2026年1月号

2025/12/20

速報 CZ P-10 C OR ドイツ連邦軍ブンデスヴェアがP13として採用を決定

Image courtesy of  Česká zbrojovka, a.s. 

 

Text by Satoshi Matsuo  &   Tomonari Sakurai

 

 今回のドイツ連邦軍による新サービスピストル採用に関して、私、松尾が記事アップと入れ違いにパリの櫻井さんからも原稿が届いていました。
 せっかくなので、既に公開済みである私の原稿を残しつつ、そのあとに櫻井さんの書かれたレポートも併せて開催させて頂くことにします。

 

 CZ P-10 C OR ドイツ連邦軍ブンデスヴェアがP13として採用を決定

Text by Satoshi Matsuo 

 

ドイツ連邦軍がCZ P-10 C ORをP13として採用したことが発表された。1994年に採用されたP8(HK USPドイツ軍仕様)は順次退役となる見込みだ。これはコルトCZグループにとって大きな快挙だといえる。

 

 2025年12月19日(中央ヨーロッパ時間)、コルトCZグループは、ドイツ連邦軍Bundeswehr(ブンデスヴェア)が新型サービスピストルとして、CZ P-10 C ORをP13として採用したことを発表した。
 ブンデスヴェアは1994年にHeckler & Koch USPドイツ軍仕様をP8として採用、近年にはP8A1にアップデートしたばかりだが、今後はP13に置き換わる予定だ。
 P13はCZが2017年にリリースしたプリコックストライカー+ポリマーフレームピストルのP-10 C、そのオプティックレディ仕様のフラットダークアースカラーモデルで、マガジン装弾数は15発となっている。CZUBの母国チェコ共和国では2020年にP-10 Cをサービスピストルに採用していた。
 今回の採用はそれに続く快挙だ。この選定で最終的に名の挙がっていたコンペティターはGlockとスベロニアのArexで、ドイツ国内メーカーであるH&KやWaltherの名前が無いことが少し気になる。Glockはともかく、Arexが候補に挙がっているところから、選定の大きく影響したひとつの重要な項目が浮かび上がる。実際、調達コストが重要なファクターだったという情報もあり、HK SFP9やWalther PDPはここが最大のネックだったのではないだろうか。
 納入確定分は62,000挺(65,000挺という説もある)で、最終的に186,000挺がブンデスヴェアに導入される可能性がある。
 ブンデスヴェアでも特殊部隊であるKSK (Command Special Forces)とKSM (Marine Special Forces)、および軍警察の特殊部隊は、ワルサーPDPおよびそのコンパクト仕様をP14、P14Kとして採用したことが2024年7月に発表されており、一般部隊とは差別化が図られた格好だ。
 本製品はCZのドイツディストリビューターであるPOL-TEC GmbH & Co.から供給される。POL-TECはCZの他、Accuracy International、 Shadow Systems、SUREFIRE、SPUHR、Trijicon、GENERAL DYNAMICS等の代理店でもある。

 

CZ P-10 C OR
全長:187mm
銃身長:102mm
重量:740g
マガジン装弾数:15発
口径:9×19mm
撃発方式:プリコックストライカー
(上記スペックはCZ P-10 C ORのもので、P13そのもののスペックではありませんが、原則的に同じだと思われます)

 

Text by Satoshi Matsuo

 

ここまでが松尾Ver.です。ここからが櫻井さんVer.となります。

 

 

ドイツ連邦軍、新制式拳銃にCZを選定

Text by Tomonari Sakurai


国産を貫いてきた“銃器大国”が初めて選んだ外国製サイドアーム
 2025年12月、チェコの銃器メーカー、Česká zbrojovka(CZ)は、同社製拳銃がドイツ連邦軍(Bundeswehr)の新しい標準制式サイドアームとして正式に選定されたことを発表した。公開された国際入札を経ての決定であり、採用された拳銃はBundeswehrにおいて“P13”の制式名称を与えられる。
 P13のベースとなったのは、CZ P-10 C OR(Optics Ready)。FDE(フラットダークアース)仕上げを採用したストライカー方式の現代的サービスピストルで、高い信頼性と耐久性、優れたエルゴノミクス、光学照準器対応という現代軍用拳銃に求められる要件を過不足なく満たしている。
 CZ側は、実戦環境で培われた性能と堅牢性が評価された結果であると説明している。

 

ドイツ軍制式拳銃史における「初めての外国製」
 今回の決定が持つ意味は大きい。
 ドイツ軍はこれまで、制式拳銃において一貫して国産拳銃を採用してきた。帝政期から第二次大戦期にかけてのP08、P38、戦後のP1、そして近年まで使用されてきたH&K P8に至るまで、その系譜が途切れたことはない。
 WaltherやHeckler & Kochといった世界的拳銃メーカーを国内に擁するドイツにおいて、Bundeswehrの標準制式サイドアームに外国製拳銃が採用されるのは、事実上これが初めてである。その点において、今回のCZ選定はドイツ軍装備史の明確な転換点と位置づけられる。

 

ワルサー有力視の中でCZが選ばれたという驚き
 今回の更新計画では、ドイツ国内メーカー、とりわけWaltherやH&Kが有力視されていたと見る向きは多い。その中で、チェコ製のCZ P-10 Cが最終的に選ばれたという事実は、率直に言って意外性を伴う。
 もっとも、P-10 Cが優れた軍用拳銃であることに疑いはない。実用性に徹した設計思想、過度な装飾を排した堅実な作り、現代的装備への柔軟な対応力はいずれも高く評価されてきた。しかしそれでもなお、「ドイツという銃器大国が外国製拳銃を制式採用した」という象徴性は無視できない。
 この選択は、国籍や伝統よりも、性能、即応性、兵站合理性といった実務的要素を最優先した結果と見るのが妥当だろう。

 

自衛隊とH&K――国産神話を越える時代
 興味深いことに、同様の動きはドイツに限ったものではない。
我が国の自衛隊も現在、H&K製拳銃(SFP9系)を制式採用しており、かつての国産拳銃にこだわった時代から、国際的に評価された装備を柔軟に受け入れる方向へと舵を切っている。
 立場や背景は異なるものの、ドイツ連邦軍と自衛隊はいずれも、国家の象徴としての「国産」に固執せず、現代軍として最適な装備を選択する段階に入ったと言えるだろう。


CZ P13が示す、現代軍用拳銃のリアリズム
 CZ P13の採用は、単なるメーカー交代ではない。
 それは、拳銃という個人装備において、伝統や国籍よりも実戦的合理性を重視するという、現代軍装の現実を端的に示す出来事である。
 今後、BundeswehrにおいてP13がどのような評価を受け、どのように運用されていくのか。その動向は、ヨーロッパのみならず、世界の軍用拳銃選定の潮流を読み解く上で、重要な指標となるはずだ。

 

Text by Tomonari Sakurai

 

Gun Pro Web 2026年1月号

 

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