ、ダンプポーチを装着する。

 セカンドラインであるボディアーマーの背面にメディックポーチを装着した場合、大型のダンプポーチをファーストライン後方に装着する。負傷時に必要になるメディックキットは、自分が使うだけでなく、味方が使うことも考えてセットしよう。メディックポーチの装着位置にあわせてその他の装備の装着場所も考えよう。

 

Tactical Gear Laboratory

一般的に、アサルターはライフルマグ1本とハンドガンマグ2本とをベルトキットに装着する。しかし、ハンドガンの使用頻度と軽量化を考慮して各マガジン1本を装着するスタイルも増えている。マグチェンジは、アーマーよりもまずベルトキットのポーチから行なう。そのため動きに干渉しないようにアーマーのサイドは極力空けておくことが望ましい

 

Tactical Gear Laboratory

Wilder Tacticalのミニマリストベルトパッドは、コーデュララミネート素材にスリットを設けている。このスリットからインナーベルトを出してホルスターやポーチを装着できる、薄型軽量のベルトパットだ。内側が滑り止め加工されており、ズレにくい

 

Tactical Gear Laboratory

サイ(レッグ)ホルスターは腰ではなく太ももに装着できるので、アーマーと相性がいい。ストラップによって太ももに密着させられるので、激しい動きをしても問題ない。強襲作戦が多いアサルターに使用者が多い

 

 

Tactical Gear Laboratory

 

BELT KIT for Training

 

 ライフル及びハンドガンでの射撃トレーニングの基礎訓練は、最小限の装備で行なうことが望ましい。そのためコンバットアパレルにベルトキットのみといったシンプルなスタイルでOKだ。これは、一流のアスリートが実践するマッスルメモリーの効果を射撃に応用しているからでもある。一連の動作を考えるのではなく、筋肉が反射するように覚えさせることで、迅速な射撃を行えるようにするのが目的なのだ。

 最近のアサルターのベルトキットは、コーデュラナイロン以外にもさまざまな新素材が用いられ、軽量化だけでなく耐久性も向上している。特殊部隊のアサルターの場合、ロービジ任務ではこのベルトキットだけで作戦を行なうこともあるため、セットアップは細心の注意が必要となる。

 

Tactical Gear Laboratory

最近のタクティカルベルトはBDUベルトと同じ幅(1.75インチ)なのでアウターベルトしてだけではなくパンツベルトとしても使用可能だ。多くの隊員が従来のプラスチックのバックルから、着脱が簡単で耐久性の高いコブラバックルを選ぶようになっている

 

Tactical Gear Laboratory

ベルトキットでは、9時方向にライフルマグポーチを装着するのが主流だ。マガジンの後ろにあるのは、30本のサイリュームをスマートに携行できるディスペンサーだ

 

Tactical Gear Laboratory

 

Tactical Gear Laboratory

腰には左右どちらの手でもから中身を取り出せるメディックポーチと未使用時はコンパクトにたためるロールダンプポーチを装着。ベルトキットにメディックポーチを装着する場合はコンパクトなものが用いられる。自身がどちらの手を負傷しても取り出せる上、味方も取り出しやすいようにしておく。ダンプポーチは撃ち切ったマガジン以外にも押収品を収納する目的にも使える

 

Tactical Gear Laboratory

ホルスターはベルトの前後どの位置に装着するかだけでなく、腕の長さやグリップ位置を考えて高さを調節する必要がある。レッグパネルやローライドアタッチメントなどのアクセサリーはただ使えばいいというものでもない。マッスルメモリーを活用するためにも、自然なドロウが可能なポジションを探そう

 

 

Tactical Gear Laboratory

 

BELT KIT for Covert Operation

 

 諜報機関や法執行機関の職員は、私服で活動することがある。戦場ではなく、市街地や商業区域といった人の多いエリアで諜報や捜査を行なうため、周囲に銃や装備を携帯していることを極力悟らせないようにしなくてはならない。そのためアウターで隠せるベルトキットを使用するのが一般的だ。

 また、コバートミッションや重要人物警護任務の場合、ARライフル使用を想定してベルトキットを組むことが多い。携行するものはホルスター、ハンドガンマグポーチとライフルマグポーチを各2個、メディックポーチ、ラジオポーチでセットアップされる。この際に、パンケーキ型ホルスターや薄型マガジンポーチなど極力かさばらないデザインのものが望ましい。

 

Tactical Gear Laboratory

 

Tactical Gear Laboratory

Direct Actionのファイアフライロウヴィズベルトスリーブは、内側のループにパンツベルトを通して使用する。身体に沿うようにシルエットがカーブを描いているため、フィット感がいい。スリーブにはホルスターにベルトを通すスロットと、ライフル・ピストルマグポーチやメディックポーチ、ラジオポーチがはじめから用意されている。メディックポーチはラバーバンドでコンパクトに保持でき、左右どちらからでも引き出せる仕様だ。
ホルスタースロットの前にあるターニケットポケットはこのモデルの最大の特徴だ。エラスティックバンドによる固定なので、負傷した際に止血帯をすばやく左右から引き出せる

 

Tactical Gear Laboratory

 

Tactical Gear Laboratory

ピストルマガジン2個とライフルマガジン2個をエラスティックバンドで固定するので厚みは最小限で収まる。前方のライフルマガジンポーチ内側には、ピストルマガジン用のストラップがあるため、ライフル以外にもライトやツール、ハンドカフを収納できる

 


撮影協力(各装備)
アームズマガジンショップ
ウィリーピート
REALMENT
※各アイテム毎のお取扱い店については本誌記事にてご確認ください

 

MODEL:Valentin Presty
TEXT:Ghost(Ghost in the Dark)
PHOTO:黒田 敏之

 


この記事は2018年11月号 P.154~157より抜粋・再編集したものです。

 

月刊アームズマガジン11月号のご購入はこちら

×
×