2025/04/29
【NEW】コルトニューリボルバーズ パイソン, アナコンダ, キングコブラ, コブラ 一気撃ち
コルトニューリボルバーズ 一気撃ち
Colt’s New Revolvers Shoot at one time
Text & Photos by Tomonari Sakurai
チェコ共和国へコルトのリボルバーを撃ちに行く。そんな時代が来るなんて、誰も予想できなかっただろう。しかしこれが現実だ。コブラ、キングコブラ、パイソン、そしてアナコンダ、コルトの新型ステンレスリボルバー7挺をCZの本社CZUBで一気に撃ってきた。
コルトの10年
Text by Gun Pro Web Editor
チェコのCZ本社であるCZUBを訪問するのであれば、コルトリボルバーについても取材して欲しいと櫻井さんにお願いした。現在コルトはCZの傘下にあり、当然CZUBにはコルトリボルバーがあるはずだからだ。
その時に取材してきて貰ったコルトリボルバーのレポートをお読み頂く前に、現在、アメリカの伝統的なガンメーカーであるコルツマニュファクチャリングLLCが、チェコのチェスカ・ズブロヨフカに吸収され、その傘下にあるという事実を読者の皆様に改めて認識して頂くべく、この10年の動きをコンパクトにまとめてみた。
コルト ディフェンスは2015年6月15日、デラウェア州の破産裁判所に連邦倒産法第11章(Title 11 of the United States Code:Chapter 11)を申請した。この連邦倒産法第11章、通称チャプター11は日本の民事再生法に当たるものだ。この時点でコルトディフェンスはコルトマニュファクチャリングの親会社であり、これは事実上、コルトが倒産したことを意味する。
とはいっても、コルトというガンメーカーが消えてなくなったわけではない。2016年1月にコルトは破産裁判所より再建計画を承認され、企業として復活を果たした。
だからといって、新生コルトが他のガンメーカーのように新しい時代に適応した新製品を開発するようになったわけではない。
破産前のコルトは、アメリカ軍に納入した製品にリコールがあり、契約を破棄されるなど、踏んだり蹴ったりの状態だったが、再建後に何とか軍からの信用を取り戻し、マシンガンM240の製造供給契約を勝ち取るなど、従来通りアメリカ軍への製品納入を継続させつつ、民間市場をも重視した経営方針に移行していた。
1911系のアップデートモデルや、スポーツ用ボルトアクションライフルCBX、M4系ライフル、あるいはその発展型M5カービンを市場投入していたが、もっとも注目すべき動きといえるのは、2017年にコブラの名を冠したリボルバーを発売、ダブルアクションリボルバー市場に再参入したことだろう。2018年にDLCコーティングを施したナイトコブラを追加し、2019年にキングコブラ、2020年にパイソン、2021年にはアナコンダと往年のリボルバーの名を冠したリボルバーを発売するようになっていた。しかし、それだけでコルトが活力あるガンメーカーに戻れるはずはない。
そのような中、2020年11月に明らかになったのが、CZグループ(Česká zbrojovka Group SE:CZG)によるコルトホールディングカンパニー(Colt Holding Company LLC)の買収話だった。コルトマニュファクチャリングはコルトホールディングが所有しており、これが実行されれば、コルトはCZグループの傘下に入ることになる。そして2021年2月11日、CZグループがコルトホールディングカンパニーの発行済み株式のすべてを2億2千万ドルで取得することが決まり、現実のものとなった。
そして1年2ヵ月後の2022年4月12日、CZグループはその名称をColt CZ グループに変更、コルトとCZが完全に経営統合したことを強く内外に印象付けた。
現在のコルトCZグループは、Česká zbrojovka, Colt’s Manufacturing, Colt Canada、CZ-USA、Dan Wesson、Sellier & Bellot , Spuhr, swissAA、Colt CZ Defence Solutions, 4M Systemsなどを擁して、銃器ならびに防衛関連機器を世界に向けて供給している。生産拠点はチェコ、アメリカ、カナダ、スウェーデン、スイス、ハンガリーにあり、そのすべてを合わせた従業員数は3,600名以上となっている。
コルトCZグループの大株主は、Česká zbrojovka Partners SE holdingであり、チェコ共和国のCZがこれらの企業を統括していることは間違いないだろう。
以上がコルトとCZに関する前置きだ。ここから、櫻井さんによる今回の”一気撃ち”の記事となる。

全長:292mm
全高:139.7mm
全幅:39.4mm
銃身長: 6インチ
重量:1,306g
口径:.38 SPECIAL/.357 MAGNUM
装弾数: 6発
材質:ステンレススチール
トリガー:シングル&ダブルアクション
グリップ:ウォルナット, ターゲットタイプ
コルトは一民間企業であるが、同社が製造してきた製品は、19世紀半ば以降、アメリカの歴史に深く関わり続けてきた。
“人類の歴史は戦争の歴史である”という事実は、あまりにも残念なことであるが、有史以来、現在に至るまで、地球上のどこかで何らかの戦いがほぼ常に行なわれており、戦争が全くなかった時代は、人類史上累計でわずか6年ほどでしかないという研究がある。そして銃が発明されて以来、戦争や紛争には常に銃が使われてきた。

全長:248mm
全高:139.7mm
全幅:39.4mm
銃身長: 4.25インチ
重量:1.190g
口径:.38 SPECIAL/.357 MAGNUM
装弾数: 6発
材質:ステンレススチール
トリガー:シングル&ダブルアクション
グリップ:ウォルナット, ターゲットタイプ
コルトはハンマーとシリンダーを連動させたリボルバーを初めて実用化し、これを普及化させたことで、アメリカの戦争の歴史に深く関わるメーカーとなった。特に1873年のコルト シングルアクションアーミーの登場以降、コルトが開発製造するハンドガンをアメリカ軍は主力サイドアームとして採用し続けた。ダブルアクションリボルバーの時代を経て、セミオートマチックのM1911、M1911A1までこれが続く。ハンドガンは陸戦の主役ではなく、20世紀以降の戦場では、ほとんど戦況に変化をもたらすものではなかったが、象徴的存在ではあることは変わっていない。
またアメリカ開拓史において、銃は人々の生活から切り離せない道具であり、コルトはその代表的存在だった。20世紀になってもアメリカの警察官の半数以上は、コルトのリボルバーを装備し、一般市民が自衛のために保有する銃も、かつてはコルト製が多数を占めていた。だから、コルトがアメリカの歴史や市民生活に深く関与し続けてきたメーカーであることは、だれも否定できない。
また1967年以降、コルトが製造供給するM16系ライフルがアメリカ軍に採用され、ベトナム戦争とそれ以降に起こった紛争や戦争に投入されたことは、コルトのアメリカの歴史への係わりをより強いものにしたといえるだろう。

全長:330mm
全高:184mm
銃身長: 6インチ
重量:1,503g
口径:.44 Magnum
装弾数: 6発
材質:ステンレススチール
トリガー:シングル&ダブルアクション
グリップ:HOUGE モノグリップ
しかし、第二次大戦終結以降、コルトのシェアや人気は下降線を辿り始める。何度もメーカーとしてのコルトを保有するオーナーが変わった。また1970年代以降、その製品品質が低下していったことで民間市場でのシェアは落ちていく一方だった。さらには新世代ハンドガンの開発を怠ったことで、1985年にはアメリカ軍のサービスピストルの座を明け渡した。そして90年代からは、M16の軍への独占的供給契約も失い始める。
トレンドの変化にほとんど対応してこなかったことは、ある意味で致命的だ。伝統のダブルアクションリボルバーを全機種生産終了させ、軍との契約により注力するといった経営方針の転換など、いくつかの荒治療によって、何度か浮沈を繰り返したものの、2015年には経営破綻に追い込まれた。

全長:235mm
全高:139.7mm
全幅:39.4mm
銃身長: 4.25インチ
重量:1.020g
口径:.38 SPECIAL/.357 MAGNUM
装弾数: 6発
材質:ステンレススチール
トリガー:シングル&ダブルアクション
グリップ:アルタモント
Sights: Fiber Optic Front, Adjustable rear
その後の再建の最中に行きついたのが、2021年のチェコ共和国CZグループによるコルトホールディングカンパニーの買収だった。これにより、アメリカの歴史に密接に関わってきたコルトは、アメリカ資本の企業ではなくなってしまったのだ。
今のコルトがどこの国の資本化にあるか、そんなことにこだわる時代ではないのだろう。“ヨーロッパの工業力+アメリカの伝統”という新しい考えの下、で製造体制の見直しと品質の安定化が進行中なのだ。
結果として、新生コルト製リボルバーは、外観・内部構造ともに刷新され、再び評価を高めつつあると言われている。コルトがCZの傘下に入る前年に新生パイソンが登場、経営統合の直前にはアナコンダの復活がアナウンスされ、大きな話題になった。
これら伝統のコルトリボルバーの復活と経営統合に直接の繋がりが無いのかもしれないが、CZの傘下に入ったニュースは、コルト復活を狼煙(のろし)であったようにも感じる。

全長:183mm
全高:124.5mm
全幅: 35.6mm
銃身長: 2インチ
重量:709g
口径:.38 SPECIAL+P
装弾数: 6発
材質:ステンレススチール
トリガー:シングル&ダブルアクション
グリップ: HOGUE オーバーモールデッドモノグリップ
パイソンもアナコンダも、昔のままでの単なる再生産ではない。名前や外観は踏襲しているが、中身は新時代のリボルバーなのだ。
新生パイソン、新生アナコンダは、前回のCZUB訪問時に見てはいるが、今回はWeb Editorの希望もあり、改めてこれらを用意して貰った。そこでこの機会に新型コルトリボルバーを一気撃ちすることにした。