2023/11/05
アメリカ空軍向けのリボルバーをモデルガンで初再現「タナカ コルトエアクルーマン “R-model”ヘビーウエイトモデルガン」
時代に翻弄されたアメリカ空軍向けのリボルバー
敵の射程圏外から攻撃できる長射程のミサイル(スタンドオフミサイル)がまだ開発されていなかった冷戦初期、敵地への攻撃は長距離飛行と多数の爆弾を搭載できる戦略爆撃機に頼るしかなかった。ミサイルと違って敵地上空に侵入しなければならない戦略爆撃機の場合、撃墜される可能性があった。そのため、搭乗員が敵地で不時着した時に用いる自衛用サイドアームが求められた。
当時アメリカ空軍には戦略爆撃を主体とした戦略航空軍団(SAC)が第二次世界大戦後に設立され、彼らの主力爆撃機は通称「ピースメーカー」と呼ばれたB-36であった。アメリカ空軍はB-36の搭乗員用として超軽量なサイドアームをコルトとスミス&ウェッソンに開発を依頼。試験的に両社が開発したモデルを約1,200挺ずつ、計2,400挺を発注、M13として試験的に運用を開始した。これにあわせてコルトが1,189挺製造したのが通称「エアクルーマン(Aircrewman)」である。
同社の最新モデルであったコブラをベースに、フレームからシリンダーを含む主要パーツをアルミニウム合金とした。オールスチール製のディテクティブスペシャルが約600gに対してエアクルーマンは312gと大幅な軽量化に成功。しかし、強度的な不安から安全を考慮して「M41」と呼ばれる.38スペシャル弾互換の専用ライトロード弾を用いた。
コルト製は1950年から1952年にかけて製造されて空軍へ納入されたものの、結果としてスチール製シリンダーを組み込んだスミス&ウェッソン版の量産モデルが運用された。コルト版も継続使用されたが、通常の.38スペシャル弾と誤用する危険性があることから、最終的にコルト製は1959年にほとんどが回収・廃棄された。歴史的に価値のあるモデルにもかかわらず現存する個体は極めて少なく、オークションなどで出品されると真贋を巡ってエンスージアストの間で議論が交わされることがあるという。
マニアックなレアモデルを“R-model”仕様のモデルガンで初再現
コルトのダブルアクションリボルバーの中でも知名度・マニアック度ともにトップを争うエアクルーマンをタナカは“R-model”仕様のモデルガンで再現した。外観はコブラに似ているものの、バレル左側に「AIRCREWMAN」、フレームのバックストラップに「PROPERTY OF U.S.AIR FORCE」、グリップ底部に空軍の管理番号が刻印されている。さらにアメリカ空軍の紋章入りメダリオン付きチェッカーグリップ(ウォールナット製、ウエイト入り)が標準装備されている。
モデルガンとしての作動面においても、“R-model”仕様なのでプレス製とダイキャスト製の2ピース構造のリバウンドレバーを導入することでシリンダーロックアップ問題が解決されている。また、専用の「M41」弾を再現したエアクルーマン専用カートリッジが付属する。
時代に翻弄された非常にユニークなリボルバーであるコルトエアクルーマン。コルトのリボルバーマニアならコレクションに加えておきたい1挺だ。
※写真は試作品です。実際の製品とは異なる場合があります
タナカ
コルトエアクルーマン “R-model”ヘビーウエイトモデルガン
DATA
- 全長:175mm
- 全高:120mm
- 全幅:35mm
- 重量:515g(カートリッジ含む)
- 装弾数:6発
- 価格:¥46,200(数量限定生産、2023年12月中頃発売予定)
- お問い合わせ先:タナカ
TEXT:毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2023年12月号に掲載されたものです。
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