装備

2024/08/31

プロフェッショナルのためのグローブ Mechanix Wear Work Gloves

 

過酷な環境下で勝利を目指すプロフェッショナルのためのグローブ

 

 

 ワークグローブメーカーのメカニクスウェアは、1991年にアメリカの国民的自動車レース「デイトナ500」に参加するメカニックやピットクルー向けにグローブを開発。それ以来、同社のグローブは人間工学に基づいたデザイン、業界をリードする最新の素材技術、厳密な評価試験へのこだわりにより完成されている。同社のモータースポーツ分野における成功は、軍・法執行機関関係者の目に留まり、彼らに向けたグローブの開発へと繋がっていった。メカニクスウェアのグローブは、様々な分野のプロフェッショナルたちに愛用されている。ここではタクティカルグローブメーカーとしても有名になったメカニクスウェアの歴史と、その新製品であるODグリーンシリーズ(オリジナル/エムパクト/ファストフィット)をご紹介しよう。

 

 


 

About Mechanix Wear

 

 メカニクスウェアの歴史は、モータースポーツに関わるメカニックやピットクルー用のグローブから始まった。1959年に初開催された通称「グレート・アメリカン・レース」と呼ばれるアメリカ国内最高峰のストックカーレース「デイトナ500」の1991年大会において、同社がメカニックやピットクルー専用のグローブ「オリジナルグローブ」を開発、提供したことがきっかけだ。コンマ何秒のタイムを競うモータースポーツは、ドライバーもさることながらマシンを整備するメカニックやピットクルーたちも常に危険と隣り合わせであり、グローブには確かな性能と信頼性が求められる。

 

 

 彼らの信頼を勝ち取ったメカニクスウェアは進化を遂げていく。1997年にはメカニックやピットクルー向けとしては初となる防火グローブを発表、同年に保護素材の付いたグローブとして定番となったエムパクト(M-PACT)が発表された。1998年には高い機能性を持ったミリタリー&ローエンフォースメント専用グローブが、2000年にはオープンカフモデルであるファストフィット(FASTFIT)が登場した。たゆまぬ製品開発とユーザーからのフィードバックによって蓄積された情報をもとに、メカニクスウェアは常に最先端のグローブを提供し、ユーザーに愛用され続けている。

 

The Original glove

 

 

 30年以上にわたる研究と実績をもとにユーザーのニーズに対応した豊富なラインアップを提供しているメカニクスウェアグローブはこの「The Original」から始まった。ここで紹介する4つの「The Original」は、初期型(1991年登場)から現行型(2015年登場)まで並べたものだ。4つもパッと見では同じように見えるが、1991年に誕生してから現在まで、その時点における最高のスペックを備えたグローブを目指して常に進化し続けている。

 

 

TACTICAL AND MILITARY GLOVES

 

 

 モータースポーツ分野に広く浸透したメカニクスウェアは、その製品ノウハウをもとに1998年、ミリタリー&ローエンフォースメント向けの製品「Mechanix Wear Tactical Gloves」(以下タクティカルグローブ)を開発した。タクティカルグローブは、シリアスシューティングやパトロールといった目的別に加えて、耐衝撃性やFR(難燃性素材)仕様をラインアップ。いずれもミリタリーオペレーターやポリスオフィサー、シューター、ハンターたちの手をしっかり保護し作業を円滑にする。

 

 

マガジンに弾を込める、セレクターレバーを操作する、トリガーを引く、マガジンキャッチボタンを押してマガジンを交換するなどの銃の操作には手先の細かな動きが求められる。さらに銃をしっかり保持するためには滑り止め効果も必要となる

 

2022年3月11日、静岡県のキャンプ富士で実弾射撃訓練を行なうアメリカ海兵隊第31海兵遠征部隊第1/5大隊上陸部隊の海兵隊員。コヨーテブラウンのタクティカルグローブを着用している(PHOTO:DOD)

 

Olive Drab Green~The Original, M-pact,Fastfit~

 

 

 タクティカルシリーズは、フィールドに馴染むコバート、コヨーテ、マルチカムの3色が基本となっているが、そこに新色ODグリーンが加わった。ミリタリーカラーとしては定番と言えるODだが、メカニクスウェアの新色ODグリーンは現行型のODカラーの代表であるレンジャーグリーンに近い色と言える。フィールドにおける高い迷彩効果はもちろん、ストリートテイストなサバイバルゲームスタイルにも取り入れやすいカラーといえる。バリエーションはオリジナル、エムパクト、ファストフィットの定番3種類。メカニクスウェアのユーザーなら今使っているグローブのデザインを選べば違和感なく使えるし、初めてのユーザーはこの中からしっくりくるものを選べばよい。ここでは新色ODグリーンの各モデルを紹介する。

 

 

The Original

 

 

 

 オリジナルタクティカルグローブは、タッチスクリーンに対応した厚さ0.8mmの合成皮革素材を用いて機能性と耐久性を両立。特に銃の操作で使う機会が多い親指と人差し指の部分が強化されており、より耐久性が向上している。伸縮性に優れ手の甲になじむ通気性の高い「TrekDry(トレックドライ)」 素材により酷暑の中でも快適な付け心地が得られる。汚れても洗濯可能なのでメンテナンスも楽である。調整可能な手首のストラップには「TRP(サーマル・プラスチック・ラバー)」を採用し手首にしっかりフィットする。また、ナイロン製のホールディングループにより、カラビナなどに引っ掛けて携帯することも可能だ。

 

Fastfit

 

 

 

 ファストフィットタクティカルグローブは、手首のストラップをなくし、代わりに伸縮性のあるエラスティックカフを採用することで着脱しやすさと良好なフィット感を実現している。オリジナルグローブより0.2mm薄い耐久性に優れた0.6mmの合成皮革を用いた本体は動きを妨げないように解剖学的見地に基づいた立体裁断を採用、トリガーを引くなど繊細な動作が求められる指先にはピンチ加工を施すことで指先の強度と耐久性を向上。また、手の甲には伸縮性と蒸発冷却機能を持つTrekDry素材が使われ、手のひら全体にフルタッチスクリーン技術を採用。常に快適な着用感が得られる。ナイロン製ホールディングループを装備し、洗濯機で洗うことが可能だ。

 

M-PACT

 

 

 

 エムパクトは、グローブの外側に装備されたプロテクターが特徴。高い操作性が得られる0.8mmの合成皮革に加えて、タッチスクリーン対応の手の平はD3Oパッドを導入し、手の平全体にArmortexを採用。D3Oパッドにより衝撃を吸収し手の疲れを軽減する。手の形状に合わせて成型されたTPRのナックルプロテクションはEN 13594 耐衝撃基準を満たしている。手首のストラップはTPRが使われており、手首にしっかりフィットする。他モデル同様、ナイロン製ホールディングループを装備し、洗濯機で洗濯可能だ。

 

 

TEXT:Ghost(Ghost in the Dark)

SPECIAL THANKS : 合同会社メカニクスウェアジャパン

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年10月号に掲載されたものです。

 

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