エアガン

2020/11/16

エアライフル競技の登竜門「ビームライフル競技」を解説!

 

 「ビームライフル競技」は、とりわけ日本では取得が難しい銃砲所持資格を必要とせず、ライフル射撃競技の初歩として位置づけられている。トイガンで遊んでいて本格的な射撃競技にも興味を持った方や、これからライフル射撃競技を目指そうとしている方などに向けて、射撃競技を手軽に体験できるビームライフル競技について、使用されるビームライフルから競技の概要までご紹介する。

※本記事は2019年9月時点での情報を元にしています。

 


 

「ビームライフル競技」とは?

 

 

●ビームライフル競技のはじまりと現在

 

 弾を飛ばすことなく、射撃競技を行なうことができるビームライフルの開発が始まったのは1971年のことだ。銃規制の厳しい日本で、銃の所持許可を取得することなく、精密射撃競技を行なえることを目的としている。

 最初のモデルである73式は1973年に登場し、その年には国体の正式種目となった。競技の内容は国際射撃連盟(ISSF)の10mエアライフル競技(実銃公式競技)に準ずるものだ。


 ビームライフルは、公益社団法人日本ライフル射撃協会(日ラ)の監修で興東電子が開発したと信じられているが、最初のモデルを開発製造したのは西日本電機である。興東電子は1978年からビームライフルの改良に携わり、1979年に改良型79式を発表、同社はそれ以降、40年以上にわたってビームライフルの製造と改良を続けている。
 光源はキセノン管発光であり、レーザーではない。2002年にNECカスタムテクニカ(当時)がクラス1レーザーを用いたデジタルスポーツシューティングシステムを開発して普及を図ったが、こちらは2007年に生産中止となり、興東電子製ビームライフルが現在も主流で製造が続けられている。

 

 現在ビームライフル競技は、国体の高校生の部で正式種目として続いており、実銃のエアライフル競技に進む選手の登竜門となっている。現在のビームライフル射撃競技人口は約4,000人(高校生だけではなく、年少者や大人も含む)で、体験会も各地で行なわれている。

 

●ビームライフルの紹介

 

興東電子製のビームライフル「MBR-201」。一般競技者向けのモデルだ

 

【BEAM RIFLE MBR-201】

  •  全長:1,100mm
  •  銃身長:840mm
  •  重量:5kg
  •  バッテリー重量:200g

 

 カメラのフラッシュと同様キセノン管による光線(ビーム)を使用し、引金部には2段引きエレクトリックトリガーを装備する。MBR-201は一般競技者向けのモデルで、ボルトアクションにてセットし、1回につき1発発射できる。デザインは一般的な競技ライフルに準じており、チークピースやバットプレートが調整可能なフルアジャスタブル式の木製ストックを備えている。

 

●ビームライフル競技の概要

 

 射撃距離は10mで立射姿勢から60発を撃ち、満点は654点(10.9点×60発)。小数
点以下の点数がつくのは、標的の10点に当たってもそれを10段階(10.9点~10.0点)に分割して採点するためだ。小数点以下1桁までのカウントは、10点から1点まですべてに適用される。この採点方法はエアライフル競技やスモールボアライフル(.22LR)競技でも同様で、標的は電子標的と呼ばれるものを使用し、射撃した瞬間に小数点以下の点数まで判定される。
 60発の射撃時間はエアライフル競技が75分であるのに対し、ビームライフルは45分と短い。この60発競技で上位8名がファイナル競技に進出する。それまでの点数はここでリセットされ、8人の選手は250秒で5発を撃つ。これをもう1回行ない(合計10発射撃)、その後の50秒で1発撃つことを2回繰り返し、ここまでの12発の合計点が一番低かった選手は脱落する。その後も50秒で1発を2回撃って、さきほどの12発の合計に加算、この時点で一番点数の低い選手が脱落する。この2発撃ちを繰り返して、ひとりずつ減っていき、最後に残った2選手で優勝を競う。この競技内容もエアライフル公式競技と同じだ。

 

10点圏の直径は1mmでしかない(エアライフルはもっと小さく0.5mm)。この1mmの10点圏のど真ん中を撃てば10.9点で、わずかにかすった場合は10.0点だ。小数点以下が導入された理由は、多くの選手が満点の600点を取るようになったためだ


 10mという射撃距離なので簡単だと思われるかもしれないが、標的は非常に小さい。この標的のど真ん中を撃つことはかなり難しい。「射撃ジャケット」と呼ばれる硬度の高い服を着て身体をサポートしなければ、連続して10点台を撃ち続けることは不可能だ。
 あまりにも難しいので、「BRT(ビームライフルテーブル)」と呼ばれる射撃姿勢も取り入れられている。テーブルに両肘をついた状態で撃つものだ。また台に銃を依託して撃つ自由姿勢競技もある。BRT、自由姿勢のいずれも実銃のエアライフル射撃では行なわれていない。

 

 なお、競技については日本ライフル射撃協会のHPのほか、ライフル射撃競技をテーマに描かれたアニメ『ライフル・イズ・ビューティフル』の公式HPや原作コミックスでも分かりやすく解説されているので、興味がある方はぜひそちらも参照されたい。

 


 

 いかがだっただろうか。あまり聞きなじみがないかもしれない「ビームライフル競技」や、ビームライフル競技をテーマに描かれた『ライフル・イズ・ビューティフル』に興味がわいた方にオススメなのが…

 

月刊アームズマガジン 2019年11月号

 

 

■『ライフル・イズ・ビューティフル』スペシャルコラボ

 TVアニメ『ライフル・イズ・ビューティフル』で主人公4人を演じつつ、アニメ公認アイドルユニット「ライフリング4」として主題歌を手掛けたメインキャストへのインタビューを掲載しているほか、ビームライフル体験レポートがあるので、ビームライフル競技の入門編としてぜひ参考にしてみてほしい。

 

■特集:最強のカスタムガンM4編
  特集は「最強のカスタムガン M4編」。人気のあるM4カービンをベースとしたオーナー渾身のM4カスタムをピックアップ!

 巻頭のリアルガンコーナーでは、キングアームズから電動ガンが発売されていることで知られている「BLACK RAIN ORDNANCEのM4カスタム」と、アメリカ陸軍特殊部隊デルタフォース出身のラリー・ヴィッカーズとBCMがコラボした「BCM/ヴィッカーズタクティカル・トレーニングカービン2019」をご紹介。

 

BCM/ヴィッカーズタクティカル「トレーニングカービン」は発売以来、高い人気を誇るバリエーションだ

 

 トイガンコーナーでは、S&T「M4A1フルメタルガスブローバックブラック」のレポートを筆頭に、カスタムガンはPCCブームとともにSBR(ショート・バレル・ライフル)タイプに着目。スタンダードな14.5インチバレルよりも短いバレルのM4を3人の猛者たちがカスタム。

 さらに、アメリカ軍特殊部隊で使われていることで話題の「“M4”URG-I」の詳細レポートのほか「オールドスクールARカスタムコレクション」「模型的アプローチによるトイガンリアル仕上げ術(コルト M16A1編)」など、M4カスタム尽くしの内容でお届けしている。特にミリタリーファンたちの注目を集めている最新キット「URG-I(Upper Receiver Group - Improved)」のレポートは注目だ!

 

 

■映画『ジョン・ウィック:パラベラム』監督インタビュー&レポート

 話題のガンアクション映画『ジョン・ウィック』シリーズ第3作、『ジョン・ウィック:パラベラム』の内容をお伝えしているほか、シリーズの生みの親であるチャド・スタエルスキ監督のインタビューを掲載。

 また、『ジョン・ウィック:パラベラム』劇中で登場する「STI2011 コンバットマスター」「G19 Gen4 コンバットマスター」「SIG MPX」「ベネリ M2」の実物プロップガンはジョン・ウィックファン必見!

 


 

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