2024/11/22
民生品の使用が許可された自衛隊隊員向けに各メーカーが製造・販売しているコンバットシャツ「JGSDF Combat Shirt」
陸上自衛隊迷彩のコンバットシャツ5選
ボディアーマーを着用する際に定番のコンバットシャツは、陸上自衛隊においても使用例が増えつつある。そこで今回は、国内のイクイップメントメーカ—が扱う5種類の陸自迷彩コンバットシャツをセレクト。それぞれの特徴を見ていこう。
陸上自衛隊のコンバットシャツには、陸上自衛隊 補給統制本部から「コンバットシャツ・国際活動用」という名称で入札の実績もある公式モデルが存在し、国際活動用ということでAASAM(Australian Army Skill at Arms Meeting) や他国との共同訓練における着用例が見られる。
陸上自衛隊のコンバットシャツは海外製コンバットシャツと同様に射撃姿勢がとりやすい立体裁断になっているのが特徴。ボディアーマーの着用を前提としており、ボディアーマーのショルダーストラップが触れる肩から肩甲骨付近は腕部分と同様のリップストップの迷彩生地、腹部と背中は通気性を考慮したニット素材が使われている。前開きのハーフジッパーの首元は襟を立てやすいデザインで、左上腕部には部隊章を貼るためのベルクロスペース、その下には身分証サイズのポケットが斜めに装着され、右上腕部には日章旗のパッチを貼るための丸いベルクロが縫製されている。
官給品のコンバットシャツ以外にも民生品の使用が許可された隊員向けに各メーカーがコンバットシャツを製造・販売しており、数年前に比べてその選択肢はかなり広がっている。今回は国内で入手可能な民生品のコンバットシャツを紹介する。
陸上自衛隊員が国内の装備メーカーやミリタリーショップによって製造・販売された民生品を自費で購入して使用しているのをSNSなどで見かけることがある。上の写真は、2024年3月14日に沖縄県キャンプハンセンで行なわれた「アイアンフィスト24」での一コマで、模擬負傷者を担架で輸送するアメリカ海兵隊31stMEUの海兵隊員(写真上)に加えて、陸上自衛隊水陸機動団の隊員がコンバットシャツを着用しているのがわかる。
さらに下の写真は、2024年3月12日、沖縄県金武ブルービーチ訓練場で行なわれた「アイアンフィスト24」における水陸機動団の隊員のうち先頭の左から2番目の隊員がコンバットシャツを着用している。
陸上自衛隊迷彩コンバットシャツ
吸汗速乾性に優れた素材が使われたボディ部分と、ボディアーマーの重量がかかるショルダーストラップが触れる部分に丈夫な混紡素材を用いることで、着用感と耐久性を飛躍させたコンバットシャツは、ボディアーマーの着用を前提にした現代戦において欠かせないアイテムだ。
irodori military
陸自迷彩コンバットシャツ単品 通常仕様
価格:¥29,000 |
民生品のコンバットシャツは基本的なデザインは官給品と共通だが、こちらの製品は中身が取り出しやすいように配置された上腕部のポケットのフラップに国旗各種パッチを貼るためのベルクロ(パイルアンドフック)を備えたもので、肘部分が補強された製品もある。写真はirodori military 陸自迷彩コンバットシャツ単品 通常仕様。
irodori military
陸自迷彩コンバットシャツ単品 特別仕様
価格:¥33,000 |
サバイバルゲーマーや自衛官向けにナイロン製の装備類を小ロットで製造・販売しているirodori military。現職自衛官からの要望でブーニーハットやコンバットシャツのようなウェア類からヘルメットカバーや偽装用アイテム、マップケースなどの装備品まで幅広くラインアップしている。
全体のシルエットは、CRYE PRECISIONと同様の太めの袖幅に、裾はコンバットパンツにインして動いても裾が出ない程度の長さとなっている。迷彩生地は綿と化繊との混紡のリップストップ生地を使用し、迷彩柄は官給品に非常に近い色味で、IR対応なので夜間の迷彩効果も期待できる。
胴体生地は帝健「ガーディア」を使用。アメリカ海軍で採用されているものと同じ難燃ニット素材で、日本国内では消防関係のインナーウェアに使われている。irodori militaryでは2種類のコンバットシャツを展開。写真の特別仕様は部隊や隊員の要望に合わせて細部にまでこわだり、彼らが求める機能が盛り込まれている。
七洋交産
JGSDF Combat Shirt FR HOpE 陸上自衛隊コンバットシャツ難燃
価格:¥32,780 |
輸入代理店事業を営む七洋交産は、タクティカルライトで世界的シェアを誇るSUREFIRE LLCの正規代理店であり、タクティカルギアメーカーのFirst Spearの製品を扱っていることでも有名だ。官公庁納入事業として、防衛省(陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊)、海上保安庁、警察視庁、各都道府県警察との納入実績から官公庁向け自社製品の開発にも力を入れている。
七洋交産のコンバットシャツは、袖と襟部分に陸上自衛隊2型迷彩リップストップ加工の施されたポリ/コットン(65%/ 35%)の混紡素材を使用、ボディ部分は難燃性で肌触りと伸縮性、吸汗性に優れた帝健「ガーディア」を採用している。
さらに縫い糸に防臭糸を使用して、長期間着用時の臭いに対処。各部のジッパーは耐久性のあるYKKジッパーを使用し、グローブを着用した状態でも使いやすいようにパラコードでプルタブを追加している。
エスアンドグラフ
JF. G4改 コンバットシャツ(陸自迷彩・ビニロン混紡生地)
価格:¥11,980 |
平成5年に設立されたエスアンドグラフ(S&Graf)は、大阪と東京に店舗を構え、ミリタリーサープラス品を中心とした輸入販売を展開している。アメリカやヨーロッパのサープラス品だけでなく、自社開発によるウェアやブーツ、装備品はサバイバルゲーマーから自衛隊員や警察関係者にも使用されるほどクオリティが高い。また、自衛隊関連のウェアや装備類は現職自衛官からのリクエストで製品化されたものもある。
エスアンドグラフのコンバットシャツは、スポーツウェアで多用される機能的な立体裁断をボディから脇下まで採り入れ、米英軍向けの製品を供給する軍用品専門工場で製造・開発されたウェアである。
袖部などに使用する陸自迷彩P-VC生地(リップストップ)は、自衛隊官給品の色合いと風合いにするためポリエステルとコットンにビニロンを混紡し、織りは自衛隊規格とほぼ同等の目地をした生地になっている。本製品は、その素材だけでなく色味についても現職自衛官の意見を反映させて改良を重ねている。
RANGER
RANGER COMBAT SHIRT V3 Mod2
価格:¥18,700 |
山梨県富士吉田市にあるRANGER(ニタカ)は、自衛隊グッズ、訓練用品、迷彩服をはじめ様々なミリタリーグッズを販売する傍ら、自社企画によるオリジナル商品を展開している。訓練で使用されることを想定して製造された商品の中には、実際に訓練で使用されている商品もある。本格的でハイクオリティな商品の取り扱いを心掛けている。
RANGER COMBAT SHIRT V3 Mod2は、RANGERとAGGRESSOR-GROUPのみで販売されている陸上自衛隊迷彩の難燃コンバットシャツ。袖にポケットがないシンプルなデザインが特徴だ。
現職自衛官の使用を想定しているため、迷彩生地部分は「官品同等対赤外線処理・難燃リップストップ生地」、ODカラーのボディ部分の生地には「Moez難燃スムース」を使用して、難燃性(燃え広がりにくさ)にこだわったコンバットシャツだ。
TEXT:Ghost(Ghost in the Dark)
SPECIAL THANKS:irodori military、S&Graf、七洋交産株式会社、RANGER
この記事は月刊アームズマガジン2024年12月号に掲載されたものです。
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