2024/07/22
2024年 8月の出荷案内 と 金型の話 と
こんにちは。タナカワークスの中の人です。
近々では気温が40℃いった県もあり、7月序盤でこの気温となると先が思いやられます……
しかも、昨日(書いている日)は東京は落雷祭りでPCが落ちました。
なのでブログも途中から書き直しです……
さて、くよくよしていてもしょうがないので今月の出荷に参りましょう。
まずは1挺目、ご好評いただいているシリーズに新バリエーションが登場です。
『S&W M28“The Highway Patrolman”.357 Magnum 6inch HW Model Gun』
M27の廉価版、M28ハイウェイパトロールマンのもう一つのバリエーションモデルである6インチが登場します。
実銃は廉価版としてバリエーションを4インチと6インチに絞り、トリガー・ハンマーも形状を指定、割り切った外装としたことで法執行関係者にアプローチしやすい価格としたことで人気のモデルとなりました。
6インチは嵩張りますが、.357マグナムのパワーをフルに活かしきる為、携帯性を犠牲にしてこちらを選んだ警察機関もあるようです。(Washington State Patrol など)
バリエーションはないと言いましたが、またプラス料金を支払うとサービスグリップ(マグナグリップ)をオーバーサイズグリップ(ターゲットグリップ)にアップデートすることが出来ました。
今回は6インチのサイズに合わせて、オーバーサイズグリップを装着しモデルアップしました。
実用用途に特化した質実剛健の.357マグナムリボルバーをぜひこの機会に手に取って見てください。
次は人気モデルのカラーバリエーションが登場!
『S&W .38 Chiefs Special (Pre-M36) 2inch Square Butt "Joker Model" Steel Finish Ver.2 Model Gun』
ようやくメッキモデルにも手を付けられる目処が立ち、出来ていなかったステンレスフィニッシュモデルを回してますが「スチールフィニッシュモデルも早く!」というお声もいたいたおりまして、並行して進められるものは進めていくことになりました。
久々のスチールフィニッシュ2024年第一弾は人気のチーフのスクエアバットモデルから。(決して続編映画が近々にやるからとかでないですよ)
スチールフィニッシュですが、他のメッキと比べ手間を考えるとハイエンド帯の価格になってしまうのでどうせならと、トリガー・ハンマーをケースハードン風の仕上げにしました。(昨年弊社は原価・工程数等を踏まえ、既存価格を見直し、再設定しています)
『S&W M36 Chiefs Special 3inch Square Butt HW Ver.2 Gas Gun』
ガスガンのスクエアバットのチーフスペシャルに3インチモデルが加わります。
チーフの3インチのフレームをスクエアバットに変えたモデルなのです。
「今更何故?」と思う方もいらっしゃると思いますが、これは某所より同タイプのガスガンとモデルガンの要請があり製作しました。(察してください)
依頼された丁数が少数だったため、ついでに新製品として生産ラインナップに追加しました。異色の成り立ちを持つモデルです。多分一部の層の人には刺さるモデルだと思います。(察してください。聞かれてもお答えできません。)
製作丁数は上記の成り立ちを見ていただいたとおり、通常出荷品としては非常に少ないので気になる方はお早めに。
次は再生産です。
『S&W M19 4inch "Combat Magnum" HW Ver.3 Gas Gun』
お問い合わせが多い定番モデルの再生産です。
語るまでもなくバランスの良さやアニメに登場するなど様々な理由で人気ですね。
この気温ですのでパワフルな射撃が楽しめると思います。
『S&W M66 Performance Center 3inch "F-comp" Ver.3 Model Gun』
S&Wのカスタム部門であるPerformance Center(パフォーマンスセンター)がカスタムしたM66です。
Kフレームリボルバーのステンレス素材版はFフレームと呼ばれていますので、M66は「F-comp」になるわけです。
こちらは2年ぶりの再販。お見逃しなく。
さて、今回のご案内はこんなところです。
突然予定変更の可能性もございますので、ご迷惑をおかけいたしますがご了承ください。
スタッフ一同、一意専心製作に取り組んでおりますので発売まで今暫くお待ちくださいませ。
~雑談的なもの~
<タナカの日常 vol.02>
中の人(´▽`[]ゝ「はいはい、弊社です。」
電話の人「貴社にご提案があるのですが……」
中の人(`・ω・´)「はい」
電話の人「廃業した某●●社の金型を買い取っていただき、貴社の技術で蘇らせていただきたい」
中の人(;´Д`)「えーと、貴方様は某●●社の関係で金型の所有者の方ですか?」
電話の人「いえ、違います」
中の人(;´Д`)「?……えーと、そうなるとコンサルティング会社の方でしょうか?」
電話の人「いえ、違います。いちトイガンファンです」
中の人(;´Д`)「(恐怖)」
電話の人「某●●社のモデルは未来に残すべきものですので、前向きに検討していただきたくご連絡しました」
中の人(;´Д`)「はぁ……」
電話の人「また某●●社以外にも某▲▲社の金型を買っていただき、貴社で生産していただきたい」
中の人 ( ´•ω•` ) 「……(株主かなにかかな?)」
ひと月に1~2人はこうのようなご提案のご連絡いただきます。
弊社に言うのではなく、相手先に言っていただくか、金型持ってきてからお話していただくか、それ以外でしたら仲間内の話題程度に留めておいてください。
弊社に決定権のない話はご対応できかねるので……。
ただ折角なんで今回、金型の話をちょっと触れてみようと思います。
多くの方が勘違いしているのですが、金型があればいつでも簡単に生産できるみたいに思っていらっしゃる方が多いと思います。自分も弊社に入るまでそうでした。
でも実は元他社製のモデルを修正してモデルアップたり、旧型の製品をバージョンアップしてモデルアップしたりというものは、正直に言うと割に合わないんです。
まず金型の設計が古い点。
金型の技術は日々進歩しているので、成型時で精度が出ている現代の金型と昔の金型だと手間が違います。
モデルガンがブームだった頃の古い金型は成型したものの、問題を抱えている場合が多々あり、それをマンパワーでゴリ押し、修正して形にするような感じです。(時代ですね)
人手不足の時代に上記のような作業は、現代の賃金や効率を考えたらできる作業ではないんです。(それでも手作業が多い業種なのですが……)
そして、金型自体の劣化・破損している場合もありえますので、古い金型はこのあたりがネックになります。
また他社製だった場合、金型の図面と突き合わせて何故このような処置をしているのか古文書解読のように調べる手間もあったり、それを性能・外観を現行レベルにまで持っていくのに金型改造を多々しないといけません。
このような改造には、実は新モデルを作るレベルのお金が掛かる場合があります。
「ぶっちゃけ新規で作ったほうが早い」by設計部部長とかそういう場合もあるんですね。
そして販売の側面でいうと、銃の形は全く一緒なのでマイナーアップデートにしか見えないという点も大きくマイナスです。
内部の大幅なアップデートの改造に気づいてくれる方はいるんですが、やはり形が一緒だと見栄えはしないので売上には直結しません。(ペガサス2SAAガスガンがいい例です)
では、「何でそこまでして古いモデルをリニューアルしているのか」という話になってきます。
それは、未来に残すべきものだと思うからです。
なんだかんだ言ってますが、弊社社員が皆トイガン好きなんです。自社製品・他社製品含め。
なので過去の設計者に敬意を持って、時代に合った性能・外観へのアップデートに臨みます。(弊社だと六人部さんとかですね)
ただ如何せん人数が少ない会社なので、どうしても製品を出すまでには時間がかかっていまします。
毎月出荷という玩具業界では異例の体制で製作しているので、新規バリエーションを含め完全新規製品も製作進行しているのですがどうしてもスピードは遅くなっています。
弊社社員もトイガン好きな心は一緒なので、そのあたりは優しい目で見守っていただけると幸いです。
今日はあまり知られていないトイガン業界の金型の話をちょっとしてみました。
金型一つ取ってみてもドラマがあるんですね。
お読みいただきありがとうございました。