エアガン

2024/06/18

知っているようで知らないハンドガン用ウェポンライトの常識!「4大ウェポンライト実物徹底比較」

 

 現代のコンバットハンドガンに欠かせないアクセサリーのひとつであるウェポンライト。明るさはもちろん、サイズや操作性など各社の工夫が凝らされている。そこでハンドガン用ウェポンライトの違いを探るべく実銃用として有名な4メーカーのウェポンライトをピックアップ。各部の特徴を徹底比較してみた。意外と知っているようで知らないウェポンライトの常識が明らかになる。

 

 

 現代のタクティカルウェポンの必須アクセサリーであるウェポンライト(ウェポンマウントライト)。その歴史は約40年前の1986年にシュアファイアの前身であるレーザープロダクツが発売したガバメントとショットガンに装着するウェポンライトに遡る。実はウェポンライトは懐中電灯(ハンドヘルドライト)型のフラッシュライトよりも数年早く登場している。ライトを実装した銃が実戦投入されたのは1989年、ラリー・ヴィッカーズを筆頭にした23人のアメリカ陸軍デルタフォースの隊員が実行した「Operation Acid Gambit(アシッドガンビット作戦)」と呼ばれる作戦だった。この時に使われたライトはスキューバダイビング用ライトだった。ちなみに彼らはライト以外にドットサイトも装着しており、現代のタクティカルウェポンと同じ装備をいち早く導入していた。この時代はまだレールシステムやピカティニーレールは開発されておらず、ウェポンライトは専用のマウントベースを使って銃に装着されていた。
 そんな流れに変化が訪れたのが、1991年にUSSOCOMの依頼によって作られたヘッケラー&コックMk23(いわゆるソーコムピストル)と、1993年に登場したヘッケラー&コックのUSPであった。Mk23は専用のLAM(レーザーエイミングモジュール)、USPは専用のウェポンライトが装着できる独自規格のアンダーレールが採用された世界初の量産ハンドガンであった。そして1998年、グロック17の第3世代(サードジェネレーション)が登場。このモデルは「ユニバーサルグロックレール(ユニバーサルレール)」と呼ばれるアンダーレールが初めて採用された。
 これらのハンドガン用レールと同時期に1994年にコルトM4A1カービン、そして1990年代後半にナイツアーマメントによって開発された「レール・インターフェイス・システム(RIS)」が登場。本格的に「ピカティニーレール(1913 rail/MIL-STD-1913 rail)」がアメリカ軍によって運用され始め、イラク・アフガニスタン戦争を契機に銃器やアクセサリー類が一気に進化することとなる。USPやグロックピストル以降、アンダーレール付きのハンドガンが主流となり、ウェポンライトはシュアファイアやITI(インサイド・テクノロジー)といったメーカーを中心に発展していく。ちなみにユニバーサルレールとピカティニーレールは微妙に寸法が違うので、自分の銃がどちらの規格なのか確認してから装着することをお薦めする。

 1990年後半から2000年代半ばにかけてハンドガン用ウェポンライトの傑作と呼ばれるシュアファイアX200やITI M3が登場。2000年代後半からマウントベースを介さずにレールシステムに装着できるライフル用ウェポンライトが登場した。
 2010年代に入り、それまでのキセノンバルブからLEDが使われるようになり、明るさや寿命の向上、省電力化、小型化を実現。LEDを採用することでキセノンバルブモデルよりもコンパクトで明るく軽量なモデルが登場し、種類も増加した。さらにバッテリーも従来のCR123Aだけではなく単三や単四といった乾電池が使えるもの、充電式(リチャーチャブル)のCR123Aや、バッテリーを取り出さなくてもケーブルを繋ぐだけで充電できるモデルが登場するなど著しく進化している。
 このように進化を続けるウェポンライトは明るさや利便性。コストに目が行きがちちだが、重要なのは実銃のハードなリコイルショックに耐えられて、銃本体にしっかりマウントできることである。シュアファイアやここで紹介するストリームライトのウェポンライトはそのへんが長けており、実戦を経てバトルプルーフされたきたものばかりだ。価格はやや値が張るものの、それを補って余りある性能を有している。
 数あるハンドガン用ウェポンライトの中から、シュアファイアとストリームライトの製品をサイズ別に2種類をピックアップ。各部の特徴や明るさを比較してみた。

 

シュアファイア X300U-A/ストリームライト TLR-1 HL

 

写真右がシュアファイアのX300U-A、写真右がストリームライトのTLR-1 HL。ハンドガン用ウェポンライトで最も一般的なサイズのものだ。このサイズのハンドガン用ウェポンライトはシュアファイアのX200/X300シリーズが基準となっており、サイズや特徴が似通っている。どちらもルーメン数は1,000ルーメンとなっている

 

シュアファイアX300U-Aを東京マルイのG17 Gen5 MOSに装着したところ。ベゼル部分がスライド先端よりややはみ出しているものの、全体のバランスを崩さずに装着できる

 

ストリームライトTLR-1 HLを東京マルイのG17 Gen5 MOSに装着したところ。X300-Aよりベゼル部分が短いものの、全体のデザインはX300-Aを意識しているのがわかる

 

左側を比較したところ。上がX300U-A、下がTLR-1 HL。X300-AはTLR-1 HLに比べてスリム。TLR-1 HLは凹凸が少なくスッキリしている。ベゼル部分はTLR-1 HLのほうが短くて大きい

 

左側から銃に装着した状態を見たところ。上がX300U-A、下がTLR-1 HL。ベゼル部分の長さが異なる以外はほぼ同じサイズなのがわかる。スイッチレバーの位置もほぼ同じ。なおTLR-1 HLのスイッチレバーはカスタム品で、左側が長くなっている

 

下側を比較したところ。左がX300U-A、右がTLR-1 HL。X300-Aはバッテリーパネルを固定するためのヒンジが露出している。TLR-1 HLは突起物がなくのっぺりしている

 

上側(銃本体に装着する側)を比較したところ。左がX300U-A、右がTLR-1 HL。どちらもユニバーサルレールとピカティニーレールに対応したアタッチメントが付属している。X300U-Aは工具不要でワンタッチで着脱可能。TLR-1 HLはスクリューロックタイプ

 

本体後側のスイッチレバーを比較したところ。左がX300U-A、右がTLR-1 HL。X300U-Aはレバーを押し込むと間欠点灯、下げると常時点灯となる。TLR-1 HLはレバーを下げると間欠点灯、上げると常時点灯となり、素早く2回上げるとストロボモードとなる。どちらも両側から操作できる

 

バッテリーコンパートメントを比較したところ。左がX300U-A、右がTLR-1 HL。どちらもCR123Aを2本使用。バッテリーパネルはX300U-Aは下側のヒンジを外せばオープンできるのに対して、TLR-1 HLは上部にあるヒンジを外してパネル部分を持ち上げるようにしてオープンさせる

 

バッテリーを2本収納した状態の重量を計測したところ。X300U-Aは112g、TLR-1 HLは122g。10gの重量差だが、実際に装着してみると確かにTLR-1 HLのほうが重く感じる

 

東京マルイのG17 Gen5 MOSに装着して照明を消した部屋で2mに置かれた3カラーデザートのBDUを着せたトルソーに照射したところ。写真上がX300U-A、下がTLR-1 HL。ルーメン数は同じながらX300U-Aは広めのセンタースポット、TLR-1 HLは狭めのセンタースポット。X300U-Aは周辺に向けて段階的に暗くなっているに対して、TLR-1 HLは周辺が一気に暗くなっている

 

シュアファイア XC1-B/ストリームライト TLR-7A

 

次に近年注目されているコンシールドキャリー用ハンドガンに対応したコンパクトで軽量なウェポンライトだ。写真左がシュアファイアのXC1-B、右がストリームライトのTLR-7A。TLR-7Aはロサンゼルス市警で制式採用されるなど人気が高い。コンパクトさと明るさのバランスが難しく、各社とも発展途上にあるウェポンライトだ

 

東京マルイのG17 Gen5 MOSにXC1-Bを装着したところ。G19などのコンパクトモデルを前提にデザインされているため先に紹介したX300U-Aに比べるとかなりコンパクトなのがわかる

 

東京マルイのG17 Gen5 MOSにTLR-7Aを装着したところ。XC1-Bに比べれば大きいが、X300U-AやTLR-1 HLよりはコンパクトだ。フルサイズのG17でも違和感なく装着できる

 

左側を比較したところ。上がXC1-B、下がTLR-7A。全長そのものはどちらもほぼ同じだが、上下の厚みが異なるのがわかる。装着方法はどちらもスクリューロックマウント方式

 

東京マルイのG17 Gen5 MOSに装着したところを比較。上がXC1-B、下がTLR-7A。銃に装着すると厚みの違いがはっきりわかる。スイッチレバーの位置はほぼ同じだ

 

下側を比較したところ。左がXC1-B、右がTLR-7A。XC1-Bは真っ平なのに対して、TLR-7Aは下側に向けて絞られたような多面形状となっている

 

上側を比較したところ。左がXC1-B、右がTLR-7A。XC1-Bはスクリューそのものがレールの溝に入り込むのに対して、TLR-7AはTLR-1 HLと同じくスクリューとは別に各レールの規格に準じたアタッチメントが付属している

 

正面から見たところ。左がXC1-B、右がTLR-7A。XC1-Bが厚みを抑えるためにレンズ部分を正面から見て右側にオフセットしてその横にバッテリーコンパートメントを設けられている。TLR-7AはTLR-1 HLと同じく中央にレンズ部分を設けている。レンズの大きさもかなり異なる

 

本体後側のスイッチレバーを比較したところ。左がXC1-B、右がTLR-7A。X300U-Aなどの左右で繋がったシーソー式とは異なりスイッチレバーが左右独立して設けられている。どちらもプッシュ式でXC1-Bが間欠点灯、TLR-7Aは常時点灯

 

バッテリーコンパートメントを比較したところ。左がXC1-B、右がTLR-7A。どちらもバッテリーコンパートメントへは前方からアクセスする。バッテリーはXC1-Bは単4電池1本仕様でバッテリースクリューを外して交換、TLR-7AはCR123Aを1本仕様でベゼル部分を外して交換する。なおTLR-7Aにはベゼル部分をわずかに緩めると点灯しなくなるロックモードが備わっている

 

バッテリーを2本収納した状態の重量を計測したところ。XC1-Bは50g、TLR-7Aは68g。XC1-Bは先に紹介したX300U-Aなどに比べて重量は半分以下。XC1-Bは装着感がないほど軽い。TLR-7AはXC1-Bに比べれば重いが、充分にコンパクトで軽量だ

 

東京マルイのG17 Gen5 MOSに装着して照明を消した部屋で2mに置かれた3カラーデザートのBDUを着せたトルソーに照射したところ。上がXC1-B、下がTLR-7A。XC1-Bは300ルーメンでワイドスポットのため暗く見えるが、近接戦闘では充分な威力を発揮する。TLR-7Aは500ルーメンでTLR-1 HLと同様の狭めのスポットとなっている。実用では充分過ぎる明るさだ

 

TEXT:毛野ブースカ

 

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