2022/01/14
【ガンプロより再掲】リボルバーを極めた競技と実用の二刀流!
TANAKA×ARMS MAGAZINE
MODEL 65 STROUP PPC CUSTOM
PPCカスタム
月刊Gun誌のリポーターだったイチローさんがPPCという競技と、その競技用のカスタムリボルバーを紹介した1980年頃は、まだまだリボルバー人気が高かった。 映画『ダーティハリー3』(1976)や『タクシードライバー』(日本公開1976)の余韻も残っていた。『ダーティハリー』の初TV放送は1978年で、TVドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』の放映は1977~1981年だ。リボルバーの中でも、特に.44や.357のマグナム人気が凄かった。
PPCカスタムは、極太のバレルの上に厳ついリブサイトが載り、それまでのリボルバーのイメージを覆すようなインパクトがあった。たちまち日本中のガンファンが夢中になった。
だからPPCカスタムもすぐにモデルガン化され、 1981年、MGCとコクサイから相次いで発売された。実銃のPPCカスタムは警察官の射撃技術向上のために生まれた競技用の銃なので、当時は警察で広く使われていた.38口径のリボルバーが基本で、ほとんどはS&WのKフレームだったらしい。
しかし当時モデルガンにKフレームのものはなく、仕方なくパイソンと.44マグナムが選ばれたという。ところが、大型銃によって見た目のインパクトが増大し、マグナムブームとも相まって大人気となった。
結局モデルガンとしてのリアルなPPCカスタムは出ずじまいだった。
インプレッション
あれから40年、ついに本格的なPPCカスタムのモデルガンが実現する。アームズマガジン400号記念特別企画として、タナカとのコラボレーションで、伝説のPPCカスタムが作られることになった。完全受注生産というから、正にカスタムだ。
もちろん以前のようなPPCカスタムをイメージしたものではなく、実在する特定のモデルを再現したもの。Toshiさんのリポートにあったように、2006年にToshiさんが手に入れたという4インチが原型となっている。
Kフレームなので大きすぎず、4インチバレルは実にコンパクトに見える。PPCカスタムとしてはスマートといっても良いのかもしれない。
めっき仕様のためヘビーウェイト樹脂ではないものの、実際にステンレス材を切削加工して作ったリブが載ることで充分な重量感も確保している。工作技術も40年前より格段に進歩し、カチッと作られ、タイトにガタつきなく固定されている。かつてのようにバレルがグラグラすることはない。実にリジッド。
フロントサイトも程よくエッジが立ち、シャープな 仕上がり。実銃と比べてもまったく遜色ない出来栄え。
リアもフルアジャスタブルのイライアソンが載せられているが、ただ載せただけではない。ちゃんとリアサイトブレードの両エッジが丸められ、Toshiさんの記述どおりノッチの前方がわずかに広げられているなど、 さすがカスタム、手間を掛けて細部まで良く作り込まれている。
フラットサイドのヘビーバレルは樹脂製だが、それを感じさせない。 歪みのない表面とエッジが美しい。金属パーツとの違和感もない。そしてシリンダーをロックするロッキングボルトを収めるロッキングボルトケースも、ステンレス材を切削加工して作ったもの。実に手間がかかっている。素晴らしい。
シリンダーはKフレーム用の.357マグナムが撃てるカウンターボアード仕様の全長が長いタイプ。何とこのモデルのため、新たに製作されたものだという。そのためフレームにあるシリンダーの脱落を防ぐフレームラグもシリンダーに合わせて新たにフレームに穴を開け、独立したパーツを起こして打ち込み直している。実銃と同じ作りになっているのだ。リアル!
右側のリコイルシールドには、原型となったToshiさんの4インチと同様、穴が開けられ、次弾のプライマーが打撃済みかどうかの確認ができる。モデルガンの場合はアンビルが前進しているかどうかで、撃発済みかどうかを確認する。
ハンマーはセミワイドタイプ、トリガーは幅の狭いサービスタイプのグルーヴ(セレイション)無しが装着されている。
グリップもイチローさん仕様のロジャースのコンバットグリップではなく、ドイツNill Grip風デザインのベークライト製ターゲットタイプを装着した。手に持ってみると、フィンガーチャンネルが苦手のボクでもほとんど違和感はなく、サムレストが効いている。
ちなみにフレームのグリップ部はラウンドバットとなっているので、好みによって様々なタイプのグリップを合わせることが可能だ。
パフォーマンス
メカ的にはほぼ完成されたタナカのS&Wアクションで、作動精度も高く、実銃同様の動きとスムーズさはすでに折り紙付き。
まずシングルアクションのトリガープル。ライマンのトリガープルゲージで測定してみると、10回の測定で最小1,502g、最大1,762g、平均1,637.6g(標準偏差 SD=96.95g)だった。感覚的にはちょうど良い軽さ。スッと切れる感じが実に良い。
続いてダブルアクション。10回測定し、最小2,500g、最大2,790g、平均2,671g(標準偏差SD=82.40g)だった。驚くほどスムーズで、ゆっくりとトリガーを引いていけば、落ちる寸前にハンマーとトリガーのかみ合わせが変わり、シリンダーストップがカチッと掛かるのがわかる。実銃そのままの感触だ。いい感じ。
カートリッジは今回タナカで新たに開発されたというダブルキャップ仕様の.38スペシャルカートリッジが6発が付いてくる。
タナカのデザートイーグルのダブルキャップブローバック(BLK)カートリッジの流れを汲むもので、打撃によって撃発されたキャップ火薬でもう1個のキャップ火薬を誘爆させるタイプ。外観はまるでセミジャケットのホローポイント弾のよう。色調も、腐食に強い(モデルガンでも!)ニッケルめっきケース、金色アルマイト のアンビル(プライマー)と真ちゅうの弾丸ジャケット部、鉛色の弾頭(弾丸頭部)の、3トーンになっている。 ダミーカートリッジ並みの外観で、そのまま飾っても美しくリアル。
キャップは7mmを使い、弾丸側に後ろ向きに1個、ケース側に前向きに1個セットして、真ん中のプラグをはさむ。ローディングではどのパーツもキャップ火薬に触れないので、きわめて安全だ。まったく不安なく作業できる。よく考えられたシステム、構造だと思う。
誘爆型なので、シングルキャップでも発火できる。そこでまずシングルキャップで、リボルバー向きの7mmモデルガンキャップ(カネキャップ)とBLK用のMGキャップ黄箱を撃ち比べてみることにした。
カネキャップシングルでの撃発音は、A!CTIONのリバティチーフと同様「パン」という高めの音で、シリンダー横1mのところで6回測定して、平均87.9dB (SD=3.03dB)。この数値もほぼリバティチーフと同じだ。マズルフラッシュは、肉眼では火花が10~15cmほど飛び散るのが見えた。
BLKキャップでも同様で、撃発音は「バン」と低めながら音圧は6発の平均90.57dB(SD=2.98dB)。カネキャップよりやや大きいような気もしたが、有意差検定をしてみると有意差があるとは言えないという結果。これまたリバティチーフと同じ。マズルフラッシュがオレンジ色の塊で2~3cmほどバッと見えるのも同じ。
ではダブルキャップだとどうなるか。
まずカネキャップのダブル。撃発音は「バン」に近くなり、重さが増す感じ。音圧は6発の平均91.57dB(SD=3.25dB)となった。マズルフラッシュは火花が50cmくらいまでに増えた。ドバッと出る。このド派手は発火の様子は、この記事の最後に掲載する写真でぜひ確認いただきたい。
BLKキャップのダブルでは、さらに重みが加わって「ドン」という感じに。音圧は6発の平均90.13dB(SD =2.25dB)。マズルフラッシュはピンクっぽくなり、5~6cmほど肉眼で確認できた。なかなかの迫力!
音圧はカネキャップのダブルでは、シングルより 3.67dB(約1.5倍)ほど大きくなっていて、BLKキャップのダブルではシングルより0.44dBだがむしろ小さくなっている。
有意差検定をしてみると、カネキャップでは有意傾向ながら、BLKキャップでは有意差があるとは言えないという結果。しかしシングルでもダブルでも、同じ火薬同士は有意差があるとは言えないのだから、カネキャッ プだけがシングルとダブルで差があるのはおかしい。今回はサンプル数が6発と少ないことから、そこで誤差が生じた可能性はある。
それより、ダブルキャップで撃発音が大きくならないのはなぜか。おそらく、それはキャップ火薬の基本性質のためと思われる。
17年ほど前、旧Gun誌のエッセイで火薬のことを書いた時、玩具火薬メーカーのカネコの吉田 魁さんに教えていただいた。キャップ火薬は火を付けて発火させても大きな音はしないが、打撃すると大きな音を発し、打撃面が大きいほど甲高く大きな音を発生するという。
タナカは前方のキャップ火薬を打撃ではなく誘爆で発火させている。しかもブローバックとは違い、リボルバーでは発生した発火ガスは溜められることなくすぐに抜けていってしまうから、大きな音がしないのだ。
つまりタナカのダブルキャップは、音よりもマズルフラッシュを増強するカートリッジだということができるだろう。シングルキャップの音圧で、2倍以上の派手なマズルフラッシュが楽しめる。
一般のお座敷シューターは、この方が嬉しいと思う。耳を聾するほどの(キーンとなる)轟音より、マズルフラッシュ増強の方が「ばえる」し、カッコいい!
ついでなので、カネキャップとBLKキャップの組み合わせも試してみたが、発火音も音圧も変わらず、マズルフラッシュがシングルのカネキャップとほほ同じで、あまり意味はなかった。前後を入れ替えても同じだった。
撃発で注意すべきことは、底のキャップ火薬を詰めた時、必ずアンビルが完全にはまっているか確認することと、撃発によって弾頭が外しにくくなることがあるので、撃つ前に、毎回ねじ山の部分にシリコンオイルのスプレーをシュッとひと吹きしておいた方が良いということ。
外観の完成度、質感も素晴らしく、正確に再現されたS&Wアクションも高い精度で作動し、キャップ火薬をダブルで使う迫力のファイアリングも楽しめる究極のプラスチック製カスタムリボルバーモデルガンの登場だ。少々値は張るが、確実にそれだけの価値はある。競技用と実用の二刀流ストラウプPPCカスタムは、モデルガンとしても二刀流。飾っても撃っても楽しめる。ぜひ手に入れて欲しい。
PHOTO:Hisayoshi Tamai
※この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2022年2月号 P.166~172より抜粋・再編集したものです。
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タナカ×アームズマガジン 発火式モデルガン
モデル65ストラウプPPCカスタム
DATA
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製造:タナカ
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全長:約245mm
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重量:約700g(カートリッジ含む)
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装弾数:6発
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材質: 本体(ABS+メッキ)+一部ステンレス削り出し専用パーツ(バレルリブ・ロッキングボルトケース)+ベークライトニールタイプグリップ
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表面仕上げ:ステンレス調メッキ
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フレーム:Kフレームラウンドバット
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付属品:新型.38スペシャル W-capカートリッジ
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価格:¥60,500(完全受注生産品)
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お問い合わせ:ホビージャパン
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▼実銃レポートはこちら
【実銃】キャリー志向のPPCカスタム「S&W Model 65 E.R.STROUP PPC Custom Grand Master」
本製品はアームズマガジン限定の完全受注生産品となっております。
限定品のため、一般店舗では購入できません。
ご注文方法は以下の3つからお選びください。
- (1)ポストホビーWEB SHOPでのお申込み
- (2)下記に掲載の「ご注文用紙」によるお申込み
- イベントおよび一部店舗で配布中のチラシ
(3)ポストホビー厚木店でのお申込み
- お申込み期間:2021年11月27日(土)~2022年1月26日(水)
※ご注文用紙でのお申込みは1月14日(金)消印有効 - お届け予定時期:2022年6月頃予定(2次出荷分)
- 価格:60,500円(税込)(本体価格55,000円+税)
※完全受注生産品につき、お支払いは先払いとさせていただきます。
※お客様都合によるキャンセルはお受けできません。
※送料として別途550円(税込)がかかります。
※ご注文数はおひとり様3挺までとさせていただきます。
※おかげ様で初回出荷分のご注文をいただきましたため、現在は2次出荷分にて承っております。お届けは2022年6月頃予定です。