実銃

2023/09/25

【実銃】レースガンとして最高峰に君臨する「Combat Master」その卓越した実射性能とは?【Chapter 4】

 

Taran Tactical

Innovations
 JW3 Combat Master 

 

 

 映画『ジョン・ウィック:パラベラム』に登場して大人気となった2011 コンバットマスターだが、製造メーカーのSTIがSTACCATOと名を変えて製品ラインナップを大きく変えたため、供給がいったん途絶えてしまった。

 この状況にTTIは自社オリジナルの2011を製品化、ハイグレードな改良を加えてコンバットマスターを復活させている。今回は新生コンバットマスターの魅力と改良点を、詳しくご紹介したい。

 

Chapter3の記事はこちら

 

※この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年8月号に掲載されたものです

 

 


 

 実射 


 今回はTTIバージョンの真骨頂ともいうべきサイトブロックモデルを中心に実射を行なった。スライドを操作し、そのフィッティングのタイトさとスムーズさ、そしてトリガープルもSTIと比較しても殆ど違いを感じないほど、そのクオリティは拮抗している。TTIになり品質が下がっては元も子もないからだ。

 

スライドはシャープな角はなく、よく仕上げられており、ガタツキなどないのにも関わらずギチギチした感じはなく、滑らかに引ける。もちろんジャムは皆無だ。トリガープルは1ポンド(約454g)弱だが、筆者なんかでもコントロールできる絶妙な切れ味だ


 STIバージョンはキアヌ・リーブスがジョン・ウィックの撮影前に練習で撃ち込んでいたモデルで、その後もかなりの弾数を撃っているが、今もスライドはガタがなく新品時とあまり変わりがない。

 

今回のモデルはLAPDの現役の警察官で、SNSのインフルエンサーでもあるトニ・マクブライド(Toni McBride)にまた登場してもらった


 ブルバレルよりサイトトラッカーの方が、僅かにリコイルがソフトに感じ、マズルライズも少なかった。しかしリコイル自体よりも、フロントサイトが大きく移動しない事からその名の通りフロントサイトをトラックしやすく、フォローアップショットが行ないやすい。サイトブロックはこの特性をさらに押し進めたものだ。

 サイトレディアス自体も延長されており、確かに比較すると僅かに新型の方が正確に狙えると感じる。

 

オリジナルのSTI2011コンバットマスターを撃つタラン。先行量産モデルだが市販品とほぼ変わらない。キアヌ・リーブスがジョン・ウィックの撮影前のトレーニングで撃ち続けているから、その後もかなりの弾数を消費しているが、全くトラブルがなく、その信頼性はかなり高い

 

 スライド前部の形状のままのウエイトと一体化されたバレルの全体重量は、サイトトラッカーよりも大きく、これがリコイルの違いにも確かに表れる。これまで撃ってきたコンバットマスターを含め、ブルバレルのリミテッド仕様の2011のどれと比べても、これの方が撃ちやすい。サイトのトラックもさらに容易でサイティングもさらに正確になった。

 

 新型トリガーは、カーブが少なくフラットに近くなって、以前より引きやすい。トリガープルの切れとリセットはSTIと殆ど差がない。

 

これは試作品ができ上がったばかりの新たなバリエーション、コンバットマスターXだ。スライドにトリジコンSROを直接マウント、コンペンセイターを装着したオープン仕様だ


 以前タランのインフィニティをテストした時、ガラスの棒を折るかのようなパキッとした切れ味は最高だったが、筆者なんかには軽すぎて、トリガーに力を加え始めると撃とうとするタイミングの一歩手前で切れてしまう感じで、ちょっと扱いきれなかった…。しかしこのトリガーは、極限まで軽いが撃ちたい瞬間に切れてくれる。


 筆者個人の好みでも、歴代テストした2011の中でサイトブロックのコンバットマスターは最優秀モデルだ。TTIがスポンサードする競技シューターらが、既にサイトブロックモデルでタイトルを獲得している。

 

僅かであっても延長されたサイトレディアス、そしてフロントサイトが前方に維持されるサイトトラッカーの特性から連射してもサイトを容易に捉え続ける事ができる。軽量化されたスライドは従来のコンバットマスターよりも軽やかに作動し、閉鎖する時の慣性も小さくなる。そしてブルバレル、アイランドバレル以上に重いバレルのウエイト効果は高く、リミテッドガンとして理想的だ。取材時は9mmしかなかったが、メジャーパワーファクターの.40S&Wモデルも既に製造・出荷されている

 

 6月初旬のSIG 2Gun PCC & Pistol MultiGun NationalsではBrian Nelson(ブライアン・ネルソン)がリミテッド部門で優勝、Lynda Turnbull(リンダ・ターンブル)もリミテッドの女性部門で優勝を果たした事は早速の宣伝となっている。


 TTIが2011コンバットマスターの再発売をアナウンスすると、早速ソーシャルメディアでも反響の声が数多く届くようになった。高価ではあるが、価格相応の品質で完成されている。これこそタランが求めていた2011のあるべき姿なのだ。

 

TTIでグロックのトリガージョブを担当するアレックスは、リミテッド部門ではこのサイトブロック(口径9mm)を使用し、すでにローカルマッチで上位入賞を果たしている

 

ジョン・ウィックのファンから大人気の2011コンバットマスターは、こうして細部を改良され、より理想的なコンバットハンドガンとして復活した。現在の納期は注文から3ヵ月弱だ。高価なモデルだが、売れ続ける事は間違いない

 

Photo&Text:Gun Professionals  LA支局

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年8月号に掲載されたものです

 


 

『ジョン・ウィック』シリーズ最新作を観る方にオススメ!!

月刊ガンプロフェッショナルズ 2023年10月号

 

 

 キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックの最終決戦が描かれる第4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が、いよいよ9月22日に日本でも公開される。この映画でジョンは様々な銃を使いながら戦いを進めていくが、今月号のガンプロフェッショナルズではメインとなる3機種について、デザインを手がけたタラン・バトラーのインタビューを交えながら詳しくご紹介している。登場銃について知ることができるので、上映前にぜひご一読いただきたい。

 

 

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