2019/11/15
KSC「TT33 Xコンプ ヘビーウエイト」製品レビュー
シンプルな軍用銃TT-33のタクティカルガン
●寒冷地に対応した拳銃
第一次世界大戦中から相次ぐ戦争で、混乱したソ連軍には様々な種類・口径の拳銃が流入し混乱状況にあった。この問題の解決のため、新型拳銃を開発し完成したのがトカレフである。
トカレフの欠点としてグリップの小ささや、安全装置がないことが挙げられるが、これは厚い手袋を着けた状態でも操作できるようにするのと、凍結によって安全装置の解除ができなくなることを嫌ったからである。拳銃は訓練を積んだ将校が使うもので、使用前にスライドを引いて初弾を装填し、終わればチャンバーから弾を抜けばいいという強引な考えは戦時下でしか有効ではない。
戦後は小口径で安全装置の付いたマカロフに制式拳銃の座を譲り、多くのトカレフは国外に譲渡された。
●アメリカンナイズなカスタム
KSCは既存のラインアップに追加工を行なうバリエーションを得意とするメーカーだ。それも一部にしか知られていないようなマニアックなモデルを製造するので、KSCが作るもので存在を知るユーザーも多い。そのKSCが今回チョイスしたのがTT33なのだ。
最初に目を引くコンプはウィスコンシン州ミルウォーキーのパーツメーカーGPWのマズルブレーキコンペンセイターをリアルに再現。さらにトリガーをロックするセーフトリガー機能を追加。これによりチャンバーに装填した状態でも安全に携帯できるようになったので、安全性においては飛躍的に向上したといえるだろう。
3ポートコンプはアルミ合金製でサイドのカットもスライド形状に合わせられているのでロングスライドのようなシルエットになる
バレルブッシュを兼ねたコンプはHW製スライド側に接合されるので、ブローバック時にはスライドと一緒に後退する
トカレフのイメージを覆さないように配慮されたトリガーセーフティはトリガーを引いた時だけロックが外れる効果の高いセーフティーだ
スライドとフレームがハンマーを包み込むほど後方に延長され、ハンマーガードの役目も果たす。太い溝と細い溝を織り交ぜたセレーションがシンプルな外観に映える
スライド操作の際、手が滑らないように引っ掛かけるために同時代の拳銃の中でもずば抜けて背の高いリアサイト
マガジンベースはフレームに収まらないのでマガジンベースがフラットでもスムーズな挿入が行なえる
近代的なタクティカルガンの要素を盛り込んだ、シンプルな「東欧系タクティカルガン」はガンマニアなら買いの1挺だ。
DATA
- 全長:218mm
- 全高:135mm
- 全幅:33mm
- 重量:685g
- 装弾数:10発
- 価格:¥24,000
- お問い合わせ先:KSC
TEXT:IRON SIGHT
PHOTO:須田壱(スタジオゼット)
MODEL:青宮鑑
HAIR&MAKE UP:西田聡子
撮影協力:アストレア
この記事は月刊アームズマガジン2019年12月号 P.91より抜粋・再編集したものです。