2025/05/02
【NEW】トイガンラボ 159 B.W.C. ジャービスカスタム M686 モデルガン
※撮影用の小物(ダットサイト、スピードローダー等)は製品には含まれません。
※写真は試作品のため、実際に販売されるものと異なることがあります。
トイガンラボ Toy Gun Laboratory No.159
B.W.C. JARVIS CUSTOM M686 Modelgun
くろがね ゆう
Text by Yuu Kurogane
Photos by Hisayoshi Tamai
1987年と88年のビアンキカップで、ジョン・プライドはシンプルなS&Wモデル686 JARVISカスタムを使用し、2年連続で総合優勝を果たした。そんな“ビアンキカップを制したリボルバー”がモデルガンで登場する。
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ビアンキカップガン
1980年代に銃が好きだった人なら、誰もが“Bianchi Cup”(ビアンキカップ)の存在を知っていた。当時はアメリカで開催されるアクションシューティングマッチの最高峰の1つといわれていたからだ。
創設は1979年で、イチローさんが日本に紹介して以来、多くのガンファンが、まるで自分自身が大会に出場するような気持ちになってその紹介記事を読み、虜になった。
またビアンキカップ用のカスタムガンもユニークなものばかりで、射撃に関係なく、そのスタイルに惹かれてカスタムガンの世界にハマった人も多い。
1983年にはMGCがモデルガン用の弾が飛ばない射撃システム“シューター・ワン”を開発、発売したことでさらにビアンキカップ人気に拍車が掛かった。実銃の世界で人気となっていたダットサイトも、MGCがシューター・ワンと組み合わせたエースポイントを発売したことで一気に普及し、ついにはジャパン ビアンキカップが開催されるまでになった。

ジャービスカスタムM686
口径:.357
全長:298mm
銃身長:6インチ
重量:1,420g
仕様:発火式モデルガン
機構:シングル/ダブルアクション
使用カートリッジ:5mm/7mmキャップ火薬両対応カッパーヘッド カートリッジ(空撃ち用スプリング付属)
装弾数:6発(付属)
価格:\198,000(税込:少数限定)
そんなビアンキカップは、当初はリボルバーシューターの方が多かったとされる。有名なところでは、1983年にブライアン・イーノスがS&Wリボルバーのモデル10ベースのカスタムにエイムポイントを載せたものを使用して総合優勝を飾っている。
その後、1987年と1988年に連続総合優勝を果たしたジョン・プライドもリボルバーだった。もともとはロサンゼルス市警(LAPD)のポリスで、多くの射撃大会のタイトルを持ち、世界記録もいくつも持っている射撃の名手。PPCマッチでも4回もチャンピオンになっているという。そしてPPC系のカスタムリボルバーでビアンキカップに挑みチャンピオンになった。
その時使用していたのが、ジャービスカスタムだ。それを旧Gun誌1988年11月号でHikaruさんがリポートされている。記事によると、ベースのモデル686はまったくのノーマルで、そこにビル・ジャービスがデザインしたバレルウエイトとマウントベース、エイムポイント2000、そしてデイビスのラバーグリップを装着しただけのものであるらしい。それ以外はストックガンのまま。686の基本性能が優れているとはいえ、特にチューニングなどを施さなくてもビアンキカップで勝てることを証明した形となり、シューターたちに大きな衝撃を与えたらしい。




インプレッション
そんなジャービスカスタムを、高級カスタムで知られるB.W.C.がモデルガン化、限定数を一般市販するという。往年のファンには嬉しすぎるサプライズだが、オートマチックのカスタムの方のイメージが強いB.W.C.がなぜリボルバーのカスタムを手がけることになったのか、その辺のところからお話を伺ってみた。
B.W.C.では、ちょっと前に特注で一般市販されないPPCカスタム、ロン・パワーのグランドマスターを製作していたのだそう。そんなところへ、マルシンがM586の組立キットを再販するという情報が入ってきた。しかもグリップはデイビスタイプのラバーコーティンググリップが付属するという。この組み合わせならジャービスカスタム作れるということで、製作が決定したらしい。
しかもジャービスカスタムのバレルウエイトやエイムポイント用マウントベースは一般市販もされていて、関西の業者さんが輸入しているのだそう。ジョン・プライドのジャービスカスタムとは微妙に異なるところもあるらしいが、それを参考にしている。
そのバレルウエイトは実銃用同様ステンレスブロックを機械加工して作られている。ずっしりと重い。約450gは実銃用の16オンスタイプに相当し、ほぼ同じ重さ。ただ、バレル下のラグ形状に合わせるため、逆Ωのようなくびれた穴が開いていて、その再現に苦労したそう。実銃用のようにガンドリルを使って1回で穴を開けることができなかったので、真ん中部分をフライス加工して、両端をドリルで同じ形に加工しているという。分解するとそれがわかるのだが、外観からはまったくわからない。この辺に地道な工夫と努力が隠されているわけだ。しかもピッタリ加工で全くガタがない。さすがプロの仕事。






アルミのブロックを機械加工したエイムポイント用マウントベースも素晴らしい出来映え。実銃ではリアサイトを外して装着しているが、B.W.C.はベースのM586のリブやサイトに全く干渉しないようにした。外せばほぼ完全なノーマル状態にもどる。それにもかかわらず、しっかり固定されていて被せた感を一切感じさせない。装着したままでも初めから備わっているオープンサイトが使える。もちろんエイムポイント2000はぴったり装着できる。強度も申し分なし。これは実銃の雰囲気を壊していないし、実銃を超える利点ではないだろうか。
刻印類はすべて入れ直され、バリ、パーティングラインの類いも一切消されてスムーズになっている。表面は丹念に磨かれ、凹凸や波打つような感じもなく、フラットでキレイ。エッジも程よく立っていて、磨きダレのような箇所もない。とてもキットから組み立てられたものとは思えないクオリティ。
全体の仕上げは二液ウレタン塗装だそうだが、これがまた秀逸。ちょっとしっとりとしたような質感はまさに磨かれたステンレスのそれ。ステンレス製のバレルウエイトと全く違和感がない。アルミ製のマウントベースとも、質感の差はありながら無理なくなじんでいる。
唯一、仕上げが違うのはハンマーで、ケースハードゥン風フィニッシュとなっている。色むらがある感じが、いかにも熱処理されたようでリアル。キットモデルどころか普通の製品版ともレベルの差を感じさせる。まさにカスタムらしい仕上がり。レベチ!