2019/07/11
スペシャルフォースウェポン セットアップマニュアル
近年の特殊部隊の銃器の特徴は、レールシステムの浸透により作戦や状況に応じて各種アクセサリーを装着していることが多く、見た目はかなりゴツくなっている。ここではプライマリーウェポン(M4カービン)を中心にセットアップ方法を解説しよう。
スペシャルフォースウェポン用 アクセサリーの特徴
レールシステムが開発されてから、作戦や環境に応じて銃器に各種アクセサリーを装着するのが一般的となった。もともとはUSSOCOMがSOPMOD(スペシャル・オペレーション・ぺキュリアー・モディフィケーション)と称した、状況に応じてアクセサリーを追加できる計画から始まっている。ここではSOPMODでラインアップされているアクセサリーを中心に紹介しよう。
サイレンサー(サプレッサー)
サイレンサー(サプレッサー)は銃声を減音するだけではなく、マズルフラッシュ(発射炎)も抑制するので、撃ちやすくなるだけではなく相手から察知されにくくなる。現在では着脱式が主流となっている
フラッシュハイダー
バレルの先端につけるフラッシュハイダーはマズルフラッシュを効果的に抑制するだけではなく、マズルジャンプを抑える役割を持つものもある。専用の着脱式サプレッサーとセットで使われることが多い
フリップアップタイプフロント/リアサイト
ドットサイトやスコープの装着が前提となる現代の銃器では、アイアンサイトは補助的な役割となっている。そのため、視界を遮らない、邪魔にならないように折りたためて、必要に応じて起すフリップアップタイプが主流となっている
ウェポンライト
1980年代以降から徐々に使われ始めたウェポンライト。ハンドガードや専用マウントと一体型が主流だったが、レールシステムとLEDライトが一般化してからは急速に小型化・軽量化され、汎用性が高められた
レーザーエイミングモジュール
暗視装置の進化に伴い、通常のレーザー(可視光)以外にIR(不可視光レーザー=赤外線)を照射できるエイミングモジュールが開発され、特殊部隊で広く使われている。エアガンの場合はあくまでも飾りだ
バイポッド
スナイパーライフルに不可欠なアクセサリーであるバイポッド。二脚タイプのハリスタイプや、フォアグリップ内にバイポッドが内蔵されているグリップポッドも、主にアサルトライフルに使われている
フォアグリップ
レールシステムの登場とともに誕生したフォアグリップ。当初は長さの短いレールシステムにレーザーエイミングモジュールやウェポンライトを装着しても保持しやすくするためのものだった。現在ではハンドストップ的な役割が多い
レールセクション
キーモッドやM-LOK などのレールシステムは専用のレールセクションを介さないとアクセサリーが装着できない。必ず適合するものを用意しておこう。アクセサリーによってはあらかじめ付属している場合もある
レールシステム用スリングアダプター
ツーポイントスリングを装着する場合、ハンドガードにスリングアダプターが必要になる場合がある。写真のアダプターはピカティニースペック対応だが、キーモッド、M-LOK 用も用意されている
ドットサイト
1990年代以降、レールシステムに並ぶ革新的なアクセサリーがドットサイトだ。従来のアイアンサイトに比べて、赤いドットを狙うドットサイトは素早くかつ正確にサイティングできる。近年ではバッテリー寿命も大幅に向上した
ショートスコープ
近年、多用されるようになったのがショートスコープだ。低倍率(1倍)からズームでき、近距離から遠距離まで幅広く対応できるのが特徴。性能が向上したことで、ドットサイトの代わりに使われることが多い
マウントリング
ショートスコープや一部のドットサイトを銃に装着する際にはマウントリングが必要になる。マウントリングを選ぶ場合はチューブ径、対応マウントベース幅、高さ、さらにスコープのアイレリーフにも注意したい
リアルガンに見る アクセサリーセットアップ例
特殊部隊用銃器は何でもあり! だからといって、ただ闇雲にアクセサリーをつければいいわけではない。各アクセサリーや装着ポジションには意味(=セオリー)があり、そのセオリーにしたがってセッティングすると、グッとリアリティが増す。まずは本場リアルガンにおけるアクセサリーのセッティング例を紹介しよう。(PHOTO:SHIN)
元アメリカ陸軍特殊部隊デルタフォース出身のラリー・ヴィッカーズ氏は、ハンドガード前方上部にウェポンライトをマウントし、その直後にフリップアップタイプのフロントサイトを搭載。フォアグリップも前方に寄せている
元アメリカ海兵隊員のアーネスト・ラングデン氏もウェポンライトはヴィッカーズ氏と同様のポジションに装着している。ラングデン氏の特徴はフロントサイトのみ立てていること。おそらくサイティング時の見出しをとりやすくするためと思われる
ナイツアーマメントSR15E3(写真右)とSR25E2(写真左)のセッティング例。この射手は右利きなので、ウェポンライトを右側に装着する場合はリモートスイッチを追加し、ハンドガード左側や上側に装着する
DMR(デジグネィティッド・マークスマン・ライフル)のセッティング例。大型のスコープをセットし、フラッシュハイダーと着脱式サイレンサー、バイポッド、好みでフォアグリップを装着する
ハンドガンにはサイレンサーが装着可能なスレーデッドバレル、ウェポンライト、スライド上面にマイクロドットをダイレクトに載せているものを多く見かける。グリップ周りは隊員の好みにあわせてカスタムされることが多い
近距離射撃用に、右利きの場合は右斜め45度の角度にフリップアップサイトや小型のドットサイトを装着
近距離を狙う際は写真のように傾けて撃つ。このアイディアは3ガンマッチから来たものだ
TEXT:毛野ブースカ
この記事は月刊アームズマガジン2019年8月号 P.36~37より抜粋・再編集したものです。