2026年1月号

2025/11/27

【NEW】タナカ モデル1897 ワイルドバンチ ライオットガン Ver.2 HW

 

1969年の映画『ワイルドバンチ』は“西部劇に引導を渡した作品”、あるいは“最後の西部劇”として有名だ。この映画に登場して大活躍するモデル1897ライオットガンがタナカから発売される。時代考証とか、そういったことは抜きにして、あくまでもこれは『ワイルドバンチ』のモデル1897なのだ。

 

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 映画『ワイルドバンチ』“The Wild Bunch”(1969)は、かつてバイオレンス映画の巨匠と言われたサム・ペキンパー監督の代表作だ。時代に取り残されつつある西部の無法者達の滅びゆく姿を、哀切を込めて描いている。同時に壮絶な銃撃戦が展開されることでも有名だ。当時既に西部劇は衰退の一途を辿っており、本作品は“最後の西部劇”、あるいは“西部劇に引導を渡した作品”とも呼ばれた。
 自分は高校生の頃、テレビ放送された時に観たが、若かったため、歳を重ねた無法者達の寂寥感などはさっぱり理解できず、単に銃撃戦だけが目当てだったと記憶している。なにしろスローモーション撮影を多用したクライマックスの銃撃戦は後世の作品に多大なる影響を与えたといわれており、銃好きの高校生としては、ドラマ部分などどうでもよかったのだ。それゆえ、映画の内容は全く記憶に残らなかった。
 今回、これを書くにあたり、概ね半世紀ぶりに『ワイルドバンチ』をネット配信で観た。そしてやっとこの作品が持つ価値を理解することができ、矜持を持つ男達が滅びゆく姿に感銘を受けた。
 『ワイルドバンチ』は、アメリカの国立フィルム保存委員会によって、半永久的に保存すべき作品に認定され、1999年にNational Film Registryに登録されている。そのように評価されたのは、もちろん銃撃戦の部分ではない。

 

▲スリングスイベルの位置は前後に動かすことが可能だ。フロントサイトは無い。

 

 ちょっとだけ、この作品のあらすじも書いておきたい。
 舞台は1913年のメキシコ国境に近いテキサスの町。パイク・ビショップ(ウィリアム・ホールデン)が率いる強盗団は、鉄道会社を襲撃して銀貨強奪を図った。これはパイクにとって引退前の最後の大仕事でもあったのだが、ソーントン(ロバート・ライアン)が率いる賞金稼ぎ達の待ち伏せにより失敗、敗走を余儀なくされた。かつて同じ強盗団の仲間であったソーントンは囚われの身であったが、パイクらを討てば釈放されることを条件に、賞金稼ぎの男達を指揮していたのだ。そんなソーントンらの追撃により、パイクの強盗団はメキシコに逃げ込む。そしてメキシコ政府軍のマパッチ将軍から、アメリカ軍の武器輸送列車襲撃を持ちかけられた。これに成功すれば、多額の報奨金が支払われる…

 

▲アーリーライオットガンとはフォアエンドのセレーションパターンと固定方法が異なる。

 

▲金色アルミシェルの装填。プラスチックシェルとは趣が異なる。

 

 タナカは今回製品化したのは、パイク・ビショップらが使う、ウィンチェスターモデル1897ポンプアクションショットガンだ。映画は1913年を舞台に描かれており、通常の西部劇とは登場する銃がだいぶ異なる。SAAやウィンチェスターレバーアクションも使われているが、1911やモデル1897も大活躍する(同じウィンチェスターのモデル12も登場)。
 とはいえ、昔の映画なので時代考証にはあまりこだわっていない。なにしろ水冷式マシンガンとして、堂々とM1917A1が登場、非常に目立つ形で使われているのだ。よってモデル1897も、1910年頃にクラシックなモデルではなく、撮影当時入手できたものを使ったと思われる。なにしろモデル1897は1957年まで60年間製造が続き、総生産数は100万挺超えだ。市場にはたくさんのモデル1897があっただろう。さすがにメタルハンドガード付きのトレンチガンだと違和感があるが、ノーマル仕様で20インチバレルならば何でもアリだったと推測する。
 

▲古いタイプのポンプアクションなので、作動させるとボルトとリフターが飛び出す。

 

 撮影には何挺かのモデル1897が使われ、それぞれ細部の仕様が異なる。タナカは、最後の銃撃戦でパイク・ビショップ率いる強盗団のひとり、ライル(ウォーレン・オーツ)が使ったモデル1897を選択し、これを再現した。
 基本的にはライオット仕様だが、2019年にタナカが製品化したモデル1897ライオットガンとの違いは、スリングスイベルが付けられたことと、ストック後端のバットプレートの仕様違い、チューブマガジン先端部の形状違いといったところだ。このスリングスイベルを緩めて位置を変更すると、ダッチ(アーネスト・ボーグナイン)が同じ銃撃戦で使ったモデル1897になる。
 このダッチ仕様のモデル1897は、現物がNRAミュージアムに所蔵されているのだが、ダッチ仕様といっても何種類もあるようで、それはスリングスイベル無しだ。
 主役であるパイクもモデル1897を使うが、こちらはテイクダウン仕様のようで、レシーバー部が大幅に違う。
 従って、ワイルドバンチのモデル1897は決して一挺ではなく、これが決定版といえるものは無い。あくまでもこれは、“ワイルドバンチのテイストを色濃くまとったモデル1897”として楽しむのが正解だ。

 

▲ブナ材のストックの色合いも良い感じに仕上げている。バットプレートはアーリーライオット、およびトレンチガンと同じデザインだ。


 今回生産するモデル1897はヘビーウェイト材を用いており、その重量は2019年にタナカが製品化したライオットガンと比べて約500g重く、かつ剛性感が得られるようになっている。さらにその表面に荒目ブラスト処理を施し、質感を一層高めた。
 加えて、ブナ材を使った木製ストックとフォアエンドは、使い込まれた風合いを再現する特別仕上げとなっており、かなり手が込んでいる。

 

ポンプアクション

 モデル1897のモデルガンとしての最大の魅力は、なんといってもそのダイナミックな装填排莢にある。ショットシェルをチューブマガジンに装填、フォアエンドを操作してチェンバーにショットシェルを送り込み、撃発、そして素早くフォアエンドを引けば、大きなショットシェルが宙を舞うのだ。この一連の動きにはメカニカルな作動音も伴う。またモデル1897は現在Ver.2となっており、その作動性は一段と向上している。これを操作する瞬間は最高に楽しい。
 もちろん、キャップ火薬を使わなくても楽しめる。撃発音が無いだけで、ダイナミックさにほとんど差はない。

 

▲ポンプアクションでショットシェルを飛ばす。これが楽しい!


金色アルミシェル

 現在のショットシェル(実弾)はボディが樹脂製でベース部が真鍮、もしくはスチール、あるいはスチールの真鍮メッキとなっている。金属薬莢ができた19世紀半ば頃は、ショットシェル全体が真鍮製だったが、その後にボディを厚紙とし、これに真鍮製のベースを組合わせたものが主流となった。映画『ワイルドバンチ』の舞台となった時代は紙のショットシェルが広く普及していたはずだ。
 この紙製ショットシェルの時代は、1960年代まで続き、その後にプラスチックとなって現在に至る。但し、スペシャルオーダーで真鍮製のショットシェルも手に入れることはできる。またアメリカ軍は第一次大戦と第二次大戦で、真鍮製ショットシェルを一部で採用していた。
 今回タナカは、モデル1897用に金色のアルミシェルを製作して販売する。ポンプアクションショットガンで遊ぶ限りにおいて、通常の黒いプラスチック製ショットシェルでなんら問題はない。しかし、アルミシェルを使うと、排莢してそれが床に落ちた時の金属音がなんとも良いのだ(床の材質にもよるが)。また金色の大きなシェルが排莢される様子はなかなかカッコいいし、キレイだ。アルミなので軽くて、よく飛ぶ。もしこれが真鍮製だと重過ぎて、ほとんど飛ばないだろう。

 実際問題として、金色アルミシェルの存在意義はこんなことぐらいしかないが、モデルガンはそういった“イメージを楽しむ道具”なのだ。“キレイ”、“カッコイイ”、“音がイイ”、それだけで、この金色アルミシェルを手に入れる立派な理由となる。

 

▲金色アルミシェルとスタンダードショットシェル。アルミシェルはアルマイト加工だ。
モデル1897 モデルガン Ver.2 シェルセット ¥3,960(税込:6発セット)
モデル1897モデルガン Ver.2金色アルミシェルセット ¥13,200(税込:6発セット)
いずれも7mmキャップ火薬2個セット可能 発火式
スタンダードシェルは発売中、アルミシェルは2025年12月中旬発売予定
お問い合わせ先:タナカ
▲金色アルミシェルで排莢させてみた(この時、火薬は使っていない)。ちなみにスタンダートシェルは1個約12g、アルミシェルは約23.1gだ。倍近くの重さだが、飛び方に違いはほとんどない。ちなみに実弾のエンプティシェルは5.8gから9.6g(樹脂+真鍮ベース)程度だ。


 現在、ポンプアクションのモデルガンはタナカのモデル1897シリーズだけだ。このモデルと金色アルミシェルを併せて手に入れ、思い切りポンプアクションで遊んで頂きたい。

 

DATA
全長:985mm
重量:約2,800g (ショットシェル含まず)
装弾数:6発
仕様:7mmキャップ火薬使用発火式モデルガン、ポンプアクション
価格:¥93,500(税込)
(モデル1897Ver.2ショットシェル2発付属)
2025年12月中旬発売予定

お問い合わせ先:タナカ

 

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