2024/05/21
AOとサイドフォーカス。
さっそくですが、今回のテーマはAOとSFです。ライフルスコープにはピントを合わせる機能が備わっています。先に述べたAOはアジャスタブルオブジェクティブの略称で、SFはサイドフォーカスです。AO/SF両方とも、対物レンズ側から入射する光が光軸を通って結像するイメージのピントを合わせる機能を持っています。
【AO/SFを有さないスコープ】
例えば、1-4x、1-6x、1-8xといったショートスコープ。こうしたスコープには固定フォーカスが採用されています。これらはある地点でフォーカス(ピント)が固定されています。このある地点というのは、メーカーやモデルによってそれぞれですが、例えば狩猟用途を例にとると、100m地点でピントが合うように設定されている製品が一般的です。距離50mの地点で設定されている製品もあります。
【低倍率スコープ】
AOもSFも付いていないスコープというのは、もともと長距離射撃向けに用意されていない為、ゆる~く合っているフォーカス(ピント)の深さが長いのが特徴です。50m、或いは100mから先はパキッとキレのある感じには見えなくても、若干ブラ~っとした感じで遠くまで見えます。但しショートスコープにも利点といえる特徴は多く、用途に応じ最適化されたスコープといえます。
【AOの使い方】
AOは対物レンズ側にピントを調整するリングを内蔵しています。目盛りが刻んであり、ぐるぐると回転する部分です。ターゲットまでの距離が判っていれば、リングを回して数字をそこに合わせるだけです。標的射撃(例:50mベンチレスト)といった競技にも有効なスコープとされています。もちろん、狩猟用にも使えます。唯一難点は、ライフルを構えた状態でピント合わせが必要になった場合、対物レンズ側まで手を伸ばさなくてはならず、射撃姿勢を一度解除することになってしまうことから、緊迫した場面で標的のピントを合わせるとするならば、この点がSFの方が実用途としては向いていると言わる理由です。
【標的までの距離が判明していない】
シューティングレンジでの調整時、ターゲットまでの距離は明らかになっていますが、実際のフィールドにおいては、事前にフィールドの地形スカウティングを行っていない場合、正確な距離の把握は現場でレンジファインダーでも使わない限りわかりません。
距離計といった光学機器を用いる方法もひとつですが、手元にそうしたギアが無い場合、サイドフォーカスを使って距離を測る(*ピントがはっきりと合ったポイントが標的までのおおよその距離)といった現場対応もあります。
【SF(サイドフォーカス)】
10倍以上の高倍率スコープにはSF(サイドフォーカス)が付いています。AO(アジャスタブルオブジェクティブ)との比較では、どちらも同じ機能を備えており、AOの方がスコープを軽量化できたり、コスト面でのアドバンテージはSF機構を採用するよりもAOに軍配があがります。但し、スコープ市場の主流はSFで、ハイエンドともなると10m以下からのSF機能も搭載しているモデルもあります。
【ディオプターの使い方】
ちなみに、ディオプター(接眼部のクルクル回る部分)というのは、レチクルのフォーカスを調整する為に用いられる機能です。上図写真では接眼部の最端のリングになります。回すことで標的のピントがあってしまうのですが、これをやってしまうと今度はレチクルがぼやけてしまいますので、ご注意ください。ディオプターはレチクルのピント合わせです。
【まとめ】
早いもので、Arms Magazine WEB様にてBlogを掲載し始めてから間もなく1年が経とうとしています。このブログを始めてからサバゲーに携わる多くの方々にお会いできる機会が増え、多くを勉強させていただいています。この先も、当方の専門分野でもある狩猟用光学機器に関連する便利情報を通じ、皆さまに少しでもライフルスコープを楽しんで戴けるよう頑張って参ります。
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