実銃

2020/12/15

【実銃】9mmパラベラムを撃てるリボルバー「S&W M940」

 

 9mmパラベラム(9mm×19)はLEなどで制式口径として広く使用されているカートリッジだ。そんな昨今注目したいのが、バックアップガンとしての9mmリボルバーだ。今回はその中でも「Sスミス&アンドWウェッソン JフレームM940」をご紹介しよう。

 


 

S&W M940

 

S&W M940

  • 口径:9mm×19
  • バレル長: 1 5/8インチ(約41mm)
  • 装弾数: 5
  • ダブルアクションのみ

 

 この銃は、あのグロックと同じ口径である9mmパラベラムを使用したリボルバーである。やや風変わりに思えるかもしれないが、現時点でもバックアップガンとして生き残っているリボルバーの中には、9mm口径モデルが意外と多いのも事実である。

 

  • S&W パフォーマンスセンター M986(装弾数 7)
  • Ruger LCR(装弾数 5)
  • Charter Arms Pit-bull (装弾数 5)
  • Taurus 905(装弾数 5)
  • Rock Island Armory AL 9.0(装弾数 6)

 

 だが、この9mmリボルバーには一つ弱点がある。

 ご存じの方もいるかと思うが、この9mmパラベラムというカートリッジはセミオート用であるがゆえにリム(エキストラクターがくわえ込むカートリッジ後端のヘリ部分)部分がボディ径とほぼ同じ(リムレスと呼ばれることが多いが、厳密にいうと9mmパラは“セミリムド”と呼ばれるカテゴリーに入る)構造になっている。

 つまり、リボルバーのシリンダーに装填すると、エキストラクターの役割をするスター部分が引っ掛けるリムがないために、発射後に排莢できなくなってしまう。その問題点を解決するのが“ムーンクリップ”と呼ばれる鉄製のクリップだ。

 

S&W M940

ムーンクリップなしで、カートリッジは入れた状態。ファクトリー弾ならこのまま撃つこともできるが、排莢時はシリンダー前部から何かを突っ込んで押し出す必要がある。これでは手間がかかり、不便だ

 

“ムーンクリップ”とは

 

 ムーンクリップとは、装弾数分のカートリッジを挟み込むことができるクリップで、これを用いることで9mmリボルバーにそのまま装填、排莢ができるようになっている。そのため、装填の際はスピードローダーのように一挙動で5発をロードできることになり、排莢の確実性も増し、これらのリボルバーの大きなアドバンテージとなっている。

 

ムーンクリップ

M940用ムーンクリップ。装填、排莢ともに1挙動で終わらせることができる

 

S&W M940

排莢時に後退するスター(エジェクター)部分がムーンクリップを押して空ケースを抜き出す

 

 一方で、薄い鉄板でできたムーンクリップは、少し強い力がかかると変形してしまう弱点もある。これが少しでも変形してしまうとシリンダーの回転を妨げるので、銃が使用不能になってしまうのだ。

 ただ、私自身も7連のムーンクリップを使い、リボルバーを4年ほど使った経験があるが(鉛弾頭ばかりだが、4万発以上は撃っている)、40枚ほど持っていたクリップのうち、使えなくなったのは数枚のみであった。しかもそれらはリロード後に踏んでしまったとか、射撃バッグの中で重いものをのせてしまったとか、通常の使用状況ではあまり起こり得ない原因から引き起こされたことを考えると、“ムーンクリップ変形問題”はさほど心配する必要はないだろう。
 それよりも、メインのサイドアームである9mmピストルと口径を共有できるバックアップリボルバーして考えると、ポケットやレッグホルスターにも収まるこの9mm口径スナブノーズリボルバーの存在は、輝いてくるといえよう。

 次回は実射を行ない、この銃の威力をレポートする。小粒でもピリリと辛いリコイルがする9mmリボルバーの実力を確かめていただければ幸いだ。

 

S&W M940の実射のレポートはこちら

 

S&W M940

 

Text & Photos: Hiro Soga

 


 

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この記事は月刊アームズマガジン2021年1月号 P.110~117より抜粋・再編集したものです。

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