2023/10/16
【実銃】日本製リボルバーの実力はいかに?「ミロク」を実射!【Part4】
MIROKU
LIBERTY CHIEF & SPECIAL POLICE
ミロク実射編
最後にさらっと撃ってみよう。先ずはリバティチーフから。
弾はリロードのJHP弾(158gr)を使用。古い銃なので当然+P弾は避ける。この個体を撃つのは初めてだ。旧Gun誌時代にリポートしたリバティは借り物だった。今は弾代も高いし、慎重にそろりそろり撃とう。
ややルーズな引っ張りラッチを引き、少々ぐら付くシリンダーをオープンして弾込め。見た目は綺麗なこの銃だが、シリンダーストップの通り傷の深さやらリコイルシールドの傷具合からして多分結構撃っている。各所のぐら付きはそのせいもあるだろう。
そして、発射!
+P弾は避けたので、リコイルは緩めだ。チーフより余裕な、一種あっけない手応え。不快感はない。が、やっぱりトリガープルが悪い。ハンマーのコッキングも大層固く、華奢なスパー部が折れ曲がらないかと不安になるほど。
グリップも握り易いとは言えない。上部の膨らみは結構効くのに、下部の丸棒のような造形がしっくり感を削いでいる。基本的なグリップフレームのカーブの取り方も悪くて、フロントストラップ側の空間処理がどうにも不味い。
おかげで、トリガーフィンガーにも影響が出て来て、いつものクセでグリップの上部を深く握るとトリガーフィンガーも必要以上に入り込み、結果トリガーが引きにくくなる悪循環だ。Kフレーム用のグリップアダプターが合うので、絶対にお勧め。
またサイティングも、リアの掘りが浅くて見えにくい。もう、文句タレタレだ。
お次はスペシャルポリスの4インチを発射。リバティチーフの後だと、すごく撃ちやすく感じる。トリガーの感触も上。が、こちらのグリップもダメだ。上部の撫で肩が災いし、バックストラップがツルツル滑ってうっかりすると銃がすっぽ抜ける。リアサイトも、リバティ同様に掘りが浅くて頂けない。
う~ん、両銃ともまだまだだ。エジェクターロッドのバネ圧なども必要以上に強かったり、サムラッチの移動距離が無駄に長かったりする。詰めがどうしても甘い。しかし逆に言えば、それだけ伸びしろがあったということだ。
気になる箇所が出てしまうのは、拳銃作りの経験値の低さからだから致し方ない。それよりも、手かせ足かせの多い日本国内でここまで突き詰めていたのをむしろ褒めるべきだろうとポジティブに考えつつ、計50発弱で実射終了。特にアクシデントは無く、無事に終えて一安心でした。
ミロク銃はほぼ十年ぶりに撃った。なので感想等、以前の記事とは真逆の事を書いているかもしれない。それは、筆者自身の経験値の変化と受け取って貰えれば幸いかと。
当時のミロクの技術力はやっぱり高くはなかった。それは認めざるを得ない。しかし今では、ミロクショットガンは世界の一級品だ。リボルバーへの寄り道も、技術力向上の下支えとなったのはきっと確かだろう。
そして、コレは松尾副編も別冊「日本警察拳銃」に書いていたが、もしもミロクが現在もピストルの開発生産を継続していたら、S&Wを凌駕するリボルバーを生み出していた可能性は十二分にあると思うし、ミロクのみならず、二十六年式とか南部式の時代からの拳銃文化を継続して育んでいれば、欧米人には絶対にかなわないハンドガンを日本は造り上げていただろう。それは、現在のトイガンのクオリティの高さを観れば一目瞭然。実銃よりも複雑なんだもんなあ。
ミロクの銃を眺めるたびに、自分は心地よい懐かしさを覚える。それはまるで、幼い頃(筆者は昭和38年生まれ)の家族写真を見るような気分だ。垢抜けせず物腰も野暮ったいけれども、奥ゆかしさや慎ましさはそこはかと漂い、そして何より、高度経済成長時期の意気込みをヒシヒシと感じる。間違っても、かつての二十六年式とか南部式のような悲壮感は微塵もない。
本当に温かく、情が通った日本拳銃だ。この先も大事にしたいと思う。
TEXT&PHOTO:Gun Professionals LA支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年6月号に掲載されたものです
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