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2021/04/06

軍事行動の基礎「ドクトリン」を知っていますか? コミックで解説!【前編】

 

軍事行動の基礎「ドクトリン」とは?

コミックで解説!【前編】

 

 軍事を語るとき、「ドクトリン」という言葉を聞いたことがある人もいるはず。「原理」や「原則」をあらわす言葉だが、いったい軍事とどういう関係があるのだろう? 軍事における「ドクトリン」の意味・役割をコミックとイラストで解説する!

 

 

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共有化された軍事行動の指針

 

 「ドクトリン」(doctrine)という言葉は、宗教上の「教義」や「教理」などを意味している。

 しかし、現代の軍隊において「ドクトリン」と言った場合、「軍中央で認可されて軍内で広く共有化された軍事行動の指針となる根本的な原則」のことを指す。それは、その軍隊の装備や編制、教育や訓練、指揮官の思考や意思決定の枠組み、指揮のあり方などの土台となる

 たとえば「吉田ドクトリン」や「トルーマン・ドクトリン」のように外交や政治の分野でも用いられる言葉でだが、本書で解説するのは軍事や戦闘に関するものであり、より厳密に表現するならば「ミリタリー・ドクトリン」や「バトル・ドクトリン」を指している。

 具体例をあげると、1982年にアメリカ陸軍が導入を始めた「エアランド・バトル」や、1989年にアメリカ海兵隊が導入した「マニューバー・ウォーフェア」などがある。

 このうちの「エアランド・バトル」は、ソ連を中心とする共産主義・社会主義の東側諸国とアメリカを中心とする資本主義・自由主義の西側諸国が対峙する「冷戦」時代に、アメリカ陸軍でドクトリンの開発などを担当している専門部隊である訓練ドクトリン・コマンド(Training and Doctrine Command略してTRADOC)によって開発されたもので、いまもなおTRADOCの最高傑作と言われている。

 一方、アメリカ海兵隊の「マニューバー・ウォーフェア」は、陸軍のように専門的な組織によって開発されたものというよりも、当時の海兵隊総司令官の独断に近いトップ・ダウンによって策定されたものだが、今でもアメリカ海兵隊の基本的なドクトリンとなっている。

 

「ドクトリン」を知っていますか?【後編】はこちら

 


 

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 本記事は、現在好評発売中の『イラストでまなぶ! 用兵思想入門 近世・近代編』より冒頭を抜粋した。現代の軍隊にも引き継がれている、ジョミニ、クラウゼヴィッツ、モルトケなど歴史上の偉大な用兵思想家を振り返り、近代的な用兵思想の誕生と現代への繋がりについて解説している!

 

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