実銃

2021/08/10

実銃シューターが使う光学機器「NIGHTFORCE NXS RIFLESCOPE」

 

実際のシューターが選ぶスコープとは?

 

 マーチ、リューポルド、スワロフスキー、シュミットアンドベンダー…と、ある意味究極のエアガングッズになり得るのが“実物スコープ”だ。モノによっては1本数十万以上するこれらをエアガンに載せる意味の有無はさておき、実銃用高性能スコープは一度覗くと、視界の素晴らしさに多くがその魅力の虜になるはず。

 そこで今回は、光学機器に精通したプロのフォトグラファーであり、実銃のライフル射撃が趣味の須田壱が愛用するNIGHTFORCE NXS 5.5-22×50を紹介しよう。

 

 

自分と銃

 

 筆者が銃に興味を持ったきっかけは子供の頃に見た『ルパン三世』。買ってもらった金色のワルサーP38モデルガンが最初の銃で、年齢を重ねエアガンに移行しSS9000でスナイパーになる夢を抱いていた。
 大人になってプロのフォトグラファーになり、「アームズマガジン」や「ファンシューティング」に関わるようになると、実銃にも挑戦することに。所持許可取得後、散弾銃でのクレー射撃を皮切りに日本クレー協会のランニングターゲット部会に入り、ライフルの所持許可が下りてからはランニングターゲットやスキートを中心に射撃競技には積極的に参加している。また、狩猟免許も取得し、北海道に鹿猟、熊猟に行くこともある。
 このランニングターゲット競技と狩猟で、筆者は2挺のレミントンM700ボルトアクションライフルを使用。今、これら2挺に載せているスコープが、ナイトフォースNXSなのである。

 

 

光学機器へのこだわりと競技射撃

 

 プロのフォトグラファーにとってカメラ=光学機器は非常に重要なもの。撮影する被写体(モデルなど)がきれいに写るかどうかは、カメラボディ以上にレンズ選びが重要で、予算が許す限りその時々の最良のレンズを選ぶ。
 ライフルスコープの場合、遠距離のターゲットがくっきり明るく見えるほど、より正確な射撃が可能となる。つまり解像度が高く明るいレンズが望ましいことは、カメラのレンズと同じだ。さらに、多少衝撃が加わってもレティクル(照準線)が狂わないなど、耐久性も重要になってくる。
 筆者の場合、射撃は趣味ではあるものの真剣にやっているし、光学機器に対するこだわりを持っている。それゆえスコープを選ぶ際には、軍や法執行機関で採用(=悪環境下での信頼性が証明)されているメーカーの製品を基準にしている。 
 最初に購入した実銃用のスコープはリューポルド(Leupold)製VX-1 3-9×40で、価格は5万円くらい。これはランニングターゲット用として使っていたミロクMSS20(20番のショットシェルを使用するボルトアクションの散弾銃)に搭載していた。50m先の移動的を撃つには充分な性能を有していたが、ライフルの所持許可が下りるとこれでは物足りなくなってきた。そんな時、ナイトフォースNXS(以下NXS)の実物を見せてもらう機会があり、たちまちその性能に一目ぼれしてしまった。

 

 

NIGHTFORCE NXS 5.5-22×50

  • 倍率:5.5 ~ 22倍
  • チューブ径:30mm
  • 対物レンズ径:50mm
  • 重量:879g
  • 価格:¥437,800
  • お問い合わせ先:トウキョウジュウホウ

※すべての NXS 5.5-22×50 にゼロストップ装備

 

 NXSのレンズ性能は購入時点(約10年前)ではピカイチだったと記憶している。現在でも生産は継続しており、米軍特殊部隊のスナイパーなども使っていることからバトルプルーフ(実戦での証明)も充分で、現在も第1級の性能と言っていいだろう。
 スコープにせよカメラにせよ、レンズのよさが性能を左右する。よいレンズの条件に「収差(ズレ)の少なさ」があるが、そうしたレンズを実現するには高度な研磨技術が必要となる。また、チューブが長いほど光軸が曲がらない(=収差を抑える)が、NXSは充分な長さをとっている。
 光の透過率を高める「(反射防止)コーティング」も重要だ。安価なスコープでは3層程度のマルチコートが一般的だが、NXSはさらに多層のマルチコートが採用され、透過率を100%近くに高めている。
 狩猟では早朝や薄暮時など、薄暗い中では明るいレンズでなければ標的(獲物)が視認できない。そこで重要になるのが対物レンズで、径が大きいほど明るくなる。NXSは50mm径と大きく充分な明るさで、イルミネーションレティクル(照準線が赤く発光)も備えているため薄暗い中でも問題なく使える。

 米軍特殊部隊のスナイパーも愛用するスコープとだけあって、その性能が折り紙付きなのがお分かりいただけるだろう。後編のレポートではより詳細にこのスコープの魅力をお伝えしよう。

 

後編レポートはこちら

 

 

Photos:須田壱(スタジオゼット)

Text:須田壱(スタジオゼット)/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年8月号 P.46~51より抜粋・再編集したものです。

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