実銃

2023/02/19

【実銃】実射でわかる.380ACPの実力【実射レポート】

 

.380ACPは非力じゃない

 

 コンシールドキャリー用として注目されつつある.380ACP。今回はその実力を試すべく、信頼性が取柄のベレッタMod.84BBとSIG P230で実射比較したレポートを公開する。

 

SIG P230(上)とBeretta Mod.84BB(下)の.380ACP弾コンビ。Anneさんにはこの2挺を撃ち比べてもらった

 

実射で分かった「非力」という認識の誤り

 

 今回は、私が撃つだけでは面白くないので、射撃は2回目というAnne(アン)さんと、20歳の射撃経験まあまあの男にも撃ってもらって、感想を聞いてみた。
 まずは私が10ヤードの距離にターゲットを置いて、精度テストをしてみた。ベストグループはSIG P230でウィンチェスター 95グレインJHPによる2インチ(5.08cm)で、当然前後サイトが小振りで、サイトピクチャーがいまいちということもあり、だいたいがどちらも2 〜4インチの集弾性能というところだった。
 2挺を撃ち比べたAnneさんの感想は以下の通りである。

 

「どれもリコイルは結構なもので、初弾は左手がすっぽ抜けてしまう感じがする。.380ACP ってリコイルがキツイんだね。グリップが安定している分、9mmのM&Pの方が撃ちやすいくらいだった。P230でウィンチェスターを撃つのが一番凄い。毎回ガンを握り直す必要がある」

 

 そうなのだ。この.380ACPの2挺はシンプルブローバックシステムなぶん、リコイルスプリングも強力で、スライドを引くにも「ふん!」と気合を入れる必要がある。

 

Beretta Mod.84BBの1発目のフルリコイル時。左手は完全にずれている

 

SIG P230での初弾。「あちゃー、これはきついですね」

 

10ヤードの距離でWinchester PDX1弾による精度テストを行なった。SIG P230が最も優れた精度を出した

 

.380ACP弾の95グレイン FMJでコンクリートブロックを撃ったところ。表面には浅いくぼみを残したのみであり、コンクリートブロックを貫通することはなかった。ただし裏側は少々崩れている

 

 結論としては、軽い弾頭とはいえ、昨今の.380ACPディフェンス弾は結構なスピードで弾頭を飛ばすこともあり、ブローバックシステムの軽量なガンから撃つのは結構厳しい、というのがわかった。
 ただし.380ACP PDX Defenderで大きめのスイカを撃ってみたところ、内部をぐちゃぐちゃにしてほぼ爆発させてしまうだけの威力を持っており、最新弾薬の高性能を見せつける結果となった。

 

スイカを.380ACP Winchester PDX1弾で撃ってみる。ソフトターゲットであるスイカはまるで爆発したかのように派手に飛び散り、大破した。.380ACP弾としてはかなりの破壊力だ


 我々の感覚では、.380ACP弾=非力という認識があるが、これは考え直す必要が大いにありそうだ。より詳しいレポートは月刊アームズマガジン2023年2月号に掲載されているので併せて確認していただければ幸いだ。

 

AnneさんにはS&W M&P 9mmも撃ってもらった。「あっ、こっちの方がリコイルも鈍くて撃ちやすいかも。グリップが太くて安定しています」とのこと。今回テストした銃の中で最も撃ちやすかったようだ

 

Photo&Text:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2023年2月号 P.218-225をもとに再編集したものです。

 

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