2019/06/23
滝ヶ原駐屯地 創設45周年記念行事
平成の時代も終わり近くの4月14日(日)、静岡県御殿場市にある陸上自衛隊滝ヶ原駐屯地では駐屯地創立45周年の記念行事が挙行された。普通科教導連隊や評価支援隊をはじめとした参加部隊による観閲行進や模擬戦闘展示では、それぞれの個性が大いに発揮されていたのが印象深く、多くの来場者の熱い視線を集めていた。厳かな式典や展示された装備品等と共に記念行事の楽しみ方についても紹介したい。
■滝ヶ原駐屯地
陸上自衛隊滝ヶ原駐屯地は須走にある富士学校からすぐ傍に位置し、普通科教導連隊をはじめとして評価支援隊、教育支援施設隊、飛行教導隊(富士飛行班)・富士教導団教育隊、東部方面管制気象隊(第2派遣隊)、第433会計隊、第305基地システム通信中隊(滝ヶ原派遣隊)、滝ヶ原駐屯地業務隊・第128地区警務隊(滝ヶ原連絡班)が所属する大規模な駐屯地だ。現在の駐屯地司令は普通科教導連隊長である中嶋 豊1等陸佐が兼務している。
八条の旭日旗は自衛隊旗(連隊旗)であり、誇らしくたなびく姿は整列する部隊を力強く見せてくれているようだ。首に巻く赤いマフラーは普通科職種を示している
壇上で訓示を行なうのは中嶋 豊1等陸佐。新型の制服に身を包み、整列した部隊へ力強く語りかけていた
■普通科教導連隊
陸上自衛隊の富士教導団に属する普通科教導連隊は先進装備を有する部隊として、富士学校における幹部教育や訓練を支援する精鋭だ。全国の普通科部隊の模範となるべき使命を与えられている事から、普段から戦車等の機甲科部隊との連携が必須であり、本州では唯一の89式装甲戦闘車を配備する部隊でもある。豊富な装甲車輌や武器を用いた幅広い運用を実現している。
今年は評価支援隊に新たに配備された90式戦車も勇壮に行進展示した。アグレッサーを示す3色迷彩は迫力があり、どことなくNATO迷彩を思わせる雰囲気
普通科教導連隊4中隊は96式装輪装甲車(WAPC)を主力装備としている部隊で、車上には珍しい96式40mm自動てき弾銃を装備している。陸自のAPCとしてはもっとも多く配備運用されており、今後も長きに渡り使用されるだろう
滝ヶ原駐屯地の向い側にあるアメリカ海兵隊キャンプ富士からはLAV-25A2が参加。意外と背の高いシルエットが異彩を放っていたが、実戦経験も豊富で定評のある装輪装甲車だ
■一般開放日の駐屯地
駐屯地が一般開放されるイベントとして、創立記念行事は地元住民にとっても楽しみのひとつのようで早朝から老若男女が大挙して来場してくる。各駐屯地にとっては地元住民との相互理解が進むようにするためにこの種のイベントを大切にしており、自衛隊の活動や装備の展示にも余念がない。最近では駐屯地のホームページでの案内も一般化して、近隣エリアの駐屯地をハシゴするファンも多い。
TRWU リペリング展示
TRWU(Takigahara Rescue Women's Unit)は女性自衛官のみで構成されたリペリング技能を有するレスキューユニットで、4名がタイミングよくヘリコプターからの降下を実施
16MCVによるスラローム射撃
16式機動戦闘車(MCV)は装輪車輌らしいダイナミックな挙動で登場し、敵前で旋回しながら105mm戦車砲射撃。シームレスな動きが新世代のハイテクマシンであることを力強くアピールしていた
記念行事を快適に楽しもう
靴・履物
陸上自衛隊の駐屯地で開催されるイベントでは、徒歩行動が基本となることから、靴はカジュアルなトレッキングシューズ等で履き慣れたものが好ましい。模擬戦闘展示等を観戦する時にはグラウンドでは土埃が舞い、水たまりの泥に足をとられることもあるので注意したい。
雨対策
突然の雨が降ったりすることもあるので折り畳み傘は必須だが、両手を自由にできるポンチョがあるとリュックサックも濡れずに済むはずだ。多くの入場者が密集する行進展示や模擬戦闘展示では、思いがけず傘で他の人を傷つけてしまわぬように注意したい。幼児や高齢者も集まる場所だけに、思いやりのある行動が必要だ。
日差し対策
駐屯地では日陰になるような遮蔽物が少ないので、帽子やサングラス等は持っておきたい装備だし、汗を拭くタオルも欠かせない。長時間野外にいると軽い熱中症になることもあるので、これからのシーズンのイベントでは心得ておきたい。
あると便利かも?
駐屯地イベントは野外の催しが多い割に、疲れた時の休憩場所はあまり用意されていないのが実情。厚生棟にあるコンビニや食堂を休憩に使う事も可能だが、大抵の場合はグランド端の木陰や草地にピクニックシートを広げている家族連れが多く、そんな準備もあるといいだろう。
カメラ・撮影器材
最近はスマホを掲げて撮影に興じる人が多いが、行進や模擬戦闘の展示は観客席からは遠いこともあって、望遠が利かないと迫力ある撮影は難しい。多少なりとも望遠機能のあるデジカメがあると撮影も楽しいはずだ。その一方でメディア顔負けの望遠レンズ付きカメラを持参するマニアやブロガーも増えていて、ネット上での作品には目を見張るものも多い。
売店・ショッピング
最近の記念行事では業者による軽飲食の販売や自衛隊迷彩のTシャツや小物、ワッペン等を売る店もあり、どこも大賑わいになっている。部隊ワッペンや識別帽のご当地モノから全国の部隊アイテムまで、普段はお目にかかれない自衛隊グッズを探してみるのも楽しみ方のひとつだ。
紛らわしい服装はNG
自衛隊ファンが多く来場することもあって、中には上下迷彩服という来場者も稀に現れるが、行き過ぎたミリタリールックは防犯上も好ましくないので、サバゲに行くような服装は慎んだ方が良いだろう。当然、トイガン等の携帯や持込みもNGだ。
中高校生や大学生こそ見学へ行こう
「自衛隊に興味はあるけど、どんな職場なのだろうか…」という若い読者もいるのでは? もし地元の募集事務所にいきなり行くのは気が引けるというのであれば、ぜひ今回のような記念行事等のイベント見学をお薦めしたい。駐屯地の営門で入場者を迎える自衛官をはじめ、交通誘導の警務隊や89式小銃を担う普通科隊員等、多くの自衛官の生の姿を見られる貴重な機会でもあるのだ。ぜひ「自衛官」という職業に魅力を感じていただければ幸いだ。
星条旗がはためく所には何故か来場者が群がるのは不思議な現象だ。何か明るくて楽しそうな雰囲気のする米軍の展示エリアでは、各種車輌が惜しげもなくハッチや運転席を開放している。米軍のキャラクターは多くの日本人を魅了するようだ
Text:神崎 大
取材協力:陸上自衛隊滝ヶ原駐屯地広報班
この記事は月刊アームズマガジン2019年7月号 P.138~141より抜粋・再編集したものです。