2025/12/23
13” Barrel Length’s Performance

Gun Professionals 2021年12月号に掲載
16.5”から13”へ
2019年12月に陸上自衛隊での採用が発表された20式小銃について、実射レポートをお届けすることはおそらく永遠に不可能だろう。20式が他国の軍やLE機関へ販売される、あるいはセミオート仕様にして民間市場で販売されるといった可能性が限りなくゼロに近い以上、これはどうにもならない。何年か後に、元自衛官が20式について実射経験を述べることはあるかもしれない。しかし、それは20式を手元においての実射レポートではないはずだ。
公開された20式新小銃の銃身長は330mm(13”)であり、既存の89式の420mm(16.5”)から大幅に短縮された。これによる威力低下について、懸念する読者からの声もあり、今回はこれを確かめてみることにした。いわば“20式新小銃を想定した5.56mm性能確認”だ。
本誌、の6月号、および7月号の“64式小銃の真価”と同様、現物なしでのリポートになることをまずお断りしたい。
先の64式小銃リポートより幾分マシな点はいくつかある。作動機構に若干違いはあるものの、ほぼ同じ長さのバレルが装着されたAR-15、通称“Shorty”を20式小銃の代用として用意できたことだ。そして20式新小銃の報道公開時に装着されていたスコープ、ディオン光学技研製March 1x-8x24mm FFP Shortyに限りなく近い市販品も入手している。このスコープの実力も確認しよう。
March 1x-8x24mm FFPの自衛隊納入モデルは、シビリアンモデルと外見はほぼ同じだが、若干スペックに違いがあり、それはレティクルにも及んでいるという。それでもスコープである以上、使用目的が何であれ、基本的な違いはないはずだ。もしかしたら自衛隊向けはシビリアンモデルより一段とタフにできていたり、何らかの追加機能があるのかもしれない。しかし、驚くほどの新機能ではないだろう。
March 1x-8x24mm FFP Shortyは、米国内でもMarchスコープディーラーから既に市販されているモデルだ。8倍比スコープだが、現在は1x-10x24と10倍比となった新型も市販されている。
一部のシビアな読者から、肝心要の銃が20式オリジナルじゃないじゃないか?という文句が来そうだが、冒頭にも書いた通り、64式小銃、89式小銃と同様、20式セミオートスポーツモデルが発売されているわけではない。がんじがらめの銃刀法に固執し、それを誇りにさえ思っている日本のことだ。さらに軍用銃となれば、それをスポーターモデル化して民間に販売するなど、100%あり得ないだろう。当然米国に住む筆者は20式の実物を見たこともない。
2020年5月の報道公開に参加した松尾副編集長の話によると、現物に触ることさえ許されなかったというではないか?領土拡張の野望を抱く国が近くにあるなか、自国を防衛するための銃だ。それを内外に紹介しようとする者に触らせもしないなどということはおかしい。たかがライフルだ。法的な制約があるのは理解できるが、手に取ったぐらいで何か不都合でもあるのだろうか。
米国なら、軍が採用しているライフルであっても、それをセミオート化したスポーツモデルが市販され、善良な市民が所持し、自由に撃つことができる。それは強大な防衛力だ。ここが日米の大きな違いとなっている。だから20式を使った実射テストなど、100%不可能だ。
スコープマウントの改造
20式新小銃のバレル長は13”だ。かなり以前からAR系12”バレル付きを所持しているので、今回はこれを代用とすることにした。1”(25.4mm)の違いはあるがこのへんは大目に見ていただこう。20式小銃の採用が発表されてから、早くも1年10 ヵ月が経過した。しかし、第一線部隊にもまだ20式は配備されていないらしい。このショートバレルテストリポートは、もっと早くにやりたかった。しかし、ネックになっていたことが一つあった。それはMarch 1x-8x24mm FFP Shorty用のマウントが入手できなかったからだ。
エイムポイント用マウントの代用も試みた。自衛隊が20式展示で使ったシングルリングスコープマウント(スコープを1ヵ所で保持するタイプ)は一時期、米国には入ったようだが、現在は在庫なし。ショーティ用にはこのほかに英国March UK代理社が発売しているサンマリノ共和国製のユニマウントがある。これも入荷が遅れ、ショーティ自体は購入したものの専用マウントがないというのが米国市場の現状だ。2個のレギュラー30mm径スコープリングをタンデムとしスコープチューブで保持する形での装着も可能だ。機能的にはOKでもイマイチ冴えない。理想はサドル部(調整ダイヤル部)をはさんで前後でマウントするスタイルなのだが、Marchショーティは対物レンズ側33mm径、ボディ側30mm径の特殊なデザインとなっている。そのような変則的スコープリングマウントは、市場にはほとんどない。
2025年2月Web Editor補足:現在ディオン光学技研で製造販売しているMarch Shortyスコープは変則的なチューブ径ではなく、前後を同じ径で統一しています。したがって専用スコープマウントを使わなくても、市販のスコープリングで銃への装着が可能です。
市販の一体型の35mmマウントに若干、改造を加え、Shorty専用マウントを製作することはできる。ただし旋盤がないとこれも不可能、ヤスリ一丁でできる加工ではない。もし自分で作る環境(設備)を持っていないのであれば(普通は持っていないだろう)、ガンスミスや工作機械にアクセスできる方にスペーサーまたはアダプターを作ってもらうという手がある。
というわけで、市場にある他社製リングをベースとして改造すれば、Shorty用マウントリングが作れる。工作好きの読者も存在するはずなので、これついても今回のリポートでカバーした。日本じゃ銃器製造ライセンスがどうので一般人が銃器本体を製造することは許されないが、発射機能と関係しない付属品なら合法的に作れる。筆者は昔から何かを作ることが好きでこの道に入った。それが銃器だったというわけである。筆者自身、日本で工作機械運用の経験はゼロなので日本の機械工が使う専門用語もほとんど知らない。ときとして妙な表現があるかもしれないその辺は大目に見てもらいたい。
よく読者から聞かれる質問で、メートル法が何故、米国で浸透しないのか?というものがある。世界に普及しているメートル法だが、少なくとも米銃器社会じゃ普及していないのが現状だ。米銃器界はヤード/インチ/ポンドの世界であり、近い将来、メートル法にすべて置き換わるとは到底思えない・・・・しかしスコープ関係ではメートル法も使われ、インチ併用という場合が多い。各種業界全般では以前から、メートル法、ポンド法は共存している。工具セットを購入すればインチ、mmが組み合わさっているといった具合だ。これは日本、ヨーロッパから入ってくる車と関係しているのだろう。

アモとテストガン
写真からも判るように20式の代用を演じるモデルはARベースに12 ”バレルを取り付けたものだ。バレルが長く見えるのは4”前後のエクステンションを装着、見た目を16”にしているからだ。バレルが16”未満だとSBR(ショートバレルドライフル)と見做され、許可を取得するのに$200プラス面倒な手続きで1年以上待たされる。それを回避するため、エクステンションを装着している。
もともとはXM177E2複製モデルとして組み上げたものだった。ただしオリジナルと違いライフルリングツイストは1-9 ”となっている。自衛隊現用の89式のバレル長は420mmで16.5”、20式との差は9cm(3.5”)だ。この差が銃口初速、エナジーでどれだけ違ってくるのか? 米軍採用のM4A1、89式、20式の一部スペックを比較すれば以下のようになる。

20式小銃のバレルはM4カービンに比較1.5(” 38mm)ばかり短い。資料によれば最新のM855A1アモをM4カービンから撃てば、銃口初速約3,000fps(910m/秒)弱となっている。たぶん自衛隊使用の国産5.56mmはM855を参考にしているのではないかと思う。M855ならM4カービンの368mmバレルで2,890fps(860m/秒)となっている。自衛隊が使用している5.56mmがM855をそのままコピーしたのであれば、20式では2,700-2,750fpsではなかろうかと思う。しかし資料というのはあてにならないことが往々にしてある。
今回、入手したミリタリー5.56mmアモはIMIシステムズ製の62grスチールコア(貫徹)入りのNATOミリタリーボールだ(IWI ではない。母体はIsrael Military Industries Ltdで一緒だが、Israel Weapon Industriesとは別会社だ)。箱にはM855と明記されている。残念ながら60発しか入手できなかった。
今回、89式に見立てたガンはEA-15 Carbineだ。旧Eagle Arms(イーグルアームズ)製で、同社は現在Armalite Inc.(アーマライト社)となっている。バレルは16.3(” 414mm)1-9”で89式の420mmと極めて近い。
AR-15 ShortyはRock River Arms(ロックリバーアームズ:RRA)社のロアフレームをベースに、各社のパーツをかき集め組み上げたものでブランド物ではない。ARはこれまで何回も触れた通り、銃好き大人の着せ替え人形なのだ。AR系についてはこれまで作動機構、操作法についてはゲップが出るほど書かれてきた。それもあり、今リポートでは自衛隊で採用されたというMa rch 1x-8x24mm FFP Shortyスコープに焦点を絞った。最後にこれも読者から質問のあったARダイレクトインピンジメントガスシステムとピストンモデルについても述べてみたい。


