2022/11/15
「M○○」と付いたジャケットを解説! 進化し続けたその軌跡をチェック【中田商店】
時代に合わせ進化し続けたフィールドジャケット
アメリカ軍の兵士が第二次世界大戦期から使用したフィールドジャケッ トは年月を経るごとに改良され、進化し続けた。その軌跡はやがて BDU やコンバットシャツに引き継がれ、今もなお、息づいている。 今回はこのフィールドジャケットの軌跡を解説しつつ、それを再現したアパレルを紹介しよう。
M41 FIELD JACKET
▷より実用的な野戦服を目指して
1930年代後半、アメリカ陸軍はより実用的な野戦服を目指し、開発を始めた。様々な試行錯誤の結果、誕生したM41 FIELD JACKETはODのコットン製アウターシェルと、DARKODのウール製ライニングの組み合わせで構築されており、襟元や両脇、袖口にはボタンなどで調整でき、適切に体温を保てるように設計された。
1941年にアメリカが第二次世界大戦に参戦した際、落下傘兵や戦車兵など特殊な衣服を使用する兵士を除き、すべてのアメリカ軍人に使用され、アメリカ軍の支給品を代表する装備として広く知れ渡った。だが、その一方で保温性が低く、雨風を防ぐには不充分である欠点があった。使用されたODカラーは色褪せが早く、ベージュ色になってしまうことから迷彩効果に難あり として、改良するべく新たなフィールドジャケットの開発が進められた。
後継となるM43フィールドジャケットが採用された後もこのモデルは使用され続け、後の朝鮮戦争でも一部で使用された。
SESSLER M41 FIELD JACKET WWII REPLICA
- ¥9,800(三等軍曹モデル:¥10,800)
- サイズ:36(身長160cm-170cm)~46(身長175cm-185cm)
M43 FIELD JACKET
▷耐久性と保温性を向上させたフィールドジャケット
M43フィールドジャケットはより雨風から身を守れるように、丈をより長くし、取り外し可能な フードとライナーを備えることで、より雨風に耐えられるジャケットに改良された。M41はフロントのポケットが2つだったが、M43では胸ポケットが2つ加わり、フラップも追加。さらに、ウエストを調整するドローストリングを備えることで収納性や機能性も向上させている。カラーも以前より暗く緑がかったカラー、ODNo.7に変更。 M41 フィールドジャケットから大幅に改良されたジャケットは1943年に採用され、ヨーロッパの厳しい冬の中で戦う兵士たちの防寒に役立った。
そして第二次世界大戦が終結した後、朝鮮戦争が勃発。新たな戦場での戦いに備え、後継となる改良型ジャケットの開発が行なわれていく。
SESSLER M43 FIELD JACKET WWII REPLICA
- ¥14,800(第101空挺師団パッチ付き:¥16,800)
- サイズ:S~XL
M51 FIELD JACKET
▷第8軍第1騎兵師団バージョン
M51 フィールドジャケットはM43フィールドジャケットをベースに、防水撥水加工がなされた綿サテン生地で縫製されたジャケットで、1945年より日本に進駐した兵師団が着用していた。形状や4つのポケットを備えている点など、M43と似通った部分がかなり多いのが特徴だが、改良もなされている。カラーはOG-107を使用。またボタンカフス、先ポインテッドカラーの尖った襟、取り外し可能なフードが備えられている。M43と同様、取り外し可能なライナーがあるが、パターンが変更されているため互換性はない。
SESSLER
M-51 FIELD JACKET
- 予価:¥15,800(第8軍第1騎兵師団パッチ付き:¥17,800)
- サイズ:XS 〜 L
M65 FIELD JACKET
▷ベトナム戦争で活躍したフィールドジャケット
1964年、アメリカ軍がベトナム戦争に本格的に介入。その翌年の1965年に採用されたのがM65 FIELD JACKETだ。アルファインダストリーズ、サザンアスレチック、ジョンオウンビーなどのメーカーが生産し、広く普及した。
ベトナムの気候を考慮してデザインされており、綿、ポリエステル、ナイロンなど様々な素材を使用した混紡生地を使用することで防風性を向上。さらに化学処理によって耐水性を向上させた。寒冷地用の中綿入り裏地と毛皮製防寒フードを組み合わせることで防寒性も備えている。ジッパーは初期はアルミを使用していたが、後に真鍮、ナイロンが使用された。写真のジャケットは肩に憲章がないタイプを再現している。
M65 フィールドジャケットは長く使用され続け、BDUの導入に合わせてウッドランド、デザートカモなどの様々なカラーのジャケットが登場した。
Sessler M65 Field Jacket 初期型
第82空挺師団パッチ付き
- 予価:¥17,800/ ¥16,800(パッチなし)
『踊る大捜査線』で登場したジャケット
刑事ドラマで一世を風靡し、劇場版は様々な人を楽しませた『踊る大捜査線』シリーズ。その中の『踊る大捜査線 THE MOVIE』において、織田裕二演じる青島巡査部長は年季の入ったジャケットを愛用している。これも軍で使用された衣類がモデルになっている。正式な製品はHOUSTON製のM51パーカ。中田商店が衣装協力し、2着を撮影用に提供したのである。 店長から詳しい話を伺うと、店長はHOUSTON製に併せて実物のジャケットも用意したが、織田裕二はHOUSTON製のものを選んで使用したという。もしあの映画に登場したコートを手にしてみたい、という方は、中田商店に足を運んでみてはいかがだろうか。
HOUSTON M-51 パーカ
- ¥17,800
- 問い合わせ先:中田商店
- TEL:03-3832-8577(アメ横店)
TEXT:珈琲
SUPPORT:毛野ブースカ
この記事は月刊アームズマガジン2022年12月号 P.156~P.157をもとに再編集したものです。