装備

2021/08/20

カイデックス・ホルスターを作ろう!! ~下準備編~【ホルスターDIY徹底解説】

 

カイデックスホルスターを自作しよう!

 

 現代のホルスターの主流となっているカイデックス・ホルスター。ハンドガンのシルエットにピッタリ沿った形状で、カチリとハマる使い心地が特徴だ。また、カイデックス素材は加工がしやすいことで知られており、ホルスターも自作することができる。今回はその作り方を基礎から解説していく。

 

 


 

使う素材

 

  • カイデックス

 

 カイデックスは加熱することで柔らかくなり、圧力で形状を自由に変化させることができる。一枚板の状態で販売されており、赤やオレンジ、青、そして迷彩やカーボン調など、豊富なバリエーションがある。厚みは1.5mm、2mm、3mmの3種類。薄いほど加工しやすく、厚くなるほど頑丈になる。ホルスターやポーチで使う場合は1.5mmか2mmがよいだろう。マトリックス・アイダさんが販売している。

 

自作するなら、市販にはない派手なカラーを選ぶのも楽しいだろう。マトリックス・アイダさんにて購入可能(2mm厚・黒・300mm×600mmサイズで¥3,562。色や厚みによって価格はさまざま)

 

  • ネジ

 

 カイデックス同士の固定、ベルトループの取り付けには「シカゴスクリュー」と呼ばれるオス・メスが対になった組ネジを使用する。長さやヘッド形状の異なる、さまざまなシカゴ・スクリューが販売されている。用途にあったものを選ぼう。マトリックス・アイダさん、レプマートさん、L.E.M.サプライさんが取り扱っている。

 

マトリックス・アイダさん
左:「クッション付きスクリュー」メスネジ首下長6.2mm×直径5mm、オスネジ首下長9.5mm、3mm厚ゴムスペーサー付属(2組入り¥330) / 右:「スロットポスト・トラスヘッド・スクリュー」メスネジ首下長6.7mm× 直径5.2mm、オスネジ首下長6mm、3mm厚ゴムスペーサー付属(2組入り¥440)

 

レプマートさん
左:「スクリューセット カイデックス用ホルスターパーツ留め具 ベルトクリップ用」メスネジ首下長約6.5mm×直径約5mm、オスネジ首下長約9mm、3mm厚ゴムスペーサー・ワッシャー付属(¥70) / 右:「同 本体用」メスネジ首下長約10mm× 直径約5mm、オスネジ首下長約13mm、11mm厚ゴムスペーサー・ワッシャー付属(¥70)

 

L.E.M.サプライさん
「ロングレッグ・シカゴスクリュー」メスネジ首下長9.5mm×直径5mm、オスネジ首下長20mm、11mm厚ゴムスペーサー付属(¥250)

 


 

今回の作例

 

 

 さて、今回はこちらのホルスターを作例として作ってみよう。ダークレッド(2mm厚)のカイデックスを使ったグロック19用ホルスター。サファリランド製アダプターに対応させ、既存の同社ベルトループなどと互換性を持たせた。
 まず、原寸大の完成イメージを描くことからはじめよう。原寸大で描くことで、必要なカイデックスの面積を割り出すことができ、また、このあとの作業の指針にもなる。ネジの位置を決めておくことも大事だ。

 

ホルスターに挿した状態でも、グリップをしっかり握れることが望ましい。デザインを考えるときは、この点に配慮しよう

 


 

治具(スペーサー)を用意する

 

 

 カイデックス・ホルスターはハンドガンに密着した形状になることで、カチリとハマる独特の使用感を生み出す。だが大きな凹凸があると引っかかって抜けないホルスターになってしまう。そこで凹凸を均す治具が必要になる。ホルスターの使い勝手の良し悪しが決まる重要な作業だ。
 私はアクリル板や木材、金属板を治具に使っている。アクリル板と木材は、比較的加工が簡単なので多用する。一方で、金属板は熱と圧力を加えても変形しない利点があるが、自作は難しい。最近はインターネットで個人オーダーを受けてくれる金属加工業者さんがあるので、そちらを利用してみよう。なお、ホルスター製作にトイガンをそのまま使ってもいいが、破損の心配や工作中に汚れが付く可能性を考えて、私はブルーガンを使用している。ブルーガンはレプマートさんが取り扱っている(ブルーガン グロック19 ¥8,800)

 

凹みを埋める

 

 トリガーガード内部とエジェクション・ポートを埋める。ただし、トリガーガードは前半分に多少の凹みを残して、銃を固定するための“引っ掛かり”として利用する。トリガーガードには10mmの木板[A]と5mmのアクリル板[B]、エジェクション・ポートは5mmのアクリル板[C]を使用。

 

 

右側面のスペーサー

 

 必須ではないが、ホルスターの入口を広げて使いやすく(挿入しやすく)するため、右側面にスペーサーとなる治具を取り付けた。まず、スライドとフレームの高さを均すために2mmのアクリル板[D]を置き、その上に5mm厚アクリル板[E]のスペーサーを取り付けた。

 

 

ベルトアダプターの土台

 

 左側面にはアダプターを固定するための土台を作る治具を取り付ける。厄介なのは、スライドストップが突起していることだ。まず、スライドストップと同じ高さとなるよう3mm厚のアクリル板[F]をスライドに置き、その上に2mm厚ステンレス板[G]を載せた。ステンレス板の下、スライドストップ周辺が中空になるが、ステンレス板は熱や圧力で変形しないので、問題ない(アクリル板は中空があると変形することがある)

 

 

アダプター用スペーサー

 

 3点でネジ留めするサファリランドのアダプターにあわせてT字型の治具[H]を作った。素材はステンレス。近年、DIY人気の高まりで金属加工の個人オーダーを受ける業者が増えている。WEBで「金属加工 オーダーメイド」で検索すると、さまざまな業者を見つけることができる。1点2,000 ~ 3,000円程度から製作してくれるだろう。

 

業者に製作していただいたT字を装着。T字の一部が土台からはみ出して、下が中空となるため、念
のために支えの木片を挿し込んだ

 

サイトチャンネル

 

 フロントサイトの通り道(これを「サイトチャンネル」という)を作るため、スライド上面に10mm径の木棒[I]を取り付ける。ここでは丸棒を使っているが、角棒でもかまわない。

 

 

テンション調整ネジ用スペース

 

 フレーム下側・トリガーガード前方に10mm厚のアクリル板(5mm厚×2枚)[J]を取り付けた。ここにシカゴスクリューを通して、ホルスターのテンション調整用とするためだ。マストではないが、テンション調整機能はかなり便利なのでオススメだ。

 

 


 

下準備完了!!

 

 

 スペーサーを取り付けて下準備は完了。いよいよカイデックスを成型に移っていく。次回はその様子を細かく解説するので、そちらもぜひ参考にしていただければ幸いだ。

 

成型編はこちら

 

商品取り扱い店舗

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年8月号 P.62~69より抜粋・再編集したものです。

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