2025/04/18
Armalite 55年の進化 AR-15/M16/M4/AR Tactical
Armalite 55年の進化
AR-15/M16/M4/AR Tactical
Turk Takano
Gun Professionals 2015年1月号に掲載
AR-15のコルトでの量産が始まったのが1959年のことだ。米軍制式ライフルM16A1となったのが1967年、それから約半世紀、米軍はAR-15とその発展型を使い続けている。これほど長い期間、同じデザインをベースにしたものを米軍が主力ライフルとして使用してきた前例はない。これからも当分変わらないだろう。そんな今、改めて原型となったAR-15から現在までの進化を振り返る。
AR-15との出会いそして購入
いまだに衰えを見せないAR/M4系の人気はどこから来るのだろう。筆者自身、この40年のAR系の推移を見てきた。ベトナム戦争終了直後の1975年、筆者が初めて購入したARは当時、唯一コマーシャルモデルを発売していたコルト純正のColt AR-15だった。$450ぐらい払ったと記憶している。今の感覚では$450はそれほど高価とはいえないが、当時はかなりの値段だった。今回は40年前に購入した第一号のColt AR-15から話を進めたい。
筆者が初めてAR-15の姿らしきものをちらりと見たのは1963年、横田基地だった。米空軍警備用としてAR-15が採用され日本の横田米空軍基地警備部隊にも装備され始めていた。当時、筆者は東京イースタンライフルクラブに所属、スモールボア射撃をやっていた。横田基地の射撃クラブとの親善競技が基地内のレンジで開催され、これに参加する機会があった。音頭を取ったのはすでに故人となられた若き日の築地恵氏だった。彼は日本人には極めて珍しい言葉、人種に臆しない積極性があった。彼なしじゃ親善競技会も何もなかったといって良い。
あの時、基地内射場の片隅にドラム缶が数個あり、5.56mmの空ケースが山積みだった。もらっていいかどうか清掃係員に伺ったら、「好きなだけ持っていって良い」と言われ何個か持ち帰った。当時は珍しい5.56mm、同じ話が今あったならトラックを持ち込み、ドラム缶ごと持ち帰っただろう…(笑)。


AR-15はそれまでにないスタイルを持った歩兵ライフルだった。AR-10の小型化AR-15のアイデアそのものは陸軍オードナンスに発したものだ。陸軍より一足先に空軍警備用に採用され、その後、1967年に陸軍で制式採用された。それ以降、M16A1、M16A2、M16A3、M4と進化を遂げてきた。
なんといってもAR-15/M16の特徴はあのキャリングハンドルにあった。さらに独特の三角形フォアアーム、3kg前後の重量なども、それまではなかったものだ。その後、キャリングハンドルはM16A3で削り取られ、レールとなった。新しい戦いのコンセプトが要求したとはいえ淋しい改良だった。各種光学サイトのプラットフォームレールをレシーバー上に設けるにはキャリングハンドルはどうしても邪魔だった。着脱式のキャリングハンドルもオプションとしてあるが初期の一体式とは使いやすさの面でかなりの違いがある。
そして今日、キャリングハンドル付きは過去のモデルと思われるほどフラットトップのレール付が市場を埋めつくしてしまった。ところがフラットトップ大歓迎の市場にも一部、陰りが出てきている。
フラットトップモデルはフォアアームもクワッドレール(quad rail:四面レール)が登場、飛ぶように売れた。この10数年、テレビをオンにすればニュースには連日、中東に展開中の米軍兵士の装備品が登場する。イラク/アフガン遠征兵士が手にするM4系と同じようなアクセサリーがシビリアン市場で入手できるとなればまさにミリタリーファンにとってはコスプレの世界だ。


余談だが、タリバンなど反政府軍戦闘車はトヨタの商用トラックである。草木のない過酷な自然をバックに砂塵を巻き上げ疾走するこれらトラックは見る者に強烈なイメージを与える。あの自然環境で生き残るトラックならタフであることは間違いないという印象だ。
最近、報道ニユースで知ったのだがイスラム国(国ではないのにどうして日本で国と呼ぶのか不可解だ。あれは英語ではIslamic Stateだ)の戦闘車もトヨタがほとんどだが中に数台の三菱トラックを見かけた。いずれにせよこれらのイメージが日本製トラック販売の後押しをしていることは間違いない。トラックの条件はタフさなのだ。筆者は大のトラックファン。テキサスに住んでいると自然とそうなるのだ。トラックはテキサス人にとってかつての馬である。トラック販売数が全米一のテキサス州、トヨタの大型トラック(タンドラ)工場はテキサス州中央部、アラモ砦(テキサス独立アラモの戦い)で知られたサンアントニオ市郊外にある。「本誌はトラックプロじゃない!」と編集部からお叱りを受けそうだ。話を本筋に戻そう。
AR/M4スポーツモデルにいろいろアクセサリーをつけてみても、普通に使うのには必要のないものばかりだ。そしてまた重量もいまやモデルによってはさして特殊でもないのに4kg以上となり、M1ガランドとさして変わらなくなった。いろいろな要求スペックを満たそうとして太ったということなのだろう。それによって約3kgというオリジナルAR-15が持っていた軽量軽快さが失われてしまった。その結果、M4から入った者がオリジナルAR-15を所持したいと思いに駆られても不思議はない。老舗メーカー、例えば知られたところでアーマライト社、FULTON Armory(フルトン・アーモリー)社などはオリジナルAR-15モデルをカタログに加えている。
最近、オリジナルモデルの需要も増えているという。筆者もいろいろ違ったアクセサリーによるARを所持してみたもののオリジナルAR-15のよさを再認識、手元にあるパーツを使いキャリングハンドル付のAR-15カービンを組み上げてみた。スタンダードであるオリジナルAR-15は既に所持しているので、カービンに興味を持ったわけだ。新しい世代のテレスコピックストック(Rock River)とフォアエンド(Magpul)で組み上げたため、初期のXM177コマンド系のショーティとは外見上の共通点はあまりない。しかし重量はほぼ3kgに収まった。アッパーレシーバーはA2のものだ。A1アッパーもあるのだが今回は使わなかった。

