2025/05/02
【NEW】SIG/SAUER P226 生粋のデューティピストル + P226 Classic Sport
1993年にドイツで製造されたSIG SAUER P226。ヘビーゲージのシートメタルを曲げて作ったプレス加工スライドが載っている。もちろんダストカバーはプレーンだ。飾り気も妥協も一切なし。これこそがプロのツールだ。飽きずにずっと見ていられる。
SIG のオート
SIG/SAUER(以下SIG)のP226を手に入れた。割と古い、レイルも何も付いてない素のモデルだ。
今さらと言えばそれまでの一挺。どうせならLegionとかEliteとか気張ってXFIVEとか、そうでないならせめて40th Anniversary Limited Edition くらいにすればよいものを、こーゆーのに惹かれちゃうのが自分の限界だ。
もちろん、新し目の銃にも気になるモデルは山ほどある。記事用にはそっちを優先したりもする。が、長年逃し続けた心のミッシングリンクを埋める作業もやっぱり大事。
それと、SIGのP220シリーズに限っては、購入が遅れた理由が別にあったりする。確か以前も書いたが、何度でも書こう。

*東西ドイツが統一したのは、1990年10月3日です。でも刻印はその後もしばらく、W. GERMANYのままだったようですね。 GP Web Editor
事の発端は、1994年の悪名高きFederal Assault Weapons Ban だ。コレにより、多弾数マガジンの禁止が迫る中、自分は駆け込みでP229を買った。
当時P229は最新モデルであり(92年登場)、.40S&Wの強装弾に対応すべく従来のプレスのスライドをステンレスの削り出しに置き換えた強化版SIGの触れ込みで、皆の注目を集めていた。新型の段差付きのスライドがP220シリーズの頭でっかち感を和らげる効果も言われており、自分はついついその流れに乗っかった。口径は.40S&Wには興味が湧かず、9mmを選んだ。


市場はその頃パニックに陥っており、新品にもかかわらず付属マガジンは一個のみ。おまけにかなりのプレミア価格をしぶしぶ払い、さらに焦って20連の純正マガジンを3本、大金払って買い足したりもした。
そのP229は、買った時からスライドに結構なガタがあった。またスライドの段差デザインも、ホントに自分がそれを好きなのか分からず、悩んだり諦めたりを繰り返した(大袈裟)。くわえて、グリップが全然しっくりこなかった。上部がグワッと膨らんでハイグリップが利かない。親指を何処において良いのやら。P229のファンには本当に申し訳ないが、SIGの印象がどんどん悪くなり、次第にSIG音痴に陥っていったのだ。

右:リアサイトもダブテイル。ノッチの下の四角いくぼみに白ペンキが入る。ノッチの幅は3.6mm。自分には少し広過ぎる。
ついでに書けば、P229の特徴だったスライドのあの段差は、2011年に廃止になった。しかも9mm口径のモデルはフレーム側もリニューアルされて(P229-1)、マガジンが少し太くなった。マグウエルが広い.40S&Wのフレームに統一されたからだ。新型の9mmマガジンは従来よりも1発装弾数が増えたが、手元にある旧型のP229には入らない。つまり悪く言うと、1発の増量のために、古い段差スライドのP229はあえなく見捨てられたのである。
自分がこの事実を知ったのは、実はずいぶん後だ。SIG音痴になっちゃって情報に疎かったのもある。
何れにしても、P229とは一体何だったのか。スライドから段差を消したらP228に逆戻りじゃんみたいに、余計に心がSIGから離れていたところに、今回ひょっこりP226の古いのに出会ったもんだから、買ってしまったんだよね。

SIG P226
申し訳ない。P229の話で長々引っ張ってしまった。
そんなわけで、ようやく買ったP226だ。箱入りの超ミント品。製造年を示すKDコード(スライド先端の下部に刻印)から93年製と判る。スライド右サイドにはMADE IN W.GERMANYの文字が見え、NITROのプルーフマークがスライドとフレームにばっちり。お値段は840ドル払った。当時の価格は805ドルほど。グロック17が580ドル、ベレッタ92FSが625ドルの時代だ。

購入のきっかけは後述するとして、この手に握りしめた感想は…全く良いですねえ。
グワッと来るボリューミィーなボディ。見るからにデューティガンのフルサイズ。もう貫禄の一言。しかしアルミフレームだから、そんなに重くはない。
全体がマットブラックに沈み、スライドのみならずレバー類までプレスを多用した無味乾燥でツール然とした飾り気の無さが却って魅力。どこまでも冷徹でシリアスなコンバットピストルの佇まいにしびれる。
P226は旧Gun誌時代に借り物をリポートし、何を書いたかはもう忘れたが(オイオイ)、昔のしがらみなど捨てて見入ってしまったよ。
不思議なことに、スライドの頭でっかち感なんてちっとも感じない。還暦過ぎの自分は、元々MGCのP220で慣れていたはずに違いない。やはりP229の段差付きスライドは過度期のデザインだったのだろう。P220シリーズのスライドは1996年にすべてステンレスの削り出しに替わったが、正直、プレスのスライドこそがP220シリーズの肝だと自分は思う。

